NEXT WEEKEND DATE

こんにちは。NEXTWEEKEND代表の村上萌です。

またトップバッターの私にバトンが戻ってきました。

前回は「実は感謝している夫のそういうところ」というテーマを通して、それぞれのパートナーの優しさを知っただけでなく、メンバーの知らない一面を見ることができて、なんだかホッとしたり、愛しさが増したような気がします。

社内で子育てをしているメンバーで始めたこの連載も、ありがたいことに毎年少しずつ仲間が増えて、前回からは、産後復帰したばかりの経理出分(でわき)さんがラストランナーとして仲間入りしました。

ただ、更にありがたいことに現在連載メンバーのうち2人が第二子第三子の妊娠中…!
今回は少し軽めのお題にしてみたいと思います。

「子育てをしていて嬉しかった言葉、励まされた言葉は?」

これは、どちらかと言うと出産する前の自分が知りたいテーマかもしれません。

友人の妊娠出産、それから育児に奮闘している様子、喜ばしかったり応援したい気持ちはもちろんあるのですが、ライフステージが違うと、どんな言葉をかけると失礼になるのか、どうしたら嫌な気がしないのか、何をもらうと嬉しいのか困るのか、分からないことがあまりにも多くて、今思うと関心が薄そうな素振りを見せてしまったこともあるかもしれません。

そんな中で自分の妊娠出産、育児期間を通して印象に残っている、その瞬間になるまでは知らなかった感情、嬉しかった言葉を振り返ってみたいと思います。

子育てをしていて嬉しかった言葉、励まされた言葉
母からの「いい子だったよ」
友達からの「やっと会えた」
保育士さんからの「お母さん、お家ですごくいい言葉をかけてますね」

 

母からの「いい子だったよ」


私は会社のある東京を仕事の拠点としつつ、アスリートである夫の移籍に合わせて、この10年間で4回ほど大きく住まいを移してきました。

コロナ禍に突入する随分前から2拠点生活でリモートワーク。

あちこちで保育園に入るわけにはいかないので、東京にいる時は基本的に実家に娘を預けて仕事をさせてもらっています。

出張中はここぞとばかりに仕事を詰め込んでしまい、時には夜ご飯まで食べて夜遅くにそっと鍵を開ける私に、母がかけてくれる第一声はいつも「杏(娘の名前)はいい子だったよ〜」なのです。

どれだけ物分かりの良い子どもだったとしても、幼児と過ごす1日は体力勝負。

それに加えて不規則に予定が入る私に対して、色々と言いたいこともあるとは思いますが、そういったものをすべて通り越して「いい子だったよ」という一言から会話を始めるのは簡単なことではありません。

仕事、家事、それから子育て、総じて母が私の人生を応援してくれていることを実感します。

状況は違えども、自分と一緒にいない間の相手の時間を想像して声をかけるということを、私自身も大切にしたいなと、実家の扉を開けるたびに思うのでした。

 

友達からの「やっと会えた」


娘が生まれた当時、私は札幌に住んでいて、里帰り出産で横浜の実家に帰っていました。

産後1ヶ月経って飛行機に乗れるようになった頃、砂糖菓子のように柔らかい赤ちゃんを抱っこ紐に入れるのがどうしても怖くて(なぜか)、娘をおくるみで包んで大きなリュックを背負って一人で空港に向かいました。

包まれた新生児は、もはや昔話に出てくる生まれたての赤子のような姿。

行き交う人に心配して声をかけてもらうことが私の緊張に拍車をかけて、搭乗前のオムツやミルクの準備でてんてこまいになっていた時に、札幌に住む友人から当たり前のように「何時に空港に着く?」と連絡が来ました。

空港に迎えに来てくれていた彼女が、包まれた娘を見た時に「やっと会えた〜」と嬉しそうにしてくれたことが、私の心をすごく軽くしてくれたのを覚えています。

まだこの世に生まれたばかりの娘を、一人の人間として、会いたい対象として待ち望んでいてくれたこと、妊娠していた時の神秘的な気持ちがまだふわふわしている私にとっては、今を全部受け止めて、そして長かった10ヶ月をただの過去にせず、優しく寄り添ってくれるような一言だったことをよく覚えています。

もうお互い札幌には住んでいないけど、色んなところに一緒に旅行に行ったなぁ。

ライフステージが変わった人に対して変に遠慮してしまったり、コロナ禍は特に、身近な人に赤ちゃんが生まれてもすぐには会いにいけないご時世になってしまいましたが、あれ以来誰かに赤ちゃんが生まれた時は、私もまずは新しい命に全力で向き合った言葉をかけることを意識するようになりました。

 

保育士さんからの「お母さん、お家ですごくいい言葉をかけてますね」


前述したように、夫の移籍に伴って私と娘も一緒に移動をしてきました。

娘は札幌、大阪、長崎、と今回で3つ目の保育園になります。

物心がついたのは2〜3歳を経験した大阪時代。
引っ越しが決まったことを娘に伝えて、お別れについて話をしたことがあります。

大好きな先生や友達、近所のクレープ屋のお兄さん、鉄板焼き屋の女将さん、当たり前だった日常が全部変わってしまうということが、小さな娘にも分かったようで、毎日楽しみにしていた保育園に行きたがらない時期がありました。

大人の恋で言うと「どうせ会えなくなるなら、これ以上好きにならないほうがいい」といった気持ちだったのかもしれません。

まだ全ての言葉が分かるわけではありませんが、娘に「これからの毎日の中で、ほとんどのお別れはいつが最後か分からないことばかりなんだよ。なのに、引越しのおかげで、ちゃんと大好きだよって気持ちを伝えられる。これはすごくラッキーなことなんだよ」と伝えると、娘は自分なりに一期一会を理解したようでした。

「引っ越すけど、大好きだからまた会いたい」と娘が伝えたことで、これまで交流がなかった親御さんから連絡をもらったり、鉄板焼き屋さんと連絡先を交換したりと、ちゃんとお別れをした上で、結果的に新しい関係を始めることができました。

保育園の最後の日に、担任の先生の「お母さん、お家ですごくいい言葉をかけてますね。いつも沢山救われてました。杏ちゃんが大好きです」という言葉に思わず涙が溢れてしまった時、実は私自身も新天地への不安があること、この街での暮らしが大好きだったこと、蓋をしていた感情に気づかされ、娘の多感な時期を過ごした大阪での日々を、大きく肯定してもらえたような気がしました。

これから先、自分が誰かの子どもを預からせてもらうタイミングがあれば、その子とたっぷり話をして、普段のお母さんの仕草や、かけている言葉に気づいたら、それを言葉にして伝えて褒めたいなと思う出来事でした。

「お母さん」という言葉があまりにも安定しているから、どのお母さんもすでに出来上がっているように見えるかもしれませんが、不安や葛藤を抱えながら生きていることがほとんどだと思います。

今回のテーマである「子育てをしていて嬉しかった言葉、励まされた言葉は?」というお題を通して、様々な感情、価値観をシェアできる機会になればいいなと思っています。

 

 

次にバトンを渡すのは、NEXTWEEKENDでコミュニティマネージャーとして奮闘してくれていたこともある、第三子を妊娠中の尚子ちゃん。

彼女と同じ時期に大阪に住んでいた時、お互いにママチャリに乗って渋い喫茶店で集合できる関係、楽しかったなぁ。
またいつか近所に住みたいと密かに企んでます…笑。

感性が豊かで、いつでも思いやりのあるユーモアで周りを笑わせてくれる尚子ちゃんは、きっと人の言葉を受け取る時も、相手の感情を想像した上で深く受け取ってるんだろうなぁ、と勝手に思ってます。

そんななおちゃんはどんな言葉を覚えていて、何が嬉しかった?

Illustration:Chiharu Nikaido

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