NEXT WEEKEND DATE

こんにちは!
Weekender編集部の永田尚子です。

前回オンラインストアディレクターのひかりちゃんが書いてくれた「思想として今も残っている、あの時の母の言葉」には、共感する部分がたくさんありました。
周りには「思わず泣いた」という人も多かったな。

今年は家族と一緒に過ごす時間が多かったこともあり、しっかり子育てに向き合えたからこそ充実感を味わったり、はたまた悩んだり、自己嫌悪に陥ったり…
世界が変化していく状況への不安もあって、正直しんどかった方も多いかもしれません。

最後のところで、最近私が出会った育児のお守りのような文章を紹介していますので、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

さて、以前の交換日記にも書かせてもらいましたが、妻であり、母であり、歯医者に行けば「永田さん」であり、1日のうちに何役も切り替えてこなしているせいか油断すると意識が外に外に出て行ってしまうんですけど、この子育て交換日記のバトンが回ってくると散らばっていた気持ちが内側に戻っていくのが心地よいなぁと感じます。

時々立ち止まるって大事ですね。

最近の我が家はこんな感じ。

夫:自営業
(ほぼ在宅。運動不足の解消に余念がない。)
私:Weekender編集部、撮影の仕事など
(もうクリスマスで頭がいっぱい。)
息子:5歳9ヶ月&3歳9ヶ月
(体験レッスンを巡り、習い事を開拓中!)

 

5ターン目のテーマである「子育てしてみて気づいた、受けつぎごと」を書く前に、少し私の両親について書いてみます。

家族構成は父、母、私、3つ下のファンキーな妹。

父はとにかく海が好き。
夏の始まりには小学生よりも嬉々としていて、普段は滅多にLINEをしてこないけど毎年決まって送ってくるのは「今日セミが鳴きました」の一行。
ということで、我が家は私たち姉妹の幼い頃から毎週のように朝5時起きで和歌山の海へ行き、1日中泳いで、焼肉をしたり、砂のお城を作ったり、蟹やヤドカリを捕まえて遊びました。

素潜りでタコや貝を獲ってくるのが趣味である父が選ぶ海は海水浴場ではなく本気の海岸なので、海の家なんかがある海に行ったのは大人になってから。(感動しました…!)

イメージしていただいているようなサーファー系のおじさんではなく、お腹の出た普通のおじさんで、オシャレとは縁遠く着ているTシャツは「Basketball!」(やったことない)や「Firefighter!」(もちろん違う)などを、よく着ています。
FBIと書いたジャンパーを買おうとした時はさすがに止めました。

そんな父は秋冬は全く活動しないので、家族の思い出は夏ばかりです。

母は、6人姉妹の6番目。
2番目の姉の夫が経営していた喫茶店には、年頃になった妹たちが順番にアルバイトに行く流れがあり、なんと6人姉妹中、長女以外の5人がそこのお客さんと結婚したという…!
今ならTikTokでバズりそうな経歴の持ち主。
もちろん父もお客さんの一人だったそうです。
(となりの人間国宝さんという関西のローカル番組で最近知りました。)

凝った手料理を作るタイプではないですが、家で出てくるたまごサンドもミックスジュースも喫茶店の味。

6女ということもあり、幼少期はなにもかもお下がりで育ったため最近になってオシャレしたい欲が爆発し、Oggiを読んでは「似た服を近所で探す」というのが趣味のようです。

振り返るとまさに自分の土台になっていた、受けつぎごとはこの3つ。

子育てしてみて気づいた、受けつぎごと
1.DIY精神の原点=母の決めゼリフ「家で作れるやん」
2.いつのまにか与えてもらっていた「根拠のない自信」
3.不思議と身近な存在だった「本」

 

1.DIY精神の原点、母の決めゼリフ「家で作れるやん」


DIYなんてオシャレな言葉は当時なかったので、ただの節約法だったんだと思います。

りかちゃんの服が欲しいと言ったら、その場で履いていたグレー×ピンクのボーダーの靴下を脱ぎ、足首の部分を切って胴体にはめられた日。
(幼い私にとってDIYへの悟りが開かれるきっかけとなったこの出来事を、心の中でチューブトップ支給事件と呼んでいました)

それ以降も、出かけた先で目新しいものを見ても「これ切って貼って色塗っただけやな、作れるやん」と、そう言うだけ。

だからといって帰宅して作る事は稀だったんですが、物を見る視点が「可愛い→欲しい!」ではなく「どうやったら作れるか」という価値観で養われました。

今ちょうど息子たちが工作に夢中なので、100円ショップやホームセンターで材料を揃えてはあれこれ一緒に作っています。

流れていく毎日の中で「時間が足りない」と思うことはあっても、「面倒くさい」と思うことがないのは、母の「作れるやん」という一言でわくわくした気持ちになれたからかもしれません。

買った品物を失うことはあっても、身につけたスキルはちゃんと自分の財産になって積み上げていけるって魔法みたいですよね。

他にも、大切な人を喜ばせる喜びを感じてもらいたくて、誰かの誕生日にシフォンケーキをデコレーションするのも長男が1歳の頃から恒例イベントにしています。
(少なくとも5年で30個以上はデコレーションしたはず…!)

 

2.いつのまにか与えてもらっていた根拠のない自信

関西人あるあるだと思うんですけど、照れもあってか、あまりわが子を真正面から褒めたりしないんですよ。

たとえ我が子が誇らしいと心の中で思っていても、どこか客観的に見ていたいというか、落としどころをみつけて笑いにする文化が根強く、もちろんそんなやりとりの中で子供もちゃんと愛情を感じて受け取っているという、ちょっと特殊な空気感で家族の絆が形成されています。
(特に我が家がそうだっただけかもしれませんが。笑)

そんな中で、小さいころから絵と作文だけはなんとなく両親が褒めてくれていた記憶があり、運よく入賞した時の賞状は額装して子供部屋に飾ってくれていました。

振り返ってみるとそれが見えない自信となって、学生時代の好奇心旺盛な自分のベースになったのかもしれません。

「ヘタの横好き」という言葉がありますが、5教科のテストじゃない分野は正解も間違いもないし、言ってしまえば本人だけの勘違いでもよくて、ただ自信を持って取り組める分野が1つでもあったことは幸せな子供時代だったなぁと思います。

NEXTWEEKENDの取り組みであるコミュニティプロジェクトの #かぞくごと で、3M社の「コマンド」の使用方法のひとつとして、子どもの目線の高さに絵を飾ることは自己肯定感を高めることに効果があると聞いたときに「なるほど!」と納得。
(「叱りすぎた後も、忙しかった日も、“I love you”が伝わる壁」より)

 

3. 不思議と身近な存在だった「本」

幼き頃に父はよく私たち姉妹を本屋に連れて行ってくれて、好きな本を一冊選ぶ時間を与えてくれました。

中高生になってからは「買いたい本があるのにお金がない時はいつでも言えよなぁ」と常々言っていました。

そうは言っても我が家は特に裕福なわけでもないし、(りかちゃんの服も母の靴下ですしね)父に本代を請求したことは一度もありません。

でもその言葉があったから、人生の先輩方の知恵がまとめられたものや、開くだけで没入できるほど魅力的な物語が世に出るまでの工程も含めて本が高いと思ったことはなく、一度もためらわずに買えたのはラッキーだったなと思います。

チームガルテンの「#こそっと言いたい」というラジオの27回目であやのちゃんが「親の言葉は子どもの根っこになる」と言っていたのですが、まさにそういう何気ないセリフが、実は子どもの価値観を築く材料になるんですね。

もしも大量の本を「読みなさい」と父から与えられていたら私は全力で逃げ出していたはず。

父はきっと何の策略もなかったと思うけど、絶妙な距離感も見習いたいところです。

 

番外編として、ゲームも積極的に子ども達にさせてあげたいと私は思っています。

実は海男の父はゲームが大好きで、私たち娘がサンタさんに願うまでもなく発売日にはいろんなゲームが家にありました。(あ、今思うと秋冬は家でゲームをしていたんですね)

思い返せば今活かせている要素として装備の工夫(ドラクエ)、夫との連携(ウイイレ)、コミュニケーション力(マザー2)、多様性(ゼルダの伝説)、危険察知能力(マリオとワリオ)、タイミング(マリオのRPG)、童心の担保(ぼくのなつやすみ)、忍耐力(牧場物語)、BGMの重要性(聖剣伝説)、日本の地理と名産品は言わずもがな桃太郎電鉄です。

特にドラクエに至っては、義務教育にすべきだと冗談抜きで思う程、私のルーツになっています。

当時は今みたいにネット環境も整っていないので、攻略本が発売されるまでは、父と本気で城の鍵を探し回ったり、何度も破れながらアイテムを厳選して強敵のボスに立ち向かったり、かと思えば母がゲーム機のコードに足を引っかけて一瞬でセーブデータが消えたり、理不尽に感情を振り回されながらも工夫して味わう達成感を知りました。

この経験が無かったら、きっと私は「努力したって思い通りにはいかない上にライオンキング並みに絶賛ロングラン公演の子育て期間」を今みたいに楽観視できていないのでは?と思うほど。
息子たちとゲームで対戦できる日が楽しみです。

 

最後に、先日手にした育児本【子どもが幸せになることば】(ダイヤモンド社/田中茂樹さん著)に、「子どもはもともと元気な存在です。元気でいさせてあげるだけで幸せになるためにどうするかを自分で探して動き始めます。」と書かれていました。
シンプルながら、ハッとしました。

成長した先に、いろんな困難に立ち向かっていくのは子ども達。
あれこれ思うことはあっても、親が悩むより、鬼になって怒るより、正論をぶつけるより、いつでも帰りたい家の空気を作ることができたらそれだけでいいのかもと思うと、肩の荷が下りました。

THE大阪のオカンで、おおざっぱで愉快な母を受けつぐときが来たようです。

 

さて、次にバトンを回すのは、とにかく愛情にあふれているGARTEN COFFEEバリスタのあさみさん。

雨の日でもキャンプに出かけ、2人の息子さんといつでも目線を合わせて共に楽しみ、学ぼうとする姿勢が本当に素敵。

仕事に子育てに大変なはずなのに、絶妙なタイミングで私のことも気にかけて連絡してくれたりするんですよね。

幼き頃に自然の中で培った経験、ご両親から注がれた愛情、子どもたちに伝えていきたいこと…聞きたいことがたくさん!楽しみにしています。

 

Illustration:Chiharu Nikaido

Share On