今月のNEXTWEEKENDの月間テーマは
「今だから見えるもの#知らなかった景色」。
大人になるにつれ、思い出は増えていくもの。
大事なものだからといって引き出しの奥にしまってしまうのはなんだか寂しいなあと思うし、せっかくなら別の方法で活かしたり、家族ヴィンテージはしっかりと受け継いでいきたい。
そんな思い出の品の活かし方について、Weekender編集部のみなさまに聞いてみました。
NEXTWEEKENDコミュニティマネージャー永田 尚子がお届けしていきます。
欠けてしまった大切な器を
金継ぎで修復
7年ほど前に購入したものですが、とても薄い器で縁を欠けさせてしまったことから、あまり食卓に登場させられませんでした。
でも、今回、金継ぎの技法(今回金は蒔いてませんが)で漆を使って修復したことで、器の素材感を生かしつつ、元通りに。
金継ぎは、手間と時間ががかかるからこそ、その作業の間は器と出会ったときのことや、ここに乗せてきたお料理などを思い出しながらお直ししました。
金継ぎを知った時、私も衝撃的でした。
割れてもまた使えるということ、それが修繕というよりは進化というか、元の姿よりもさらに深みが増しますよね。
これからも食卓で、様々なごちそうを乗せて登場させるのが楽しみですね。
祖母から譲り受けたおちょこを
ゼリー容器に
結婚して引越す時、祖母から「好きな食器を持っていっていいよ」と言われ選んだガラスのおちょこ。
最初は冷酒にぴったりと楽しんでいましたが、だんだん出番が少なくなってしまいました。
それを見つけた娘が「綺麗だね、使わないの?」と。
それからはこの酒器がゼリー容器として我が家で再ブレイク!
今年の夏に祖母は帰らぬ人となり、このおちょこが最後のプレゼントとなりました。
大切に、祖母との思い出を子供達に伝えながら使っていこうと思います。
「我が家で再ブレイク!」っていいですね。
このテーマを考えていたとき、まさに「大事なものだからしまっておく」のではなく、カジュアルに活用することで暮らしを楽しむシーンが集まったらいいなと思っていました。
何気ない感じでおちょこを譲り受けた日もまた記憶の中に刻まれますね。
結婚式で使ったリボンを
誕生日会のデコレーションに
ウエディングドレスのサッシュベルトにしたMOKUBAリボン。
夫との思い出のリボンを娘の誕生日のデコレーションに使いました。
リボンには、2歳になった娘が話せるようになった言葉をカリグラフィーで入れています。
母から娘へ…というほど大層なものでもないけれど、思い出を上乗せできて満足です♩
「2歳の娘さんが話せるようになった言葉をカリグラフィーで」ってなんて素敵なひらめきなんでしょう!
リボンの色も質感も綺麗ですね。
思い出の品ってつい「しまいこむ」ことが美学になりがちですが、こうして何重にも思い出を重ねていくことで、リボンも喜んでいるように見えます。
幼い頃に使っていた兵児帯を娘に
私が幼稚園のときに使っていた兵児帯を母が保管してくれていて、今年の夏祭りで初めて娘に浴衣を着せて、帯を使ってもらうことができました。
今風の柄や甚平なども迷いましたが、これまた母が帯に合う浴衣をプレゼントしてくれ、古風すぎずかわいく着せることができました。
保管状態が素晴らしい…!
浴衣・甚平は、世代を超えて着せられる日本のよき伝統ですね。
少し前は女の子の浴衣もレースやミニ丈、キラキラの柄をよく見ましたが、今年はレモンやトマト、あえて古風な金魚柄などをしっとりと着こなす子が多かったように思います。
我が家の次男が着ていた甚平も、夫が30年以上前に着ていたものをお義母さんからいただいて、長男が着て次男に巡ってきたというストーリーがあります。
母が大切にしていた
婚約指輪をネックレスに
母が亡くなって、ずっとしまったままだった婚約指輪を譲り受けたのですが、ちょっと着けにくいなあという昔のデザイン。
ダイヤだけ外させてもらって、物語を再生するというのがコンセプトのお店「stoRe」でネックレスにリフォームしました。
お気に入りのデザインにしてもらえたことでずっと着けていられるし、それを見る度に父が嬉しそうで、リフォームしてよかったなと思います。
お父さんはもちろん、お母さんも喜んでおられるでしょうね。
物語(story)、再生(Re)という意味のstoReさん、宝石をリフォームできるなんて知らない方も多いのではないでしょうか?
肌身離さず寄り添える思い出の形、いいなあ。
小学生のときに買ってもらった
プリンカップを手土産に
小学生の頃に買ってもらったプリンカップ。
長らく棚の中で眠っていましたが、友人宅でのバーベキューでジュレを入れて持っていきました。
長い歴史のある大切なものは大事にしすぎてなかなか使えませんが、エピソードとともに人前に出すと、より活かせるなあと新発見。
エピソードで会話に花が咲くのも、思い出の品のいいところですね。
実家に行くと本当に時が止まるスイッチでも押したかな?と思うほど、マグカップや壁の飾りがそのままだったりして驚きます。
先日よく見たら、トイレのスイッチに「付けたら消す」と(小学生の頃の私の字)で書かれたバッドバツマルくんのシールが貼られたままになっていました。(つらい)
フルーツジュレのレシピはこちら。
ちょっとしたおもてなしで「おぉ!」と言わせられる一品です。
母から譲り受けたワンピースで
新たな着こなしを
昔、家族旅行で母が購入したものを昨年の秋譲り受けました。
幼心に母が着ていた姿をはっきりと覚えていて、なんだか自分が着られるようになったことにドキドキします。
身長やスタイルもちがうので、母とは違った着こなしでワンピースの新たな一面を引き出せたらなあ、なんて思っています。
大切に置いておきがちな思い出の品こそ、受け継ぐことでもう一度生まれ変わったように活かされることもあるんだと実感しました。
母の服が着れるって憧れます。
我が家では私が処分しようとしてごみ袋に入れてあった服を「もったいない!」と思ったらしい母が奪っていて、いつのまにか着ているという謎の家庭内循環がありました。
いまだに見覚えのある服を着ていたりします。
毎朝のメイクもKOBE COLLECTIONと書かれた手鏡で細部をチェックしていたり…(つらい)
祖母が大切にしていた
物とエピソードを受け継ぐ
祖母からもらった、家族ヴィンテージ。
祖母は子どもや孫へのお祝いに金銭ではなく、大切にしてきたモノを渡す人です。
「これはおばあちゃんが結婚した時〜」「これはお父様がね〜」と語りながら渡してくれる古びた箱がいつも嬉しくて、子どもながらに上手く場を選んで使っていたっけ。
大人になればなるほど祖母のコレクションはありがたくて、大切な場でも、カジュアルにも使える宝物。
祖母の91歳のお祝いをした日、また譲りたいものがある宣言を受けて、祖母が元気なうちにいろんなエピソードを受け継がなきゃ…!と、使命感に燃えたのでした。
おばあちゃんから譲り受けたものが現役で使えるってすごいことですよね!
本当にいいものを大事に選んでこられた証。
私もそんな祖母になりたいので、今からちゃんと未来を見据えた買い物をしたいとさえ思わされました。
結婚式のギフトにした
ジュース瓶を花器に
結婚式の二次会ギフトに使ったマルティネリ(りんごジュース)、その空き瓶を花瓶として活用しています。
コロンとした形がお気に入りで、自宅でもよく使っています。
家族や友達もお花を飾ってくれているのを見ると、消耗品のギフトでも少しは思い出として形に残って良かったなあと思いました。
このジュース、美味しいですよね。
私も先日、後輩の二次会のプチギフトとしてもらいましたが、確かに捨てるには忍びないなとお花を生けたりしています。
我が家は出産の内祝いで「ピンクの甘酒」をお送りしましたが、届いたであろう時期に、Instagramで甘酒を楽しむシーンが全国のあちこちに溢れて、それがすごく嬉しかったです。
(この甘酒の瓶もまた、再利用したくなる可愛さなんです。柿ピーを入れているひともいましたよ…!)
家族にしてもらって嬉しかったことを再び
キャンプ道具は揃ってないけれど、お家の椅子やラグを連れて行ったら瞬時にお気に入り空間になったキャンプサイト。
コーヒーグッズを詰め込んだバスケットは母からの贈り物で、タープ は父から譲ってもらった道具たち。
なんでもない日に庭でテント泊する家で育ったから、家族が大事に使ってきた道具が思い出の中に色濃く焼きついています。
家族の数が揃った青いホーローのお皿セット、黒くて丸いバーベキューグリル、使いこまれたトング。
軍手姿のお父さんが好き…!
幼き頃の思い出は、少なからず自分の身体の成分となっていますよね。
なんでもない日もカスタマイズして楽しめる家族って最高。
道具も思いも受け継いで、繰り返す休日キャンプデーで子どもたちに伝わっていくのが楽しみですね。
いかがでしたか?
年末に向かって「断捨離」や「大掃除」を意識している方もいるかもしれないこの時期。
絶対的にとっておきたい宝物同然のものもあれば、節目ごとに処分しようか悩んでしまうものもある「思い出の品」。
大事なものも、しまいこまずに日頃から活かす方法を視野に入れてみると、見えてくる景色があるものです。
Weekenderの言葉を借りるならば、「思い出を重ねていく」ですね。
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