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大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。

この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。

今日ご紹介するのは、子どもが欲しくないのに結婚する意味を見つけられない相談者さんからのお悩みです。

はじめまして。
いつもガルテンの皆さんのインスタを拝見して、素敵すぎてまるでおとぎの国の住人たちの生活を見ている感覚になります。
さて、私は子供をつくる気がありません。
他人と家族になりたいという気も微塵もありません。
しかし、同棲5年目の彼はそんな私との結婚をいまだに望んでくれています。

なぜ結婚にこだわるのかを聞いても、「結婚は付き合った延長線上にあるものでこの年なんだから当然すべきだ。俺は子孫も欲しい。」と世間体を代表したような理由を述べるだけで、結婚というものに価値を全く見出せない私には理解がとても難しいです。
結婚せずに、ただ付き合っているだけで十分です。
一緒にいたいだけなのに、なぜわざわざ入籍をする必要があるのかが、本当に分からないのです・・。
彼の両親とも会ったことがありますが、残念ながら結婚したくない気持ちがさらに加速しました。
同世代の既婚者の友人に「結婚した理由は?」と質問しても、「好きだから」とか、「将来一人じゃ寂しいから」とか、ただの感情論でしか回答を得られず、はてなマークが浮かぶばかり…。
私の飲み友達には、50代以上の独身女性たちが数人います。
パートナーがいる人もいれば、そうでない人もいます。

彼女たちの、”家族”という見えない絆に縛られないさっぱりとした生き方が私の価値観と合致するように思います。
家族との結びつきを大切にしている萌さん、どうか教えてください。
子孫を残さないことを大前提とするなら、ひとが結婚する意義はあるのでしょうか?
(31歳・女性・会社員)

おとぎの国の住人たち…笑。

自分サイドから見ると、なかなかシュールな瞬間ばかりを生きていますが、SNSではそう見えるんですかね。

でも、見ていただきありがとうございます。

お悩みもお送りいただきありがとうございます。

大型連休明けにいただくお悩みは人生に絶望するようなものが多く(例年そうなのですが)、今回はどれにおこたえしよう、と考えながら車を運転していたのですが、相談者さんにいただいたこの問いに関して自分も向き合ってみたく、明確なこたえは持っていないまま車を停めて、最近気に入っている長崎市内の純喫茶でキーボードを打ち始めました。

遡ると、結婚という制度は、村を成して生活していた古代の日本社会には存在しませんでしたが、文明が発展したり欲が出て人間が争うようになったりしてから、敵か味方かを示すための政略結婚などが始まり、家が会社のような上下関係で成り立つ家父長制の強化など、現代を生きる私達からするとツッコミどころしかない、権力と共に縛り付けるためだけに始まったものだったのかもしれません。

だから、男女平等を目指し、それぞれが明日食べるものに困らずに暮らしていける現代社会における“結婚”の意義は、相談者さんの彼やお友達の言う通り、子どもや相続に関わること以外でいうと、ほとんどが感情論なのかもしれません。

ただ、基本的には戦がない私たちにとって、“感情”は重要な指針でもあると思っています。

そしてその曖昧な“感情”というものに輪郭を作るために、儀式や節目というものはそれなりに役に立つのかなと思っています。

かくいう私自身も結婚に固執していたわけではないので、夫に会っていなかったら、結婚していなかったかもしれないし、それならそれで能動的に好きな街に暮らして、今頃全く違う人生を楽しんでいたと思います。

ではどうして結婚したのかというと、私の場合それを決めたのが24歳と、正直持論をしっかり持っていたわけではありませんが、18歳から社会人だった夫は、私が出会った時点で、すでに転勤(アスリートなので移籍でしたが)を経験していました。

まだ彼女だった頃に「次は神戸に移籍するよ」と言われた時、「彼氏が引っ越すんだ、どうやって付き合っていこう」と、心の中で考えながらも、彼とは立っている場所が微妙に違って、どこか他人事だった記憶があります。

もちろん、夫婦になった今もお互いがしっかり自立していたいとは思っていますが、結婚してからは転勤に限らず、彼の中で起きた出来事が、自分に起きた出来事でもあって、「私たち、次は札幌に住むことになったね、どうしようか?」と当たり前に同じ場所に立って話ができるようになった気がします。

栄転や、良いことばかりではないのが人生なので、この報告をしたら相手は付き合い方が変わるかな?と怯えてしまうよりは、環境や条件など、外部的な要因が変化しても、基本的にはそれをチームとして捉えられるのは、お互いに心強いよな、とは実感しています。

恋愛以外の例え話をすると、少し前から、弊社で数年かかる場所作りのプロジェクトを進めているのですが、私は最初この話を会社でするのが怖かったんです。

大きな会社なら当たり前にそれを推進して、途中で人が出入りしたりすることも前提なのでしょうが、10人規模で属人的な仕事の作り方をしているうちの会社からすると、私があまりにも未来の話をすることでみんなを縛ってしまっていたらどうしよう?出産とか生活の転身とか、それぞれに何かをしづらくさせていないかな…?と、不安でした。

ただ、決まった時に社員がみんなものすごく喜んでくれて、当たり前にそのプロジェクトに自分がどう関わるかを話してくれているのを見た時に、もちろんそれぞれ途中でどうなるかは分かりませんが、深いプライベートの会話もすごくしやすくなった記憶があります。

人はみんな、自分以外の人にはなれないので、他人の本心を真に理解することはできないと思いますが、未来を一緒にいることを、あくまでも前提として話せるのは、先行きの見えない時代を歩く上では精神衛生的にとても良いことなのかなと思います。

そう考えると「病める時も健やかなる時も、この人と添い遂げたいと思う」ということをわざわざ宣言することで、同じ場所に立ち「あなたと私」の関係ではなく「私たち」として未来の話をしやすくすることなのかな、と。

ただ、この契約をしたからってずっと一緒にいなくちゃいけないわけでもなく、「(あなたと私が共に成長しながら、いつまでも尊敬できて一緒にハンドルを握りたいと思える相手であれば)病める時も~」と、前提条件は現代版に言い換えたっていいよな、とは常々思っていますけどね。

さっきちょうど運転をしながら、ウインカーを出して車線変更をして法定速度を守ってアクセルを踏んでいた時に、もし自分が大草原の真ん中を運転していて周りに動物も人もいなければ、もっとスピードを出すしもちろんウインカーなんて出さないよな、と思ったのですが、同じように相談者さんと彼が無人島に二人で住んでいるのであれば、そんなことで悩まなくてもいいはずなのに、結局のところ、社会の中で生きていくからチーム宣言が必要なものとされるのでしょうね。

NEXTWEEKENDで提案しているFAMILY NOTEの裏表紙には「Family,where your heart belongs-家族、それは心の帰る場所-」というメッセージを入れました。

これは別に、制度上の話ではなく精神的に帰れる関係であれば十分成り立つし、そういう人に出会えることが人生における宝物だな、と思っています。

あらゆる制度に囲まれた現代社会で、恋愛においてだけは無人島にいるような気持ちで、他人や社会を意識せず貫くこともきっとできるし、そういう価値観もあると思います。

逆に制度が邪魔をして、結婚しない方が良い関係でいられるようなカップルもいるかもしれません。

ただ、結婚したからといってものすごく縛られるような現代でもないとは思うので、子孫繁栄を前提としなかったとしても、無人島ではないところで生きる上でのチーム化のひとつの形、くらいに捉えてみてもいいのかな、と思います。

なんなら私は結婚を更新制くらいに思っています。お互いに言えることですが。

ただ、相談者さんの彼が子どもを欲しがっているという点は、結婚するしない以上に、第三者の人生も関わってくるかなり重要なポイントなので、余計なお世話ではありますがそこはお互いに今後の人生を考えた上で話し合われるのが良いのかなと思います。

応援しています。お互いに頑張りましょう…!

 

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「編集長がこたえます」が本になりました

人生の変化を迎える全ての女性に贈りたい!

NEXTWEEKENDの人気連載「編集長がこたえます」が1冊の本になりました。

その名も「深夜の、かけこみ横丁」。

「自分が何者でもないことが不安です」
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身近な人にこそ言えない、人の悩みは十人十色。
今日もきっと、誰かが悩んでる。

横丁で隣に座ったような気持ちで、誰かのお悩みを聞いて、考えて、語って。
気づけば自分のお悩みもスッキリするような1冊です。


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今自分が悩んでいることを書きこんで整理できるノートつきです。

▲悩んだ日に食べたい、横丁のレシピ
悩んだ日でもお腹は空く。
食べたら明日からちょっと元気になるようなおつまみとお酒のレシピも、お悩みのシーンごとに掲載しました。

「深夜の、かけこみ横丁」
著者:村上萌
発行元:カエルム株式会社
仕様:176ページ/B6版製本
定価:1760円(本体1600円)
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