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日本だけでなく、世界各地で古くから伝わってきた植物療法。
連載「植物で叶える。現代版おばあちゃんの知恵袋」では、植物療法士であるWeekender編集部代表コラムニスト齊藤 渚さんが、今の暮らしに取り入れやすいフィトテラピーTIPSをお届けしていきます。

夏と秋が行き交うこの頃。

お花屋さんへ行くと、コスモスやリンドウ、ワレモコウなど、秋色の花々の顔ぶれに、すっかり秋めいてきたなと感じます。

秋の七草と言えば、萩、ススキ、葛の花、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、桔梗。


▲ススキ・ナデシコ・フジバカマ

春の七草のように食べることはなく、観賞用として、あるいは俳句の季語として秋の風情を楽しむ植物というイメージですが、実は薬用植物もあるのです。

その一つが葛。葛の根は身体を温め、発汗させる働きがあります。

風邪のひき始めに飲む葛根湯に入っている生薬としても有名ですよね。

葛粉をお湯で溶いた葛湯もまた、風邪の養生に効果的。

子どもの頃、口にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回は、風邪症状におすすめのハーブ「エルダーフラワー」と梨を加えた、爽やかな味わいの葛湯をご紹介します。

季節の変わり目に体調を崩しやすい方に、ぜひどうぞ。

 

梨とエルダーフラワーの葛湯

旬の梨は、東洋医学では身体の渇きに潤いを与え、余分な熱を取ったり、咳をしずめたりする力があると考えられ、今の時期におすすめな果物。

そして、エルダーフラワーは、利尿作用や発汗作用が高く、体内の毒出しをする働きがあり、ヨーロッパでは古くから子どもや妊婦も使える風邪薬として使われていました。

マスカットに似た甘い香りと、キンモクセイのような小花が可愛らしく、飲みやすいハーブティーになります。

葛だけでもちろんいいのですが、この2つを加えて、よりパワーアップした葛湯を作ってみましょう。

 

材料(1人分)

・葛粉(本葛):10g
・梨:1/8切れ
・エルダーフラワー(食用・ハーブティー用の乾燥したもの):小さじ2
・ハチミツ(砂糖):小さじ1.5~2
・熱湯:120ml

※お子さま用の場合:
6歳以上ならエルダーフラワーをお飲みいただけますが、最初は大人の半量、小さじ1でお作りください。
また、ハチミツは1歳未満のお子さまには不可ですので、砂糖を使ってください。

※葛粉はジャガイモ澱粉など余計なものが入っていない、葛粉100%のもの(本葛と表記されているもの)を使用してください。栄養価が違います。

作り方

1. ティーポットにエルダーフラワーと熱湯を入れ、30分おく。
ハーブティーとしては、5~10分おけば十分ですが、葛粉を溶く際に高温だと固まってしまうため、30分かけて冷まします。30~40℃程度になると溶かしやすいです。

2. ハーブティーを冷ましている間に、葛粉と梨を用意する。
梨は、小さく角切りすると食感が良いですが、小さなお子さまに与える際は、すりおろしても良いです。

3. ハーブティーが冷めたら、葛粉が入ったボウルに少しずつ注ぎ、かき混ぜる。
ハチミツではなく、砂糖を入れる場合はこの時点で一緒に溶かしましょう。

4. 【3】を小鍋に移し、軽く混ぜながら弱火にかける。
白濁としていた液が少しずつ透明度が増し、とろみが出てきます。フツフツと沸騰し始めたら、そこから10秒ほど混ぜながら加熱し続け、火を止めます。

5. 最後にハチミツと梨を加えたら完成。温かいうちにいただきましょう。

葛粉になじみが無い方もいらっしゃると思いますが、片栗粉のように煮物やスープのとろみづけなどお料理に使えるので、一つあるといいですよ。

風邪はひき始めの対策が肝心なので、「あれ?怪しいかも…」と思ったらすぐに取り入れてみてくださいね。

 

<参考文献>
「自然ぐすり」森田敦子(ワニブックス)

 

Editor:Tomomi Watanabe , ふじのあやこ

 

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