何かをしている時に、突然口の中で妄想が始まって、もうそれしか考えられなくなることがある。
娘がお腹にいる時はさらに顕著で、「中華ちまき!」「アロエヨーグルト!」「栗蒸しようかん!」と、口の中にワガママなかぐや姫でも住んでいるかのごとくお達しがきて、それ以外が食べられないというツワリだったので、自分自身にずいぶん振り回されてきた。
つい最近、仕事をしている時に、「ぜっ…ぽりーに…」という、言葉より先に膨らんだ口の中の妄想に追いつこうと、後から必死でその名前を思い出したものがある。
ゼッポリーニ。
それは、素敵なイタリアンで前菜を頼んだりすると、そこにひとつだけコロンと入っているもの(という認識だった)。
海苔の入ったナポリの揚げパンで、最初のワインとともに楽しいイタリアンの時間が始まる象徴でもある。
初めて自覚して食べたのは、今からもう10年くらい前に住んでいた神戸、北野坂にある大好きなピッツェリア「アズーリ」で出てきた時。
今も神戸に行くたびに訪れている大切な場所。
(おそらくこの写真のお皿の中で言うと、ムール貝と豆の間で頭だけ見えているカリカリのもの…)
そして何かを食べたいと思った時に選択肢が決して多くないのが、今住んでいる長崎の(市内からはかなり離れた)家。
突然それが食べたくてしょうがなくなり、気持ちの行き場がなくなったので作り方を調べてみると、案外材料がすべて揃っていたので早速その日の夕飯に取り入れてみた。
せっかく長崎に住んでいるので、あおさを活用。(東京の半分以下くらいの価格で買えるという衝撃)
とにかく美味しくて、家で食べられることが嬉しくて。
私は一度ハマると何度か同じものを作って研究してしまうところがあるので、その日から4日連続で食卓に出してしまったため、今はちょっと活動休止中。
でも、仕事の休憩中に発酵だけさせておけば後は夜に揚げるだけなので本当に簡単で!
“できることをやる”というだけでなく、“できないけれど興味があるもの”という少し上にあるラインを定期的にちゃんと超えてみるということ。
それは、今後もお店で出てくる美味しいに出会ったり、素晴らしい作品に触れる時に“そういうもの”として一線を引くのではなく、相手の背景を想像できるということにも繋がると思う。
作るから、見えること。
ありがとうゼッポリーニ。
5つくらいのレシピを色々と試したけれど、どれも大きな違いはなかったので、私の中でベストだったバランスをご紹介します。
あおさのゼッポリーニ
材料(約4人前)
・あおさ(青のりでも◎)
※乾燥のものを使ったので少量の水で戻しておく。生が手に入る人は生で!
・強力粉…120g
・薄力粉…85g
・塩…小さじ1
・きび砂糖(普通の砂糖でも◎)ひとつまみ
・ドライイースト…3g
・40℃くらいのお湯 130ml
作り方
1.ボウルの中にお湯、ドライイースト、砂糖を入れ少し混ぜてから強力粉、薄力粉、水気をしぼったあおさを入れよく手で混ぜる。
2.粉っぽさがなくなったら塩を加えてさらに混ぜ、ボウルの中央に丸めてラップをして1時間〜2時間程度常温に出して発酵させる。(時間が経つと2倍量くらいに膨らむ。)
3.揚げ油を熱して、170℃〜180℃くらいになったらそこに2をスプーンで小さめにすくって落としていく。スプーンにさっと油を塗るとすくいやすい。
4.表面がカリッとして色づいてきたら油から出して、仕上げの塩(分量外)をして完成。
ぜひ初夏のアペロにおすすめです。発酵した生地を冷蔵庫に入れてしまうとしぼむので、沢山食べられない場合は半量から挑戦するのが◎
1ヶ月ごとに季節を楽しみつくし、小さな野心を持って過ごすためにNEXTWEEKENDで毎月掲げている“月間テーマ”、2022年の6月はこんな気持ちでご提案しています。
これまでこのテーマごとに3つのWISHLISTを設定し、それに合わせて私は月に3本のコラムを書いていましたが、今月からは少しリニューアル!
WISHLISTをNEXTWEEKENDでご提案することはせず、みなさんそれぞれの中に生まれるWISHLISTを毎月のハッシュタグを通して教えていただけたらと思っています。
それに伴って私のコラムも月に1本、毎月5日に更新していきたいと思います。
今月の動画もぜひ見ていただけたら嬉しいです。
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始まったばかりの6月!
#密かな研究を合言葉に楽しみつくしていきましょう。
良い1ヶ月になりますように。