#DiscoverTochigi 企画の移住体験レポート第3弾。
益子編、那須塩原編に続いて、移住体験企画のフィナーレを飾る土地は「栃木市」。
今回の体験者は、移住体験チャレンジメンバーに応募された方の中から選ばせていただきました(たくさんのご応募ありがとうございました!)。
栃木市での移住体験にチャレンジしてくれたのは、金丸ゆき菜さん。
東京在住の金丸さんは、夫と子ども3人(11歳息子、8歳娘、4歳娘)の5人暮らし。
家族全員揃ってのショートステイは、同じような家族を持つ方へのヒントになるはずです。
家族5人で挑戦!
金丸さんファミリーの移住先は「栃木市」
「栃木県には、休日によく訪れている大好きな場所があります」という金丸さん。
しかし、移住となると、子どもが3人いる生活の中で、引越しや学校の転入などを考えると、かなりのハードルの高さを感じているそう。
金丸さん:
「四季を感じられる場所で子どもがのびのびと育つことは、理想の生活のひとつ。ただ現実としては難しさの方に目がいってしまいます。移住を今後の選択肢に入れられるかどうか、この体験で何か掴むことができたら…と思い、応募しました」
今回滞在するのは、栃木県の南部に位置する「栃木市」。
東京から電車で約1時間というアクセスの良さと、山や川に恵まれた豊かな自然とのバランスが魅力。
中でも「蔵の街」と呼ばれるエリアは、江戸時代から残る蔵造りや西洋建築の建物が混在する風情のある街で、観光客にも人気があります。
そんな歴史と文化がある街で過ごす4泊5日は、「移住体験中にも普段通りリモートワークをする」、「(学校など預け先がないので)子どもと常に一緒に過ごす」という条件つき。
リアルな生活に近い形で過ごすことになる、金丸さんファミリーのショートステイ。
果たして、理想としている景色に出会うことができるのでしょうか?
金丸さんにも、事前にやりたいことを掲げてもらいました。
金丸さんのWISHLISTは、野菜や大地、動物…といった自然に触れること。
自分や夫はもちろんだけれど、子どもたちはどう感じるのか…?
その反応が、地方移住への舵取りに大きな影響を及ぼしそうです。
栃木市で叶えた
5つのWISHLIST
1つ目のWISHLISTは、「自然に触れることを日常にしたい」。
そう語る金丸さんが、個人的に興味があるのが “土に触れる”体験。
そこで、野菜や果物を収穫できる農園をハシゴすることをプランに組み込みました。
最初に訪れた先は、栃木市に隣接する小山市で、農薬・肥料不使用の自然栽培をしている「木こり農園」。
金丸さん:
「鎌で芋のつるを刈り取り、無農薬栽培のサツマイモを収穫するという、なんとも活動的な時間を過ごしました。土の中から出てきた、しっとりと鮮やかな紅芋に感動しきり。そんな中、子ども達は途中で飽きて、虫やカエルを捕まえたり、泥団子を作ったり…そんな自由な姿を見て、自然の中で夢中で過ごせることは、都会の日常では得難い経験だなと思いました」
全身ドロドロになったお芋掘りの後に向かったのは、「いわふねフルーツパーク」。
ここでのお目当ては、栃木オリジナル品種のブランド梨「にっこり」狩り。
この梨の特徴は、何と言っても両手で抱えるほど大きいこと。
金丸さん:
「梨園にたわわに実る梨は、見ていて心躍る景色。息子や娘は“一番おいしくて大きい梨を探そう!”と行ったり来たりして、嬉しそうに収穫していました。試食してみると、みずみずしくさっぱりとした甘さ! その後、グループで訪れていた方々も、誰が一番大きくて重い梨を獲れるかを競争していて、年齢問わずみんなが同じ気持ちになれるところだなと、なんだか心が温かくなりました」
立派なサツマイモや梨を持ち帰るだけでなく、旬の野菜や果物を通じて、四季の移り変わりを肌で感じられたことが、この日の大きな収穫。
そして触れあったのは、土だけでなく動物とも…!
金丸さん:
「家族揃って『小山乗馬クラブ』へ。本格的な乗馬って、東京ではなかなかできないですよね。生き物に乗るという緊張感、どれだけ体力気力を要するのか、大人の私でも初めての感覚を味わえました。子どもたちもそれぞれ感じることがあったようで…都会にあるような動物ふれあい広場とは比べ物にならない、貴重な経験ができたと思います」
芋掘り、梨狩り、乗馬、そのあと訪れたのは全身筋肉痛。
そんな心地よい疲労感に、「ここに住んでいたら、週末ごとに自然の中でたくさんの遊び方ができそう」と、自分の価値観の変化を感じたようでした。
2つ目のWISHLISTは「地元農家さんの無農薬野菜で料理がしたい」。
移住を想定すると、毎日の料理は必要不可欠。
食材を調達するなら、せっかくなら地元の新鮮な野菜で、と事前に下調べをしていた金丸さん。
訪れた「湊町エピスリー」は、魅力的な商品が楽しくディスプレイされ、観光客がわざわざ来るスポット。
ここでは事前に玄米を予約し、無農薬野菜、調味料、カレールウ、味噌、チョコレート、さらには来年のカレンダーまで購入。
足りないものは近場のスーパーで買い、移住施設で夕ご飯作りをすることに。
金丸さん:
「夕食に作ったのは、バターナッツと玉ねぎのスープ、ごぼうと人参のきんぴらといった、地元食材を使った野菜たっぷりメニュー。翌日の昼食には野菜カレーを作りました。食べ盛りの子どもが一緒なので、旅気分で外食ばかりにならないように意識しました」
翌日には、1つ目のWISHLISTで収穫したさつまいもで、娘さんとスイートポテトをたくさん作り、地元の方にお裾分けをしたそう。
自分の手で収穫して調理し、分かち合いながら食べる…という流れは、子どもにとっての食育に。
そして食卓に並んだのは、ひとつのスーパーで買って終わり、ではない料理。
誰かの顔が浮かぶ味は、きっと家族みんなの記憶にはっきりと刻まれたはずです。
3つ目のWISHLIST「過ごしやすい空間を作り、心穏やかに過ごしたい」は、暮らす上で、最も重要な項目といってもいいかもしれません。
今回、金丸さんが宿泊した「IJUテラス 蔵人館(くろうどかん)」は、栃木市にお試し移住をするために作られた宿泊施設。
キッチンやバストイレ、収納家具や家電が完備され、まるで自宅のように過ごせる2階建ての居住空間になっています。
ここは、ショートステイの拠点にするだけではなく、いつもの暮らしの延長にあるような過ごし方ができる場所。
例えば今回、ちょうど娘さんの誕生日と重なったので、家族みんなでささやかなお祝いをしようと、フォトジェニックな空間に飾り付けました。
金丸さん:
「かわいいバルーンを用意して部屋に飾って、バースデーケーキの代わりに、小山市にあるドーナツ屋さん『DO MY THING AMAZING DONUT』のメッセージボックスを予約しておきました」
チャーミングな表情をした色とりどりのドーナツに、娘さんも喜んでくれた様子で大成功。仮の宿でも、ちょっとした工夫であたたかさが加われば、もうそこは我が家同然。
お店や名所など外に意識を向けがちな旅行とは違い、家の内側でも楽しむこと。
これぞ移住体験をよりリアルに、そして豊かに過ごすコツかもしれません。
4つ目のWISHLISTは、「子どもと文化や歴史を学びたい」。
栃木市は、小江戸と呼ばれてきたエリア。
市の中心を流れる巴波川(うずまがわ)では、観光名物にもなっている「蔵の街遊覧船」が当時の面影を残しています。
金丸さん:
「ゆったりと川を下る舟の上から、きらきらひかる川面と蔵の街並みを堪能。法被姿の船頭さんが竹竿で舟を操りながら、かつて江戸との舟運で賑わった巴波川の歴史を説明してくれて、とても風情があります。子どもたちは、鴨や鯉に餌をやることに夢中になっていました。最後には、昔から受け継がれている船頭唄で締めくくり。暮らしの中に歴史が溶け込んでいて、なんとも不思議で貴重な経験でした」
そして別の日には、情緒あふれるレトロな街並みを散策しがてら、江戸時代創業の味噌屋が営む甘味茶屋「田楽あぶでん」にふらり。
金丸さん:
「有形文化財指定の趣ある建物で田楽やアイスを食べていると、まるでタイムスリップしたかのような感覚に。江戸から今へと語り継がれている蔵の街を、どっぷり体感することができた5日間でした」
最後のWISHLISTが「地元の味と関係性を生活に取り入れたい」
金丸さんが気になっていたのは、栃木県の無農薬野菜。
そこで移住初日に真っ先に訪れたのが、栃木県小山市にある食堂レストラン「キラ星食堂」。
金丸さんの知人がやっているお店でした。
金丸さん:
「使われている野菜は“キラ星農園”のもの。実はこの体験の前から、キラ星農園が主催する畑イベントに定期的に参加していて、ここは絶対に寄りたかった場所でした。パワフルな無農薬野菜で彩られた、体にじんわりと沁みるような料理と、親戚のおうちに来たようなアットホームな雰囲気。東京からの車移動で初日から疲れたので、心からホッとできました」
子どもを含めた移住体験だけに、不安や心配もあるのは当然のこと。
親しい方の顔を見ることができ、移住体験をスタートすることへの緊張感もほどけた金丸さん。
移住2日目には、さらなる大地の味を求めて、有機野菜レストラン「自然薯(じねんじょ)の里」でランチを。
金丸さん:
「ここで出迎えてくれたのはかわいい動物たち。息子にアヒルがついて来たり、娘たちがウサギを触ったり…そんな子どもたちの姿を見て、成長過程で心に刻まれる経験をするのは大切だと感じました。ここで食べたランチも、25種類ほどの有機野菜を使った、体を労ってくれるような料理。移住体験で外食する際は、食べると心と体が喜ぶようなお店選びをすることも、意外と重要かも」
キラ星農園でも自然薯の里でも、「子どもたちが恥ずかしいくらいお代わりしまくっていました(笑)」というくらい、地元の玄米がお気に入りだった様子。
家族での暮らしには「みんなが健康であること」がベースにある。
それをサポートしてくれる、自然の恵みや生産者への感謝の気持ちが増したランチタイムになったようです。
5日間という短い期間ではあったものの、家族だけでの日々に終わらず、自給自足をする人たちに刺激をもらったことは大きな収穫に。
金丸さん:
「『湊町エピスリー』の店主さんに教えてもらったカフェ『cafe bazzar』でランチをした際、そこにいた家族連れの方に、勇気を出してこの土地での暮らしについて質問したりしてみました。ただ、やっぱり一番聞きたいのは、移住体験をした方の話。もし次があれば、家族で移住された方の暮らしぶりを知れる機会を作りたいですね」
同じ思いを共有できる先人がいれば、理想の暮らしを叶える手段がきっと見つかるはず。
金丸さん:
「これからも栃木の畑イベントに通うので、継続的なつながりを持っていきたいです」
金丸さんファミリーの体験した栃木市情報
行きたい場所はどうやって調べた?
Instagram、ネット検索がメイン。
移動手段は?
どこかに行く際は、基本的に車(レンタカー)で移動。
「コンビニやスーパーは、宿泊施設から徒歩圏内にあり、買い出しには不便は感じませんでした。ただ、(11月頭の)夕方17時にはかなり暗くなって、人通りもまばらな印象。徒歩以外の手段もあると良いかもしれません」と、金丸さん。
宿泊場所は?
栃木市の移住体験施設「IJUテラス 蔵人館(くろうどかん)」に宿泊。
宿の内部は現代的で居心地の良い空間にリノベーションされているので快適。
入り口には、人気カフェ「日光珈琲」も併設。
「清潔感があり、家族で住むのにも想像以上に過ごしやすい場所でした」と金丸さん。
平日のワークスペースは?
宿から徒歩2分に位置するレンタルスペース「ちるこ」を活用。
Wi-fiがあり、充電環境も整備。
移住先でも仕事をしなければならない、宿では集中できない、子どもも勉強できる、など目的に応じて使えます。
金丸さんファミリーは、大人だけでのリモートワークの他、家族5人で貸し切り利用も。
気軽に食材が買えるお店は?
前述の農園や湊町エピスリーの他、郷土料理のお惣菜が揃う「かねふくストア」で、夕食用のおかずを調達。
夫婦どちらも仕事をしながらの移住体験なので、上手にスーパーを利用。
いつもの家庭料理の延長で、地元食材を楽しみました。
家族とともに、土に近い暮らしを営む喜び
家族5人で移住体験にチャレンジしてくれた金丸さん。
自分一人で身軽に過ごせないだけに大変なこともあったのでは…?
金丸さん:
「風情のある蔵の街は観光地でもあり、穏やかに時間が流れている場所。私は、東京での人の多さや便利さに慣れてしまっているので、現実的に生活するペースをつかむには、もう少し通う必要があるかもしれません。特に子どもがいる家庭では、子どもを預けられたりと、平日の過ごし方のシミュレーションが具体的にできると安心ですね」
と、単身移住とは異なる、家族ならではのリアルな感想も…!
しかし、ショートステイしたことが大きなステップになったと語る金丸さん。
金丸さん:
「どんなに事前リサーチしたとしても、“とにかく体験してみる”に尽きます。学校を休ませて体験する以上、気軽にできることではありませんが、移住のプロセスとしてイメージしやすいのでトライしてよかった! 何より子どもたちがいつもと異なる環境が新鮮で楽しそうで、地方に住むことに意外に馴染めそうだったことが、とっても印象的でした」
いつもと異なる生活の営みに、面白みや喜びを感じることができた「栃木市」での5日間。
この地に足をつけたことで、家族それぞれが生活に対する意識に変化が出て、「〇〇があるところに住んでみたい」という会話が広がったそうです。
3回にわたってレポートしてきた、益子町、那須塩原市、栃木市での移住体験。
それぞれの土地には特徴がありながらも、地元民と移住者がうまく関わり合って、新たな文化を作っているのが共通点。
ちょっとでも気になったら、自分がやりたいことを思い浮かべて、まずは気軽にショートステイを。
あたたかく迎えてくれる土地で、あなたのWISHLISTが叶えられた時、きっと理想の暮らしに近づいているはずです。
お土産をプレゼント!
【移住体験レポート vol.3】をご覧いただきありがとうございました。
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募集期間
2021年 12月15日(水)〜12月29日(水)まで
当選者ご連絡
当選枠1名、1月上旬を予定。
※当選者の方にのみご連絡いたします。
※お客様の個人情報は本記事企画でのプレゼント発送にのみ使用いたします。
この記事は、NEXTWEEKENDと栃木県とのコラボレーションで制作しています。
Text:Hitomi Takahashi
Design : Hikari Mogami