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私の通っていた小学校は、1〜2年生の中庭、3年生の森、高学年の屋上といったその年齢だけが楽しめる遊び場があって、ひたすらに長く感じた小学校生活もそのおかげでいつでも進級するのが楽しみでした。

中でも特に印象に残っているのが“3年生の森”なるもの。

入り口を抜けると沢山の木々に斜面が広がり、その中では独自の通貨が流通していて、それぞれに好きな場所で基地を作って子どもたちがお店を開店していたのです。

もちろん、授業の合間の休み時間と放課後だけが私たちに許された時間でしたが、基地の中を整えるための椅子と称して切り株だけを販売するお店、アクセサリーのような小さな木の実を売るお店、花屋さんなど、それぞれに工夫しながらだいたい2人〜数人で大きな木の下や石を上手に使って区画を作りながらお店を営んでいました。

通貨の基本はメタセコイヤ(かヒノキの実)で、1つ100円。今もこれらの実が落ちていると「拾わなければ…!』という衝動に駆られるほど。

立派な切り株なんかは1000円で売られていました。

この森のルールを誰が決めたのか、私たちの学年より前からそうだったのか、今も母校の3年生たちが同じように遊んでいるのかは分かりませんが、4年生になるとその森からは卒業して屋上で遊び、気づけば思春期を迎え、あの楽しかった1年間のことを思い出すことはほとんどなかったのですが、自分に子どもが生まれてからこの森のことをよく思い出します。

それぞれにベストを尽くしながら自分の基地を豊かにして、工夫をシェアしながら楽しく暮らす、まさにNEXTWEEKENDで大切にしている「季節の楽しみと小さな工夫」は、ここに詰まっていました。

みんなで同じ正解を求めるゲームとは違って、自然の中にはひとつの正解がありません。

だからこそそこでの成功体験は誰とも比較ができず、唯一無二の自信になっている気がします。

人生が1本の道で、振り返った時にさまざまな思い出が“島”のように形を作っているとしたら、森の思い出はおそらく25年ほど離れた今の私からも見えるほど面白い形で私の人生の道に存在していて、最近のことでも忘れてしまうことだってあるのに、これが原体験というものなのかもしれません。

自分のコンディションが良くない時にSNSを見ていると、他人と比較したり落ち込んでしまうことがありますが、自然の中には今自分の目の前にだけ広がっている景色があります。

木々が一年で一番元気になる季節、少し疲れた時はシロツメクサでも編んで人目も気にせず野原で裸足になってみることを強くおすすめします。

きっとそこには誰と比較する必要もない気楽で純粋な心地よさがあるはず…!

NEXTWEEKENDで提案している4月の月間テーマは 「好きを育てる1ヶ月」。

みんなで楽しむSNS上のハッシュタグは #偏愛日記 です。

それに伴って提案している3つのWISHLISTから、今回は「小さな頃から好きな物を語りたい」についてコラムを書いてみました。

・好きだからこそ研究したい
・コレクションを眺めたい
・小さな頃から好きな物を語りたい

引き続き良い4月になりますように。

 

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