大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。
この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。
今日ご紹介するのは、3歳の娘さんと趣味嗜好が合わずストレスを感じる相談者さんからのお悩みです。
29歳主婦です。
同い年の夫と、3歳になる娘がいます。秋には第二子が産まれる予定です。
わたしはピクニックをしたり、花を愛でたり、インテリアをDIYしたりすることが大好きで、いつもNEXTWEEKENDを参考にさせて頂いて日々楽しく過ごしています。
ところが娘は、わたしの趣味嗜好に興味を持ってくれず、一緒に何かしたいなと思って準備をしても、拒否されてしまいます。
例えば、たまにはピクニックに行こう!と誘っても、お家が良い行きたくないと言われたり、近くのお花畑で花摘み体験があるから行ってみたものの、夫におんぶをせがみ一歩も歩かず、花摘みも一切やらなかったり、子供の絵をインテリアにしようと一緒に絵を描いてみても、線を一本描いておしまい!と強制終了されたり…。
せっかく準備したのにお互い全く楽しめなくて、どんどんストレスが溜まります。
娘はわたしとは別の人間ですし、自分の趣味嗜好を押し付けるのは良くないとはわかっています。
月齢的にも、反抗期が来ていてただただ拒否しているのかもしれません。
ですが、やはり娘と一緒に楽しみたいなと思ってしまいますし、
インスタで #かぞくごと の投稿を見ると、羨ましくてたまりません。
正直、何を提案しても娘には刺さらないみたいで、どのように遊べば良いのかもわからないです。
どうしたら、娘と一緒に楽しめるでしょうか?
(29歳・女性・主婦)
今日は家族が寝静まった後、夜中に原稿を書いているのですが、なにやら突然大雨が降ってきたようです。
この世界に一人だけのような静寂の中、ひっそりとキャンドルを焚いたところまではよかったのですが、部屋のどこかに蚊がいるなぁ。
刺されずにおこたえできるよう頑張ります。
さて、お悩みをお送りいただきありがとうございます。
いつもNEXTWEEKENDを参考にしていただいているとのこと、ありがとうございます。
第二子のご誕生も待ち遠しいですね!
3歳の娘さんと趣味趣向が合わずに悩まれているようですが、今の時点で娘さんの前に広がっている世界は、相談者さんがご家族で作られてきた価値観がほとんどだと思います。
一人の人間として尊重されているのは素晴らしいことだと思いますが、3歳といえば、ようやく物心がついたような年齢でもあります。
うちにも同い年の娘がいますが、去年は夏を“夏”だと認識して過ごしてはいなかったのに、今年になって「夏だからスイカがあるんだね」と、やっと分かってきたり、ともすれば今年が彼女の認識できる初めての夏なのかな?なんて思いながら一緒に過ごしています。
それくらい、彼女たちの世界は今まさに作られている途中なんだと思います。
だから、ピクニックや花摘みが嫌いで趣味が合わないということではなく、彼女たちは、まだ始まったばかりの人生の中で、今初めてそれに向き合っているところなのではないでしょうか。
だとすれば、その楽しさを教えてあげるのが親の役目かもしれません。
本能に通ずるものであれば、教えなくても食べたり眠ったりすることはできますが、文化的なことを楽しいと感じるためには、経験と知識が必要です。
私たち大人は、気候や天気が良い時に外に出てシートを広げて、美味しい食事を食べることに豊かさを感じるかもしれません。
それは、雨の日を知っていて、天気が良いことが当たり前ではないと知っているからだし、家の中で食事をすることが日常だと思っているからこそ、少しの工夫で非日常を体験できることに興奮するからです。
わざわざ準備して、理想通りの時間を叶えられたことに肯定感を覚えることもあります。
でも、子どもからしたら何が当たり前で、何が非日常なのか、たった3年の人生ではなかなか頭で理解するのは難しいかもしれません。
だから、準備をする楽しさを教えたいなら、子どもの好きなお弁当箱に食材を一緒に入れてみる。
天気の良い日のありがたみを教えたいなら、雨の日に「お天気が良くなったらピクニックに行こうね」と約束してみる。
ピクニックの豊かさを感じてほしいなら、実際に行けた時に、めいっぱい一緒に遊んで、たとえば花の香りをかいで名前クイズをして、寝転がってみる。
そんなことの積み重ねで、ピクニックが好きになっていくのだと思います。
そう考えると、今の時点で趣味が合わないと諦める必要もないし、自分が楽しいことを子どもが楽しがっていなくてもがっかりする必要もないと思います。
子どもの絵をインテリアにしようと思った時に、線を1本しか描かなくても、それは十分、今の彼女なりのアートです。
インスタでは素敵なものが多く見えるかもしれませんが、SNSに投稿せずとも、相談者さんがその1本の線をしっかり褒めて、壁に飾って、帰ってきた家族に報告して、なんてことをしていたら、「絵を描くって楽しいな」という感情が芽生え、次は線を2本描いてくれるかもしれないし、線に手足や目玉を描くかもしれません。
言葉で教えること以上に、親の反応が子どもの価値観を作る、と私は思っています。
それは子どもが親に対して何かをしてくれた時に、喜んだり驚いたり、思い切り頷いたり、爆笑したりふざけたり、と、親子間でのリアクションの話でもありますが、たとえばお風呂に入った瞬間に「やっぱりお風呂は最高だ〜」と言葉にすることや、何かを食べた時に「美味しい!なんだこれは!」と感激すること、夕日や虹を見た時に「綺麗だねぇ」としみじみすること、日々出会うものに親がどうリアクションするかで、子どもの文化的価値観は作られていくのだと思います。
極端な話ですが、iPhoneのSiri(音声アシスト機能)に絵本を読んでもらっても、子どもは物語の事実しか認識しませんが、親がどこで抑揚をつけるのか、どこで表情が変わるのかによって、喜びや悲しみ、恥ずかしいという気持ちや、感動する気持ちを知り、子どもにとってその絵本の印象というものが、まるっきり変わるはずです。
だから、娘さんがつまらなさそうにしていても相談者さん自身がちゃんと楽しむ背中を見せることが結果的に彼女の価値観形成にも影響するし、「なんでこれを楽しいと思わないの?」と同じ温度感を求めるのではなく、どうしたら彼女の目に楽しく映るかな?と、初めてこれを知る人間に、もう少し手前の段階から楽しみ方を教えてあげられると良いですね。
きっとその過程で、相談者さんご自身がピクニックを好きになった理由や、花が好きになった理由、そんな原体験を思い出して、逆に子どもから教わることだってあるはずです。
第二子が生まれると、娘さんとのコミュニケーションもまた変わると思うので、あと少しの一人っ子期間を通して、相談者さんと娘さんならではの方法で楽しめますように!
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その名も「深夜の、かけこみ横丁」。
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身近な人にこそ言えない、人の悩みは十人十色。
今日もきっと、誰かが悩んでる。
横丁で隣に座ったような気持ちで、誰かのお悩みを聞いて、考えて、語って。
気づけば自分のお悩みもスッキリするような1冊です。
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悩んだ日でもお腹は空く。
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