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結婚して10年、出会った頃から夫はアスリートだったので世間の休日は夫の試合の日。

シーズンオフの冬季以外に連休というものはほとんどないし、私が休みを取らない限りは一緒に休日を過ごすことはできなくて、それを今更寂しいなんて思わないほどには、自分の中でそれが当然の日常になっている。

むしろ、夫が現役中に見ることができない景色や出会いをなるべく持ち帰って、少しでもシェアできたら…と、夫が遠征で不在の時なんかは必ず一人で冒険に出かけてきた。

神戸や大阪に住んでいた頃は淡路島に丹波篠山、札幌に住んでいた頃はニセコや富良野、今住んでいる長崎からは無人島に至るまで、いつも“次回大切な人を連れてくるためのロケハン”のような気持ちで、計画しすぎず偶然の出会いを満喫して、後日しっかりと計画を立てて夫や家族、友達を案内する、それが私にとっての冒険の楽しみ方だった。

5年前、そんな私に娘が産まれて冒険の相棒ができた。

オムツもミルクも卒業して身軽になった上に、日頃私が使う口癖や、行動、思考回路を同じように操る彼女との旅はほぼ一人旅の延長のようで、それでいて私にはもうできないような表現方法で喜んだり悲しんだりするもんだから、とにかく全ての景色や出会いが楽しくて。

いつでも心を20年後にタイムスリップさせられる特殊能力(?)を持っている私としては、あどけなさが残る声で、一生懸命考えながら出てくる言葉を全部覚えておきたくて、たびたび胸がいっぱいになる。

今回の大型連休、夫が遠征続きで数日間不在だということを聞いた時、何をするでもなく娘と二人でいつもとは違う場所で暮らそうと決めた。

朝起きて、窓を開けて塗り絵をして、ちょっと遊んで昼寝をして。

ご飯を食べて、仕事をして、プールで泳いで。

と、動物園のシロクマのような生活を数日間繰り返した。

初日に、娘と二人でピアスとイヤリングを作った。

私はその日着ていた、カーキ色のワンピースをテーマに色を重ねて、娘のイヤリングは“しろまんじゅう”というテーマなんだそう。

それぞれに完成したアクセサリーを身につけて、いつものように肩を組んで二人で写真を撮ってもらった。

私自身もそうだったように、あと10年もすれば娘は自分の予定で忙しくなるだろうし、家族旅行を恥ずかしいと思う時期だってあるかもしれない。

悩んでも怖くても、一人で決めて、ちゃんと進んで、楽しい場所を見つけた時に“連れてこよう”と思い浮かぶ人物だってママではなくなるんだと思う。

どれだけ仲が良いままでいられたとしても、必ず関係が変わる未来を知っていると、愛しさと同じくらい切ないけれど、それでも今できることはめいっぱい目の前の瞬間を楽しむことに尽きる、ということも理解している。

自分で作った“しろまんじゅう”を小さな耳たぶにつけた娘は、カウンター席も正座で頑張りながら、大人のお店でも約束通り終始良い子だった。

NEXTWEEKENDが今月掲げている月間テーマは「楽しい気持ちは自分で作る」。

ハッシュタグは #心おどる日

3つのWISHLISTはこれ。

・気持ちを動かすアイテムを身につけたい
・自分なりの“大胆”に挑戦したい
・日常の景色を楽しくしたい

今回のコラムは1つ目でもある「気持ちを動かすアイテムを身につけたい」に合わせて書いてみました。

これから先、娘の耳は少しずつ大きくなって“しろまんじゅう”は小さくなってしまうかもしれないけれど、私はカーキ色のピアスを身につけるたびに、この数日間のことを香りや音まで思い出せるといいな。

アクセサリーのワークショップをしてくれたのは、沖縄で活動するアーティストqulias(キュリアス)さん。

ちんすこうも紅芋タルトも買わなかったけれど、思い出を詰め込んだこのピアスとしろまんじゅうが手元にあるだけで、旅のお土産は十分。

新緑が気持ち良い季節、 #心おどる日 でいっぱいの5月になりますように。

 

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