器初心者さんのお買い物の参考になる情報をお届けしている「知っておきたい器のあれこれ」。
しばらくお出かけを伴うコラムはお休みし、自宅ごはんが増えたみなさまに向けて、食周りのプロたちから日々の食卓に使えるアイデアをおすそ分けしてもらう番外編をお届けしています。
▲第1回目は、fromage&food mikotoの今井真希さんに、上手なチーズの使い方を聞きました。
今回お話を伺ったのは、東京都青梅市の農園 lala farm tableを主宰する奥薗 和子さん。
ハーブや野菜をブーケのように包んで渡してくれる奥薗さんは、お花屋さんから農業に転身されたんだそうです。
野菜だって、見た目を楽しんでもいいんだよなあと、新しい楽しみ方を教えていただきました。
(こちらも食べられる菜の花なのだそう。)
奥薗さんご自身も、農業に興味を持ったきっかけはレストランなどでの装飾の仕事で、厨房で下ごしらえされた食材たちを見て、食材って美しいんだと思ったことなのだそう。
SNSでも、まさにハーブや野菜の美しさを感じる、シンプルなお料理を投稿されています。
そんな奥薗さんから、旬の野菜やハーブを上手に使うヒントを、たっぷり教えていただきました。
我が家の鉄板レシピ
奥薗さん:
「シンプルで、ワインにもよく合う、セージバターソースのニョッキがお気に入りです。
ファームでは、これから新じゃがの収穫シーズンがはじまります。
7種類の個性派ジャガイモを育てているので、ニョッキの味比べをするのが、楽しみ。
ホクホクの男爵イモ系がおいしいのですが、特に『グランドペチカ』や『タワラマゼラン』という品種がおすすめです。」
奥薗さんのニョッキのレシピ
ジャガイモ大2個、強力粉100g、パルメザンチーズ(粉チーズでも○)30g、卵小1個、塩・黒胡椒少々、バター30g、セージの葉5~6枚
1. 皮付きのまま蒸したジャガイモの皮をむき、マッシャーでつぶす。
強力粉と削ったパルメザンチーズ、塩を加えサクッと混ぜる。
2.【1】の生地がぽろぽろになったら、中央に卵を割り入れてさらに混ぜ、まとまったら軽くこねる。
3.ひとつに丸めたら4等分にし、それぞれ太さ1.5㎝ほどの筒状にのばす。
1.5~2㎝幅にきり、フォークの背で押して筋をつける。
4. 沸騰したお湯で【3】を茹で、浮かんだらザルにあげる。
5. 熱したフライパンでバターを溶かし、セージの葉を入れて香りをつける。
バターと同量のゆで汁(分量外)を加えて乳化させたら、【4】を入れて軽く混ぜる。
6.お皿に盛りつけ、パルメザンチーズをふりかけたら完成。
いろんなじゃがいもでつくるニョッキ、おうちご飯ならではの楽しみ方ですね。
珍しい品種「グランドペチカ」も「タワラマゼラン」も気になります…!
そんな奥薗さんの日々の献立づくりのコツは「シンプル+アクセント」だそう。
奥薗さん:
「普段はファームの作業に追われていて、なかなかゆっくり調理する時間がないので、時短でできるシンプルな献立が多いです。
ひとつのお皿で一食分食べられるボウルサラダや、収穫してきたお野菜でグリル野菜をいただいています。
トッピングを変えたり風味づけをしたり…。
その日の天候や気分、体調に合わせたひと工夫を加えて、同じ献立でも違った味わいにすることで、楽しんでいただいています。」
同じ献立でも、ひと工夫のアクセントで楽しむ。
毎日のご飯にすぐに取り入れられそうなコツ、参考になります。
お気に入りのスパイスや調味料
奥薗さん:
「調味料をそろえるのは大好きです。
お気に入りは、Maldon Sea Salt、インド・マラバル地方のブラックペッパー、美味しいバルサミコです。
Maldon Sea Saltは優しくほんのり甘味のある結晶塩。
トーストにバターをのせてMaldon Sea Salt少々かけるだけでも、美味しいですよ。
写真にないのですが、ブラックペッパーはインド・マラバル地方の粒状のものを愛用しています。
料理の最後に削りたてを振りかけると、香り高いアクセントに。
ホワイトバルサミコ・ディ・モデナ・ビオは、香りがよく酸味がまろやか。
少量でどんなサラダもスペシャルになります。
アチェート・バルサミコ・ディ・モデナ・オーガニックは、バランスのとれた味。
ルッコラのサラダやキノコソテー、カプレーゼなど、いろんな料理に合わせています。
自家製ハーブソルトも常備しています。」
食にまつわるマイブーム
奥薗さん:
「バタートーストとワインのアレンジにハマっています。
バタートーストは、乾煎りしたクルミをのせ、岩塩を少々、はちみつをたらり。
アクセントには、辛味のきいたルッコラやからし菜のベリーリーフを。ガブっとかぶりついていただきます。」
ワインは赤ワインにスライスレモンとミントを入れてのんでいます。
暑い日に爽やかに喉を潤せるので、これからの季節にぴったり。
お料理しながら飲むと、どんなに疲れていても、楽しく料理ができるので、疲れた日のお供です(笑)」
お気に入りの器や道具
奥薗さん:
「LODGEの鉄製のフライパンを愛用しています。
重いので少し使いづらいですが、ゆっくり熱が伝わるので、食材のうま味をとじこめてくれる感じがします。
焼き物、炒めもの、蒸しもの、トーストまで、万能に使えます。
シンプルなデザインなので、お皿に盛りつけずにそのままテーブルに並べられるところも気に入っています。」
器としても使える料理道具は、忙しい日の食卓づくりの頼もしい存在ですよね。
料理に合う敷物があると、いっそう美味しそうに見えるので、盛り付けたい料理に合う敷物を持っておくのもおすすめです。
野菜のプロに教わる、
普段使いの野菜メニュー
野菜を気軽に食べる方法や、旬の味を長く楽しむコツも教えていただきました。
気分に合わせてつくるボウルサラダ
奥薗さん:
「写真はシンプルなリーフサラダですが、ひとつのお皿で一食分のボリュームにしたボウルサラダをよく作ります。
ファームの葉物野菜をベースにして、グリル野菜やお肉、ボイルしたシーフード、ナッツや豆類、茹で卵など、合いそうな食材を自由にのせます。
味つけはオリーブオイルとビネガーやレモン、岩塩、黒コショウで控えめに。
もちろん、コッテリ系のシーザードレッシングなども◎
いろんな食材をのせているので、彩り豊かなひと皿になりますし、食材たちが絡み合って、味つけがシンプルでもすごくおいしいんですよ。」
野菜のオリーブオイル焼き
奥薗さん:
「ファームで収穫したお野菜を、オリーブオイル焼きにしていただくことも多いです。
ポイントは素材の味を感じられるよう、火を通しすぎないこと。
あと、オリーブオイルを熱する際に、ニンニクやフレッシュハーブで香りづけをしたり、仕上げにチーズをのせたりして、その日の気分で味付けを変えています。
香りづけに使うハーブは、イタリアンパセリ、ローズマリーやタイムなど。
これからが旬のズッキーニにもぴったりです。」
野菜を美味しく長い間食べるコツ
奥薗さん:
「栗やサツマイモなどはペーストに、トマトは水煮にして冷凍します。
葉物のルッコラやバジルなどはまとめてジェノベーゼソースにして保存しています。
トマトの水煮は、カレーを作るときに水の代わりに使うと、酸味が効いた絶品カレーになります!」
こんな保存食がつまった冷蔵庫があったら幸せですね…!
栗やさつまいものペーストは、トーストに塗ったり、スイートポテトなどのスイーツに使うのだそう。
奥薗さんの素敵な野菜たちは、オンラインでも販売されています。
奥薗さん:
「オンラインマルシェの “食べチョク”さんで、お野菜セットを販売してます。
セットの内容はキッチンガーデンで育てるようなハーブやお野菜を中心です。
お庭で摘んできて、料理の彩りにさっと使えるような、そんなハーブを詰め合わせにしているので、気軽にトッピングする感覚で使っていただけたら嬉しいです。」
いつものご飯がちょっと豊かになりそうなお野菜セット、ぜひ試してみてくださいね。
プロフィール
lalafarmtable 奥薗 和子さん
農家。ドイツフローリストマイスター。
フラワーアレンジの勉強でドイツに滞在していた際に、ヨーロッパや中東、北アフリカの様々なマルシェ・ファームを訪ね、“食”と“食を囲むテーブル”に世界の共通点を感じ、“食”や“素材”の大切さを認識して、就農。
有機農家での研修を受け、テーブルをいろどるハーブやお野菜や草花を栽培する農家をめざして独立。
現在は東京都青梅市でファームlalafarmtableを主宰。
市内に点在する畑で、無農薬・無化学肥料のハーブやお野菜を年間50~60種類栽培している。