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スタイルある方々のキッチンには暮らしに役立つヒントがたくさん。

連載「わが家のキッチン、暮らしのかたち」第7回目は、アンティークバイヤーの恩田ルーシーさんのご自宅へ。

NEXTWEEKENDが主催するマルシェでも、定期的に出店していただいているご縁があります。

ルーシーさんセレクトのアンティーク食器は、価格も見た目も普段使いしやすいカジュアルなものがメイン。

その卓抜したセンスはもちろん、愉快なお人柄や、食いしん坊なライフスタイルに編集部はいつも興味津々。

「リノベーションなどはせず、ペンキで壁に色を塗っただけ。キッチンには、特にこだわりはなかったんです」と話すルーシーさんの自宅は、神奈川県逗子市にある築25年ほどのマンション。

ここに住もうと思った決め手は、オーシャンビュー。

家と海の間には道路を挟んでいないため、リビングダイニングの窓には青一色の景色が広がります。

陽光がたっぷり入る空間のアクセントになっているのが、ダイニング側はグリーン、リビング側はパープルにペイントされた壁。

その空間作りに、ルーシーさん流のセンスがのぞきます。

 

バイヤーならではの、
プレートの使い方いろいろ

イギリスやアメリカで買い付けたヴィンテージの食器を、自身のウェブショップ「Say it with Lucy’s」で販売しているルーシーさんは、自宅で使う器もアンティークがほとんどだそう。

「料理教室でも普段使いでもよく使うのがこれ」と見せてくれたのが、アンティークの大皿。

ルーシーさん:
「海外ではオーバルの形は主流ですが、これらは年代もブランドもバラバラ。
イギリスではブルー系の柄が多いので、異なる柄をMIXしても、自然とまとまって見えると思います。

大皿って、場所を取るイメージがありますよね。
でも何枚あったとしても、上に重ねれば収納スペースは1枚分(笑)。

パーティで使うと華やかに見えるし、食パンやちょっとサラダを乗せて一人分の朝食プレートにと、案外使い勝手がいいんですよ」


▲ブルー×ホワイトの器でも、年代によって柄もトーンも様々。

 

「いつも古いものに囲まれていると、新しいものに魅力を感じなくなって」とルーシーさん。

「英国のアンティーク皿と、日本の古伊万里などを一緒に食卓に並べることも多いです。
不思議と相性がいいんですよ。

この大皿はブルーウィローと呼ばれる、東洋をモチーフにしたイギリスを代表するデザイン。
オリエンタルで和物っぽいでしょ?ハレの日の食卓にもいいですよね」

 
人から人へ、長い時間を経て刻まれていった表情がアンティークの魅力。

前の持ち主のストーリーを想像しながら、現代の暮らしの中で自分らしく、ルーシーさんは使う側の物語を新たに紡いでいます。


▲左下が、英国の陶磁器の中でもポピュラーな図柄・ウィローパターン。(ウィロー=Willowとは「柳」の意味)
18世紀頃に英国人が憧れた東洋のイメージが描かれている。

 

お皿の使い方は、料理を盛るのみならず。
カラフルな彩りのプレートは、アートのように壁に飾られていました。

ルーシーさん:
「壁掛けしているお皿は、英国のテーブルウェア “エマ・ブリッジウォーター” の工場に行った際、ワークショップで作ったものです。
こうやって飾って楽しむのもいいですよね」


▲「プレートハンガーを使えば簡単に飾れるんですよ」
お気に入りの一枚をぜひ飾ってみたい。

 

そして、最近では金継ぎを楽しむ素材として、割れや欠けがあるアンティークも販売しています。

ルーシーさん:
「買い付けた食器を日本へ送る際に、残念ながら割れてしまう事も。せっかく海を越えてやって来たアンティーク達、金継ぎをして新たな姿で使ってほしい」

 

お皿ひとつとっても、愛着を持って長く使う、暮らしを豊かにするアイディアがたくさんあることを教えてもらいました。

 

収納にルールは一切なし

生業にしているヴィンテージの食器類は、キッチンだけでなく、リビングや和室にあるアンティークのキャビネットなど、いたるところに収納されています。



▲リビングのサイドボードの中には大皿などの商品が。
料理教室でも実際に使用し、使い方の提案をしている。
ガラス扉のキャビネットには、アートピースのように陳列。

 

ルーシーさん:
「家具すべてがアンティークというわけでもなくって、キッチンの棚や作業台はIKEAで見つけたもの。
サイズが丁度良くはまったんです。

乾物など食材のストックは、無印良品のボックスに収納。
カゴを使っていたこともあったのですが、虫食いなど衛生面が気になって、これに行き着きました。

父が設置してくれたキッチンの棚は、紅茶の茶葉専用コーナーに。
実家にも、紅茶の缶をずらっと並べた棚があるので、母から“私の真似したわね”と言われています(笑)」


▲キッチンの棚には、紅茶のティーバッグが入った瓶が大集合。カラフルな缶も効いている。

 

こうあるべきというルールを設けず、一点もののアンティークも、便利な現行アイテムも共存。

「窓から外を見て、波があれば、すぐウェットスーツに着替えてサーフィンに行っちゃう」という、その清々しいほどの柔軟さと自然体であることが、居心地の良い空間をつくる秘訣なのかもしれません。

 

 

キッチンで活躍する相棒たち

自宅で毎月開催しているお料理教室「#ルーシーのゴハン」は、すぐ予約が埋まってしまう人気っぷり。

フル回転のキッチンで欠かせないアイテムにも、ルーシーさん独自の好みが反映されています。

ルーシーさん:
「愛用しているのは、ガラスや陶器製の大きなボウル。
カラーのボウルは、オールドパイレックス、白のボウルは、母が使わなくなったものを譲り受けました。

ずいぶん長く使っていたものなので、欠けや汚れもありますが、入れ子式で使いやすい。

サラダなど、このまま食卓に出せるのもいいですよね」


▲ボウルの他にも、自然と集まったというスパチュラ。
スパチュラが好きな理由は、「食材を無駄にせず、一滴残らず綺麗に使い切るために」とルーシーさん。

 

ルーシーさん:
「我が家のキッチンにマストなのが、ヴィンテージの布。
イギリスでは“ティータオル”と呼ばれています。

うちには洗った食器用のカゴを置いていないので、この布を敷いて食器を置いて乾かしたり、ハンドタオル代わりにしたり、冷めないようにパンを包んだりと、とっても万能なんです。

観光地のお土産やさんにあるご当地もの、企業やショップのノベルティなど、デザインも面白いでしょ?
ヴィンテージだと最初から使用感があるので気兼ねなく使えます」


▲チョコレート店のノベルティなど、ロゴや柄も多彩。

 

思い出の味、チーズボール

ルーシーさん:
「チーズボールは、ホリデーシーズンに登場することが多いアメリカの伝統料理。

学生時代、家に帰って、母の料理教室後のチーズボールが残っていると、とっても嬉しかった記憶がありますね。

決まった配合のレシピがあるわけではなく、各家庭それぞれに味が違います。
基本は、クリームチーズに、塩胡椒やガーリック、ナッツなどを混ぜ込んで作ります。

我が家の定番は、セロリ、人参、レーズン入り。

チキンやりんごなどと一緒に食べても美味しく、アペタイザーやワインのお供にもおすすめ。

母のレシピは粉末状ドレッシングミックスを使っていましたが、私はガーリックパウダーやオニオンパウダー、ハーブなどを使いアレンジしています」

 

先ほど見せてくれたオリエンタルな柄の大皿に、チーズボールを大胆に。

ルーシーさんがイギリスで見つけたお皿に盛られると、それでまたひとつ、表情が変わります。


▲ルーシーさん版チーズボールの気になるお味は、ずっと食べ続けたくなる「甘じょっぱさ」。
取材スタッフも手が止まらなくなりました。

 

根っこにあるのは母の存在

ルーシーさんの母・恩田ケイティーさんは、葉山で英国生活骨董品を扱う仕事をしていることもあり、幼少時からアンティークに触れるのが当たり前という環境で育ったルーシーさん。

4年ほど前から自身もアンティークを生業とするように。

ルーシーさん:
「家族での買い付けは、一年に4回ほど。

母と旅行に行くようなタイプの娘ではなかったので、仕事とは言えど母娘の2人旅は新鮮でした。

買い付けるものの好みは違うけど、年々、立ち振る舞いなどが母に似てきた気がします。
勝手な娘の心境としては、似たくないんですけどね(笑)」

そう言いながらルーシーさんから見せてくれたのが、母・ケイティーさんの著書。

ページをめくると、高校生の頃に親元を離れてアメリカで生活していたルーシーさんに宛てた「ワンタンスープ」のレシピメモが挟んであり、母の愛情が感じられました。

生まれ育った環境から培ったセンスを、自分なりのスタイルに変換しているルーシーさん。

その原点でもあるご実家も気になるところ。

ということで、次回は、今のルーシーさんをつくった原点でもある、母・恩田ケイティーさんのキッチンにお伺いします。

 

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連載「わが家のキッチン、暮らしのかたち」をご覧いただきありがとうございました。
ぜひ皆様の声をお聞かせください。
たくさんのご意見をお待ちしております。

 

Text:Hitomi Takahashi