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独自のスタイルがある方々の、キッチンにまつわる工夫やこだわりを拝見する連載「わが家のキッチン、暮らしのかたち」。

第4回目は、ファッションエディター川口ゆかりさんのご自宅へ。

家族ぐるみのホームパーティ、彩りと栄養たっぷりのお弁当、休日のキャンプご飯…。

ライフスタイルと結びついた、おいしい時間を家の内外で楽しんでいる姿が素敵な川口さん。

結婚・育児を通して“食”への意識がガラリと変わったという彼女は、今や料理教室の講師としても活躍。

キッチンからはじまる、食事の楽しみ方を伺ってきました。

 


▲白とグレーを基調としたシンプルシックな雰囲気。
「子どものものを極力出さず、一番キッチンにいる私が居心地良い空間づくりを心がけています」

 


▲デザイン違いで揃えたアンティークチェアは、英国発のインテリアブランドHALOのもの。

 

料理経験ゼロからホームパーティ上手へ

 

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川口さんのInstagramで垣間見れるのは、ここの家の子どもになりたい!と羨ましく思ってしまうような、食にまつわるライフスタイル。

そんな彼女自身の料理のルーツは昔にあったと思いきや、結婚前はほとんど料理する機会がなかったのだそう。

 

川口さん:
「実は、結婚前までろくに料理ができなかったんです。

主人と一緒に住むことになり、料理上手な彼から叱咤激励を受けながら料理をするように。

ただ、人を家にもてなすことは、昔から好きだったんですよね、料理は全く出来なかったのに(笑)。

そこで、シェフをしている友人に個人レッスンをしてもらい、習った料理を家族や友人たちに食べてもらっているうちに、みんなの喜んだ顔を見るのが嬉しくて、また作って食べてもらっての繰り返し…それが上達する要因だったと思います」

 

それ以来、めきめきと腕を上げた川口さん。

取材中もインタビューに答えながら、パパッと手際よく作業をし、食欲をそそる香りとともに、あっという間に一品出来上がり。

 


▲親交のある料理家・五十嵐美幸さん直伝のよだれ鷄レシピは、黒酢、すりごまの風味たっぷりの自家製ダレがポイント。
隠し味の山椒の実がピリッと効いて。

 

川口さん:
「めったに褒めてくれない主人からも“美味しい!”と言ってもらえたのが、このよだれ鷄でした。

ホームパーティでも褒められ率が高いレシピです。

あと、集いの会に出番が多いのが、笹寿司。

時間が経っても美味しく、子供も食べやすいサイズ感なので、家族ぐるみのホームパーティにおすすめです」

 

今や料理を仕事としている人の手さばきで、取材スタッフの胃袋を幸せで満たしてくれました。

 


▲茗荷や紫蘇を混ぜた酢飯にサーモンや肉をのせて、笹の葉で包んだもの。
見た目もキュートな笹寿司は、お呼ばれ時の持ち寄り一品 にもぴったり。

 

 

ホームパーティを支えるものたち

料理に目覚めてから、自然と器の世界にハマっていった川口さん宅の食器は、なんと黒い器が8割。

はじめに一枚手に入れたら、その使い勝手の良さに魅了され、どんどん増えていったのだそう。

 

川口さん:
「黒い器は料理が抜群に映えるし、他の器とも合わせやすいんです。

マットな色合い、手にしっくりと馴染む質感のものがお気に入り。

黒以外では、白皿はもちろん、骨董の小皿も愛用中。

特に、数年前から、現代にも通じる粋な古伊万里の魅力にハマっています。

お正月シーンはもちろん、普段のおやつをのせたりと、日常使いしています」

 

新しいもの×古いもの、黒×鮮やかな色。

相反するものを食卓で合わせるのが、川口家スタイル。

 

川口さん:
「ファッション感覚で、テイストが異なるものをMIXするのが好きなんですよね。

料理をのせる際も、和食器にはあえて洋食を、フランス製の白い器には和食を…と、ちょっぴりハズすことでより新鮮な一皿になると思います」

 


▲川口さんお気に入りの陶芸家・小林耶摩人の丸皿は、他にもサイズ違いで所有。
「益子陶器市で清水買いしたレジーナ・イワキリさんの八角の皿は、食卓のアクセントに最適です」


▲独特の色彩感覚が美しい古伊万里の小皿。
花びらのような縁取りの皿(写真手前)は、東京ドームのテーブルフェスティバルで見つけたもの。
その他はどちらも金沢で購入。

 

 

また、キッチンの便利グッズとして欠かせないのが、IKEAの保存器。

川口さん:
「夕食の時間は家族全員集合が難しいので、朝は必ず一緒に食べるようにしているんです。
これが唯一の家族ルール。

そんな忙しい朝はもちろん、お弁当が必要な日、ホームパーティなどあらゆる場面で常備菜はマスト。

IKEAのタッパーは優秀なので重宝しています」

▲「冷凍・オーブン・食洗機もOKでマルチに活躍してくれています」というIKEAのタッパー。
常備菜や余ったご飯などの保存や、パーティの下準備のための容器にも。

 

川口さん:
「SNSを見てくださる方には毎日たくさんのおかずを作っていると思われがちなのですが、実は“茹でただけ、和えただけ”の簡単な常備菜がほとんど。

それに、メインのおかずを添えれば、立派なお夕飯になります。

ほどよく手を抜かないと、家事と仕事を両立するのは至難のワザですから。

また、大皿にドンと盛るのか、一人一人きちんとセットするのかで、見た目の印象が全く異なりますよね。

なので、日常でもテーブルセッティングは大切にしています」

 

 

こういう押さえどころをわかっているのは、料理上手たるゆえん。

下ごしらえやフリージング、常備菜を使ったアレンジなど、毎日の家事で培った知恵は、多くのゲストが集まるホームパーティの段取りでも生きています。

上手に手を抜きながら、コーディネートを工夫して食空間を楽しむ…川口さんの絶妙なバランス感覚は、ぜひ参考にしたいもの。

 

入りきらないものは“見せる収納”で

キッチンの一角には、コレクションしているアスティエの白い器たちが集結。

リビングにも、ガラスアイテムが並べられたコーナーがあり、同じジャンルのものが集まっているシーンが視線を捉えます。


▲色違いで揃えたZARA HOMEのティーカップは、ケーキスタンドに並べて。
隣には、アスティエ・ド・ヴィラットの器が、様々な形やサイズでずらり。

 

川口さん:
「アスティエのお皿やティーセットなどは、飾っているのではなく、日常的に使うもの。

棚の中でも場所をとってしまうので、あえて“見せる”収納にしています。

ケーキスタンドは2つ重ねて、ティーカップ置きとして活用。

同じ種類のアイテムを集合させると、ごちゃっと見えずスッキリする気がします」

 

白い器やシックな色彩のカップは、キッチンのグレーの壁とも相性抜群。

自分の“好き”を日常に上手に溶け込ませると、雑然としがちなキッチンに統一感と“らしさ”が生まれます。

 


▲リビングの棚に置かれた、ピッチャーや花器など、ガラス器やシルバーアイテム。
自然光を美しく取り込むから、いくつ並べても軽やかな印象。

 

子どもの食育を意識してきたキッチン

9歳の娘さん、7歳の息子さんがいる川口さん。

子どもたちには、“食べる楽しみ”を伝えようと常に意識しているという。

 

川口さん:
「心がけているのは、遊びながらでも食に興味を持ってもらうこと。

ただ食欲を満たすだけじゃなく、野菜の収穫体験や漁船に乗った海釣りなど、自分で食材を手に入れる経験をさせてみたり。

その結果、“この野菜は土の中でできるんだ!こんな実ができるんだ”と、自然と興味を持つようになりました」

 


▲キッチンのカウンターで宿題をしている娘さんと、夕食の準備をしている川口さん。
今日あったことを報告しあう、大切なひととき。

 

川口さん:
「娘と息子、それぞれ食の好みが違って偏食気味だったのでひと苦労しました。

そこで、バランスよく食べてもらえるように “まごはやさしい※” と書いたシートを制作。

一日の終わりに、子供達に食べたものをチェックしてもらうようにしました。

項目をコンプリートする面白さもあってか、苦手な食材も食べるようになりましたし、“豆から豆腐ができる”など知識も自然と身についたようです」

(※ま=豆、ご=ごま、は=わかめ、海藻、海苔、や=野菜、さ=魚、し=しいたけ等きのこ類、い=イモのこと)

 

取材中に、学校から帰ってきた娘さん。

キッチンに立つ川口さんにリクエストしたのは名古屋風の甘辛チキン(これもまた取材スタッフと話しながら作るからすごい!)。

おやつ代わりに、美味しそうにチキンを頬張る様子は、「食べる楽しみを伝えたい」というお母さんの思いを確実に受け取っているような気がしました。


▲ニンニク入りの醤油タレをくぐらせた甘辛チキンは、冷めても美味しいためお弁当にも活躍。

 

飾り巻き寿司教室で笑顔を増やす

ライター業の他に、飾り巻き寿司教室「おもてなしごはん東京」主宰の顔を持つ川口さん。

きっかけは、川口さんの友人に重度のアレルギーを持つお子さんがいたこと。

 

川口さん:
「仲間うちでホームパーティをしても、そのお子さんは食べられないものが多くて。

そこで食べられる具材でアレンジできるパーティー料理はないかと考え、飾り巻き寿司に行き着きました。

飾り巻き寿司の学校に通って、インストラクターの資格を取得。

3年前から、定期的に飾り巻き寿司教室を開いています。

実際に、食物アレルギーの子どもを持つママさんが参加してくださることもありました

 

教室は、SNSで開催告知をするとすぐに満員になるほどの盛況っぷり。

「今年の夏休みには、子ども自ら体験できるキッズレッスンを数回開催したんです。親子一緒に飾り巻き寿司を楽しそうに作る姿を見て、私の方が元気をもらったみたい」と微笑む川口さん。

 


▲花柄や和の文様など、誰かに見せたくなる華やかな見映えも飾り巻き寿司の魅力。

 

「子ども、夫、友人たち、みんなの喜ぶ顔が見たい」

それを原動力に、探究心と工夫を惜しまない川口さんの“おもてなし”。
自分の手先から目を上げて、周囲の世界を見渡し、優しい気持ちを持つこと。

それが、みんなの幸せへ必ず繋がるということを、教えてもらった気がします。

 

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text:Hitomi Takahashi