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独自のスタイルがある方々の、キッチンにまつわる工夫やこだわりを拝見する連載「わが家のキッチン、暮らしのかたち」。

第5回目は、女性のためのトリートメントや発酵ごはん教室を運営している「Salon Green」のセラピスト・阿部梨絵さんのお宅へ。

前回ご登場いただいたファッションエディター・川口ゆかりさんから、「宝箱みたいな楽しいキッチンを持つ友人がいるんです!」とご紹介いただき、キッチンリレーが実現しました。

好きなものに囲まれて暮らす阿部さんのキッチンは、まさにいるだけで心踊るワンダーランド!

 

2年前に引っ越してきたマンションを自分好みにリノベーションし、夫、5歳の息子さんの3人暮らし(取材時の阿部さんのお腹には、誕生予定の娘さんも)。

もともと和室だった部屋を取っ払いLDKにした空間の中心にアイランドキッチンがあります。

たくさんのチャーミングで個性的なものがひしめきあいながら、抜群に調和が取れている…そんな唯一無二の空間づくりの秘訣を聞いてきました。


▲取材中、キラキラした瞳で笑顔を絶やさない阿部さん。
コトコトといい匂いを漂わせる、夕食のポトフをひとまわし。

 

“吊るす”という見せる収納術


▲天板の上はギャラリースペースのよう。
レトロで可愛いグリーンの大同電鍋、その並びにはなぜか刺繍の巾着ポーチがちょこんと鎮座。

 

「あれはなんですか?」「これ可愛い!」
取材スタッフの質問が飛び交うほど、ぐるぐると何周もしたくなる楽しさに満ちた阿部さんのキッチンは、物の在りかを「見せる」ようにレイアウト。

物の数がとにかく多くてしまえない…というわけではなく、あえて見えるように収めてあります。

 

阿部さん:
「お気に入りのエスニックな食器も、使用頻度の高くない調理用具も、自家製の発酵食材も、基本的にしまい込まずに飾るようにしています。
我が家では、天井もディスプレイとして活用中。

子供の手に触れられたくないものも、高い場所から吊るしておけば安心なんです」

 

そう、特徴的なのが「吊るしてある」ものが多いこと。

大小いろいろのカゴ、キッチンツール、ドライフラワーなどをハンキング。

それらは、壁に沿わせるだけでなく、生活の動線上にもランダムに天井から吊るしているのが、阿部さん流。

 


▲キッチンの上に、モロッコ風のカゴバッグやライトを吊るして。
カゴの中にはカップラーメンを収納!ちゃんと実用性も兼ね備えている。

 

整理整頓ではなく実用的ディスプレイとでもいった“飾る”センスは、リノベーションを施工してもらった会社から、インテリアのデコレーションセミナーを依頼されるようになったほど!

ワイヤー×S字フックに引っ掛ける、ロープ×クリップで挟む、など色々な手法で、部屋のインテリアとしてリズムを生み出しています。

 


▲フライ返しやピーラーなどキッチン回りの道具を、すぐ使えるようバーに吊るしている。
家電上のデッドスペースも上手に活用。


▲麻の紐を使って、カレンダーやイラストをフラッグ状に飾ることで、お気に入りの一角に変身。

 

色×柄×色…をとことん組み合わせる

「昔から、とにかく色や柄に心ときめくんです」という阿部さん。

前に住んでいた家のキッチンは、さらに鮮やかでポップな配色だったのだそう。

阿部さん:
「赤、白、黄色…と派手なタイルを使ったキッチンだったんですが、そこに賑やかなキッチン道具があるものだから、夫から“落ち着かない”と言われた過去も(笑)。

この家に引っ越して、メインの壁を、以前よりも落ち着いたトーンの色壁にしました。

そうしたら、主張の強い道具や照明などが自然とまとまりよく見えて、大正解でした」

 

現在の家の壁は、温かみのあるテラコッタカラー。

花柄のカーテンを引き立ててくれるし、民族調の小物やリースなどの植物とも相性抜群。

お気に入りのものたちが居心地良く収まるようにするには、まずは俯瞰で考えるといいのかもしれません。


▲家のベースカラーとなる壁紙はウィリアム・モリスのもの。
ルワンダやタイで編まれたバスケットをアートのように飾って。

 

器などの小さな世界にも、阿部さん独自のスタイリング術が光ります。


▲雑貨サイト「Hibou.」、インテリアショップ「グランピエ」や「Madu」で見つけたプレートたち。
色鮮やかな模様や魚のモチーフがユニーク。

 

阿部さん:
「同じデザインを4枚セットで、と買い揃える方も多いと思うんですが、私は全く気にしてなくて(笑)
我が家のスタメンは、買った場所も時期もバラバラです。

シンプルな器じゃなくても、テーブルの上をカラフルにコーディネートしちゃえば統一感があるように見えるし、和食でも洋食でも何にでも合う。

色柄のお皿は、私にとって最高に使い勝手のいいデザインなんです」

 

“色柄の器こそ使いやすい”という新しい発見!

アフリカや南米のようなファッションの感性で、多国籍な器を組み合わせてみると、普段のおかずも華やかな一品になりそうです。

 


▲陶芸家・酒井美華さんによる「irodori窯」の器コレクション。
練り込みという技法による色模様がなんとも素敵。

 

阿部さん:
「個性が強いものを買う時に失敗しないポイントは、少しずつ集めること。

“この子が我が家に来たらどうかな”と想像しやすくなります。

すべて最初から使い道を決めて購入しなくても、食卓に迎えてから考える、それもまた楽しいと思います」

 

自然素材の温もりをMIXする

食材入れにしているカゴ、照明に飾られたドライフラワー、ラフィアの壁掛けなど、キッチンやリビングスペースに点在するのが、天然素材を用いたアイテムの存在。


▲棚の上には様々なタイプのカゴ。
なかには飴色のツヤ感が出て、家具のように経年変化を楽しめるものも。

 

阿部さん:
「昔からカゴが大好きで、収納アイテムとしても重宝しています。

自然素材のカゴや箱は、通気性もよく、雑多に置いても絵になるのが良いところ。

そのナチュラルな風合いが、家にある個性が強いアイテムたちを中和してくれています」


▲ざっくりした浅めのバスケットは、子どもの玩具入れにぴったり。


▲木製小物もキッチンの風合いにマッチ。
箸入れに使っている筒の容器は無印良品のもの。

 

ライフスタイルを支える発酵食品

“子宮美容トリートメント”というオリジナルメソッドに基づき、衣食住からアプローチするトリートメントサロンを運営している阿部さん(現在は休止中)。

キムチや味噌などの発酵食品作りのレッスンもそのひとつ。

梅干し、味噌に醤油など、品名と日付を書いたテープを貼られた瓶がたくさん並んでいます。

 


▲棚の一角には保存瓶が大集合。
どれもイチから仕込んだ、美味しい宝物。

 

普段の食事も、さぞや健康を意識した発酵食品ばかりなのかと思いきや、
「家族が口にするのは、毎日のお味噌汁くらいですね。甘酒の牛乳割りも飲むかしら」というぐらい。

発酵食品に目覚めたきっかけは、“自分のため”だったという。

阿部さん:
「第一子の妊娠、出産でホルモンバランスを大きく崩して、ずっと生理不順を繰り返して体調が悪かったんです。

そんな時に出会ったのが、発酵食品を取り入れた食事と子宮ケア。

“女性としての自分の体を大切にすると、ちゃんと体が応えてくれる!”という喜びを自分自身が感じられて。

それを機に、女性が自分自身をケアするお手伝いができるよう、体の内側から健康になれる発酵食品作りのレッスンを開催するようになりました」



▲「ちょっと長く漬かったものだけど、召し上がりませんか?」と、私たち取材スタッフに、そっと出してくれた胡瓜とセロリのぬか漬け。口に運ぶ手が止まらない。

 

忙しい日々の中でも、自分の心と体に目を向けること。

“ぬか漬けをつける”というような、自分にとっての小さい幸せを毎日のルーティーンに見つけること。

「夫や子どもは、ぬか漬けもあんまり食べないんですよ」と笑う阿部さんの風通しのよい暮らしぶりから、自分らしさを保つ術を教えてもらった気がしました。

 

居心地の良い空間には“好き”が大切

いろいろなアイディアを教えてもらったものの、阿部さんのポリシーは明確で「これが好き」という言葉がすべて。

日常で接する物への愛情に溢れていて、ハッとさせられます。

 

阿部さん:
「我が家がまとまって見えるとしたら、全てのものに“私が好きなもの”という共通項があるからかもしれません。

機能第一で選んでいないので、使いにくいものもあるけれど、それも愛着に変わります。

整理整頓されたシンプルで便利なものも素敵ですが、私にはしっくりこないんですよね」

チャーミングな笑顔で、迷いなく語ってくれました。

 

インテリアしかり、発酵食品しかり。
阿部さんの暮らしの根底にあるのは、ルールに縛られずに自分の感性を大切にすること。

 

“他の誰でもない自分”が好きなものに、温もりと愛情が宿らないわけがない。

その証拠(?)に、阿部さんに選ばれたアイテムたちは、まるで愛されている自信があるかのように、どれもキラッキラに輝いて見えました。


▲扉を開けた瞬間から、「お気をつけて」とお見送りしてくれるまで、終始ハッピーオーラで迎えてくれた阿部さんの発酵食品レッスンは、産休のため来春リスタート予定です。

 
 

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連載「わが家のキッチン、暮らしのかたち」をご覧いただきありがとうございました。
ぜひ皆様の声をお聞かせください。
たくさんのご意見をお待ちしております。

Text:Hitomi Takahashi
Photo:Satoshi Kodama

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