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栃木で叶える理想の暮らし、地域の魅力に迫る5日間チャレンジ。

その地で叶えたいWISHLISTと共に過ごした、移住体験のレポート第2弾です。

器と手仕事の町、益子で移住体験。フードデザイナー中本千尋さんが、ずっと大切にしたいものに出会った5日間

 

第1弾の【益子編】に続く、第2弾の移住体験の地は那須塩原市。

今回4泊5日のショートステイを体験したのは、NEXTWEEKEND営業 / 広報の小松(通称こまみ)です。

2019年にNEXTWEEKEND編集部のオフィスで開催した地方移住のトークイベントをきっかけに、「海のそばに住みたい!」という自分の理想を自覚し、東京から湘南に移り住んだ彼女。

移住経験者として、次に実現したいと思っているのが「定期的に訪れたいエリアを日本にいくつか持つこと」。

こまみ:
「元々ひとり旅が好きなこともあり、日本のいろんな地に“ただいま”と言えるような場所や人に出会いたいという気持ちがあります。多拠点生活よりもライトな感覚で、旅行よりも深いコミュニケーションが取れるような…」

理想の暮らしを探求する彼女が、栃木でのショートステイではどんなことを体験できたのでしょうか。

 

移住経験者・編集部 こまみの
体験移住先は「那須・黒磯」エリア

今回移住体験した場所は、栃木県の県北部に位置する那須塩原市。

なかでも黒磯エリアは、全国各地からの移住者が多く、栃木に新しい風を吹き込んでいると言われている土地です。

こまみ:
「昨年訪れてから、黒磯は大好きな場所。この土地に触れたおかげで、東京から湘南に移り住んだ私も、自分が住んでいる土地に、ちゃんと貢献していきたいという気持ちが強くなりました」

その気持ちを持って、挑んだ今回の移住体験。

場所は違えど、黒磯に移住し、新しい仕事を始めて、地域に根付いている方々の暮らしを身近に感じることで、たくさん学べることがあるはずです。


掲げたのは、地方移住者ならではのリアルな5項目。

こまみ:
「昨年、この黒磯エリアを訪れた際に、移住された方々が土地の魅力を引き出して活性化しているところに感銘を受けて…。そんななかで移住体験の話をいただき、この機会に“移住したら何ができるか”を学べるチャンスだと思ったので、その思いをWISHLISTにしました」

ただの住処としての場所ではなく、人や土地に関わっていくためのWISHLISTを叶えられたときに、黒磯の景色がより一層魅力的に見えてきそうです。

 

那須・黒磯エリアで叶えた
5つのWISHLIST


1つ目のWISHLISTは「地域の人と触れ合える場所で過ごしたい」。

こまみ:
「観光資源を楽しむだけでは旅行と同じになってしまう。せっかく移住体験するなら、“自分の居場所を作れるか”を探って行こうと思いました。それには、地域の人と触れ合うことが重要だと思ったんです」

その野心を叶えるべく、今回の移住拠点に選んだ「Chus(チャウス)」は、マルシェ、レストラン、ゲストハウスを融合した複合施設。

こまみ:
「地元の農家さんの野菜や特産品が並び、朝から夜まで食事が取れるダイニング、コワーキングスペースとして活用も… つながりの拠点となり、地元の暮らしを近くで感じることができる絶好の場所。食事も仕事も宿泊も、ここ一箇所をホームにすることで、暮らしているかのように過ごすことができました」

今の時代らしい多様性のある暮らし方を支えてくれる、みんなのあたたかな家のような場所は、移住の大きな柱になります。

そして、夜ご飯は「Chus」系列の居酒屋「酒と肴 あくび」へ。

彼女が地元の人との深く交流するために、ひとりご飯の時に設けたちょっとしたルールが「カウンター席に座ること」。
それには理由がありました。

こまみ:
「カウンターにひとりで座ると、店員さんとの距離感がぐっと近づきます。料理の食材や調理法、黒磯という土地について… 気がつけば3時間くらいおしゃべりしていました。店員さんは九州の熊本県から移住された方。移住者ならではのお話はとても参考になったし、最後には、“またいつでもおいで”と… 居心地が良く、あったかい気持ちになれた夜でした」

ほどよい距離感で地元の人と交流できたことで感じたのは、自分の居場所を見つけられそうな気配。

移住へ背中を押すようなきっかけは、そんな小さな出来事の中にあるのかもしれません。

 

2つ目のWISHLISTが「住民が楽しんでいるイベントに溶け込みたい」。

狙っていたイベントは、駅前広場で開催されている黒磯日用市(オンライントークショーでゲスト登壇してくださった「KANEL BREAD(カネルブレッド)」岡崎さんが主催)。
しかし、月二回(第二・第四日曜)の日用市の開催日程と、移住期間が合わずに断念…!

そこで足を伸ばして、大田原市に位置する牧場「NASU FARM VILLEGE」の週末限定オープンの青空カフェへ。

地元の人たちが「まるで北海道みたい」と語るここの魅力は、雄大な草地からなる圧倒的な開放感。
今では東京からの来訪者はもちろん、地元の人にも人気のあるスポットです。

こまみ:
「タレントの紗栄子さんが経営するこの牧場は、昔からあった場所をちゃんとブランド化し、行ってみたくなる場所に変換したことで、人が集まり、雇用が生まれて、周りの施設のアップデートも促進。エリア全体を活性化させた、理想的な地域貢献ですよね。みんなが幸せになることが結果的に移住促進につながるんだなと、ここに来て実感しました。最近、この大田原地域にもおしゃれなお店が増えているそうです」

自家製レモネードやハーブティーを飲みながら、牧草地をゆったりと歩く馬たちを眺めるひとときは、まるで天国のよう。

地域課題の思想を誰かに見せつけるわけじゃなく、ちゃんと訪れた人が楽しめる形にしているからこそ、観光客・地元民の両方に愛され、ここを守るために一緒に考えようという流れが生まれています。

ここでのお茶タイムは、「地域に貢献したい」という思いを持つ彼女にとって、特別な時間になったようです。

 

3つ目のWISHLISTは「おいしいものの生産ストーリーをかみしめたい」。

訪れたのは、チーズ工房&直売所「チーズ工房 那須の森」。

ここを訪れるきっかけとなったのが、移住体験前のトークイベントで「KANELBRED」の岡崎さんが話していた“廃棄ホエイ”の循環プロジェクトでした。

土地柄、たくさんのチーズ工房がある那須エリア。

チーズを作る時に副産物として出る“ホエイ”は、栄養価が高い食品にも関わらず、ほとんどが廃棄物として捨てられてしまっている…そのチーズ業界全体の課題に、工房周辺のお店がパンやピザ生地に使用し、黒磯全体でホエイの活用に取り組んでいます。

こまみ:
「その黒磯のコミュニティの輪を感じたのが、移住3日目のランチで食べたハンバーガーでした。使われていたバンズは、『那須の森』のホエイを活用した『KANAL BREAD』のパン。それを『Chus』のカフェで提供していて、その地域の循環がハンバーガーというひとつの形になっている。それを食べている私も、“地域循環の輪に参加しているんだ”と感激しながら一口一口かみしめました」

お店全体が街の課題に向き合い、そこに住むみんなで解決していこうという姿勢は、黒磯の大きな魅力。

「おいしい」だけで終わってもいいけど、誰がどんな思いで作っているかという作り手の熱意や、語れるくらいの生産ストーリーを知っていると、味わいがきっと何倍も変わってくる。
それを実感できた食体験になりました。

 

4つ目のWISHLISTが「地域を盛り上げる人の話を聞いてみたい」。

実際に、現地で地元の人の空気感に触れてみようと、黒磯駅前のシンボル的存在でもある、まちなか交流センター「くるる」へ。

施設内にはカフェスペースなどもあり、地域の交流の場として賑わっています。

今回は、ちょうど開催されていた「もったいない市」に参加しました。

こまみ:
「地元民の方が参加している恒例イベントで、手作りの編み物を売っているおばあちゃんや、自分の蒐集品を出品したり、なかには占いをしている人も…!子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで世代も幅広く、観光なら交わることのないような方と出会えるコミュニティの場。黒磯に住む方々のあたたかな雰囲気を体感するのにちょうどよかったです」

このイベントの存在を教えてくれたのは、黒磯でゲストハウス「街音(まちね)matinee」を運営している豊田彩乃さん。

ただ、こういった地元住民のための地域イベントは、情報がネットに開示されていないことも多く、市外から訪れた人がたどり着くのは難しい場合も。

こまみ:
「現地に知り合いがいない場合は、地元の方のSNSなどから探ったりと、地道なリサーチが必要。移住体験中に伺った『那須塩原市移住促進センター』 は、具体的な移住をまだ考えていなくても、気軽に立ち寄ってみてほしいところ。行政の方たちがあたたかく迎え入れてくれて、現地の方とのハブになってくれることも! 市内のいろいろな情報を教えてくれて視野も広がるので、最初に行ってもいいかもしれません」

 

最後は、「自分のライフスタイルとかけあわせたい」というWISHLIST。

自分の趣味や習慣などがフィットして、日々のちょっとした“うれしい”が増えたら、より心地よく暮らせるにちがいない。

一杯飲みたい夜に気軽に立ち寄れる場所があったら幸せ…というお酒好きの彼女は、場所や方法に変化をつけて、自分なりの楽しみ方を試したそう。

こまみ:
「黒磯にあるカフェ&バー『NIGHT CAFE FEEKA』では、読書をしながらお酒を飲む、という自分だけのゆったりとした時間をメインに。ここでもカウンター席に座ったので、店員の方ともほどよくおしゃべりもできました。宿で読書をするのも良いけれど、雰囲気のある空間の中で、本の世界とじっくり対話を楽しめてよかったです」

まるでご近所の行きつけのような過ごし方ができた、体験2日目の夜。

翌3日目の晩酌には、せっかく温泉地が近くにあるから…と場所を変え、黒磯駅からタクシーで5分の温泉宿「かんすい苑 覚楽」へ。

あえて素泊まりを選択し、駅前のお肉屋さんで調達したお惣菜をお酒のアテに、日本酒の利き酒セットを堪能。

そして、自家源泉の天然温泉にゆったり浸かって心身を癒すという過ごし方は、移住をした際の休日プランにも取り入れたい、ちょっぴり贅沢な気分転換です。

こまみ:
「ショートステイの日程は、あえて予定を入れない余白の時間を多めに取っておくのがおすすめです。急遽訪ねたい場所ができた際に動きやすいです」

「ヒトやモノに会う」がベースにあったWISHLISTだけに、限られた時間の中で、受け身だと達成するのが難しいものの、積極的に動くことでクリアできました。

 

編集部こまみの体験した黒磯情報

Q. 行きたい場所はどうやって調べた?

お店情報はInstagramで検索。

拠点にした「Chus」周辺地域をGoogleマップで確認して情報整理しました。

Q移動手段は?


黒磯は特にコンパクトな街なので、基本は徒歩。

那須など足をのばした際には、タクシーや現地の方の車で移動しました。

コンビニなどが近くにないので、レンタルサイクルを活用すればもっと行動範囲が広がったかな…と少し後悔も。

 

Q.平日の仕事スタイルは?

拠点の「Chus」にコワーキングスペースとしての登録があったので終日利用(こちらのサービスを使用)。

レストラン併設のため、オンラインミーティングの際は、周囲に気を使って正直不便に感じた場面も…!

また、調べ物などは、駅前にある図書館「みるる」を活用しました。

 

Q. 準備しておけるといいことは?

1. 現地の方に事前に連絡を取っておく
最新情報を教えてもらったり、移住体験中に会ってもらうためにも、現地の方への事前連絡は鉄則。
今回は、前述の豊田彩乃さんや、現地に住むWeekender編集部メンバーに連絡をとって、食事をする機会を持ちました。

2. 拠点は早めにおさえる
拠点を1つにしたのはよかったのですが、予約するのが遅かったので、宿内での部屋移動をしなければならなかったのが反省点。
チェックアウト〜チェックインの時間に、部屋にいられなかったり荷物移動があったりと、貴重な時間を使ってしまいました。
部屋をおさえるのはお早めに…!

3. 手土産を用意する
現地の方に顔を覚えてもらえたり、会話の糸口になるので、名刺がわりのMY手土産(GARTEN COFFEEのドリップバックなど)を用意しておくとよいと思いました。

 

地域の課題や出来事を“自分ごと”にする

今回、日常的に暮らすという点で、NEXTWEEKENDの通常業務をこなしながら過ごしたショートステイ。

逆に自分の家ではないことで、仕事をするにあたっての環境の大切さも痛感したそう。

もし旅行だったら「いいや」で終わらしてしまうことも、暮らしの延長線だったら「じゃあ、どうしていこう」と心地よい生活を追求するヒントになります。

それは黒磯に移住した方々の活動も同じ。

地域の課題を“自分ごと”にして、現状に満足することなく、次々とよりよくするためのアイデアが街全体で広がっている黒磯。

次に訪れたときには、どんな新しいアクションに出会えるのかな…
移住という新たな一歩を踏み出したら自分も何かできるかも…と想像するとワクワクします。

豊かな人生とは、自分を見つめ直す時間をつくったり、暮らしがほんの少しでもよくなる技を学ぼうとする気持ちから始まるのかもしれない。

そんなシンプルな豊かさを、黒磯での体験は思い出させてくれました。

※ライブ動画の事後レポートのWISHLISTとは、やや内容を変更してお届けしました。

 

記事のご感想を寄せてくださった方へ
お土産をプレゼント!

【移住体験レポート vol.2】をご覧いただきありがとうございました。

下記のアンケートフォームよりご感想をくださった方の中から抽選で1名様に、編集部・こまみが「Chus(チャウス)」で選んだ調味料のお土産セットをお届けします。

アンケートフォームは質問5つのみ。
ぜひこの機会に、ご感想を聞かせていただければ嬉しいです。

募集期間
2021年 12月8日(水)〜12月29日(水)まで
当選者ご連絡
当選枠1名、1月上旬を予定。
※当選者の方にのみご連絡いたします。
※お客様の個人情報は本記事企画でのプレゼント発送にのみ使用いたします。

この記事は、NEXTWEEKENDと栃木県とのコラボレーションで制作しています。

Text:Hitomi Takahashi
Design : Hikari Mogami

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