栃木県とNEXTWEEKENDのコラボレーションからなる、「理想の暮らしから考える、自分らしい地方移住」企画。
今回の記事は、県外から栃木県に移住された方のお話を聞き、地方移住の魅力を探るシリーズ連載(全三回)の第二回目です。
「地元を出るか、出ないか」
受験や就職のタイミングで、誰もがそのことについて考えたことがあるはず。
今回のゲストは、新聞記者になるため、就職を機に栃木に移り住んだ、多里(たり)まりなさんです。
京都府出身の彼女だからわかる、見知らぬ土地での生活、暮らしてわかった栃木の良さなど、地方移住の“ほんとのところ”を伺ってきました。
地元を飛び出して広がった視野、自分の可能性
新聞記者という夢を叶えるため、栃木県を代表するメディア・下野新聞社に就職。
単身で、縁もゆかりもない土地に移り住むことになった多里さん。
多里さん:
「就活で全国の地方紙を何十社も受けていた時に、下野新聞社の募集をたまたま見つけたのがきっかけです。
栃木に来たのは、就職試験のときが初めて。
宇都宮駅を出て、大通りがまっすぐに続く景色を見たときの気持ちは今も忘れていません」
就職二年目に配属された「宇都宮まちなか支局」での経験がターニングポイントに。
多里さん:
「宇都宮の中心市街地を盛り上げるために、魅力的なモノ・ヒトを紹介するページを担当していました」
記者自らが、地域の祭りで神輿を担いだりと、体当たりで体験したことを紙面で伝えるのがコンセプト。
特に記憶に残っているのは、宇都宮と京都のつながりを感じられた仕事だといいます。
例えば、百人一首の大会を取材することになった時のこと。
多里さん:
「その時は、一ヶ月で百人一首を全て覚えて、私自身が大会に出場しました。
百人一首の誕生に欠かせない人物に、京都の歌人・藤原定家と、宇都宮城主の宇都宮頼綱という二人がいるんです。
そういう背景もあって、宇都宮は“百人一首のまち”として、子どもから大人にまで深く親しまれています。
定家の出身・京都を地元とする私が、宇都宮で百人一首の大会に挑戦する…
それに大きな意味があったし、より熱意を持って体験を伝えることができました」
どこの場所にいても、自分のルーツが強みになって、誰かと繋がれることがある。
結びつきを発見することは、ありのままの自分で土地にすっと馴染むための、ひとつの土台になるのかもしれません。
今回、取材スタッフが多里さんと待ち合わせをした「宇都宮まちなか支局」がある場所は、宇都宮の中心地に位置する大型商店街“オリオン通り”のど真ん中。
「街の人々との距離がぐんと縮まったのは、この立地も大きかったかもしれませんね」という多里さん。
多里さん:
「オリオン通りは、昔ながらの専門店が多く、店主の想いが行き届いたお店ばかり。
それまで、商業施設でものを買うことが多かったんですが、個人のお店で買うことの良さを知りました。
毎日愛用しているリュックもそう。
顔なじみのカバン屋さんが、荷物の多い私のために、肩に負担がないデザインを選んでくれたんです」
人情味あふれるエピソードに、明日には商店街を訪れてみたくなるほど。
ネットショッピングでは決して体験できない、人との生のやり取りや温度感、誠実さ。
それこそ商店街のすてきな存在価値だな…と、昔から当たり前にあるものに、改めて目を向けてみたくなりました。
新卒で新天地へ、というと肩に力が入るけれど、多里さんは終始やわらかく軽やかなムード。
その表情をみると、この地に足をつけ、新しい出会いを楽しむ日々が浮かび上がってきます。
多里さん:
「栃木は、地元産の農作物が豊富。
生産者さんに取材をしていると、知識も増えてありがたみを感じるようになり、食への好奇心がぐんと高まったんです。
宇都宮は個人経営の店が多いので、飲食店を探す際もそれぞれが持つ色で選ぶようになり、普段の食事も格段に楽しくなりましたね」
「県外から来たからこそ、栃木や宇都宮のいいところを再発見できる」と、続ける多里さん。
移住者だからこそできる! というポジティブなマインドを持つことは、移住者自身にもその土地の人にも、何か新しい光が見えてきそうな、そんな予感さえしてきました。
▲「私の相棒」という自転車は、後輩から譲り受けた宝物。オリオン通りにて。
好きなもの×一歩の勇気、で充実する地方移住
地方移住を考える際に気になることの一つが、プライベートの過ごし方。
移住した当初、家族や友人もいない土地でのプライベートを充実させてくれたのが「好きなもの」だといいます。
「私、ゆるキャラがすっごく好きで(笑)。移住直後、まだ知り合いがいなかった時、休日は栃木市のキャラクター・とち介の追っかけをしてたんです」と、口から飛び出したのは、意外な趣味。
とち介が参加する各地のイベントにせっせと行くことで、栃木の土地勘も自然と身につき、知り合いも徐々に増えたというから、おもしろい。
もう一つ、多里さんの日常に欠かせないものが音楽。
多里さん:
「宇都宮は、音楽を楽しめるバーやカフェが多いんです。
初めて一人で行くのは、勇気がいるかもしれません。でも、音楽好きという共通点があるから、一人で行くと誰かが話しかけてくれるんですよね。
そして、自然と顔見知りになる。
もし、行ってみて“あれ違ったな”と思ったとしても、“今日はあそこに行けた”ということが自信になるんです」
自分の「好き」を見つけること×ちょっとの行動力。
その二つの掛け合わせは、新天地での暮らしをより豊かに楽しむための、大きな要素なのかもしれません。
「徒歩30分圏内で、買い物も仕事もすべて生活が完結するのでとっても便利」という、地域のほどよいコンパクトさもお気に入り。
「よそ者だけど、小さい頃から住んでいる街みたい」と話す多里さんは、もうすっかり宮っ子(=宇都宮の地元住民の愛称)の顔。
住まいだけが要因ではないものの、その土地から影響を受けて、興味や行動にも幅が広がった多里さんには、こんな変化も…
多里さん:
「実は、昔から人に頼ることが苦手だったんです。
“迷惑かな”という気持ちが先に立ってしまって。
ただ、移住をしたら、わからないこと迷うことだらけなので、人の支えなしには生きられない。
そうすると、“頼ってくれてありがとね”と喜んでくれる人がいて、ああ、頼ることが信頼の証になるんだ!と気づけたんです」
そんな心の変化も、「移住してよかった」と思える部分だそう。
チャンスに動ける心持ちが、人生を豊かにする
オリオン通りから裏手に一本入った居酒屋「球麿家」は、多里さんにとって、心の拠り所のひとつ。
熊本県球麿郡出身の店主が営む店には、県外から来た人が “よそ者”と感じることのない、あたたかな雰囲気が漂っています。
多里さん:
「楽しいときも辛いときも、ここで胸の内をさらけ出して、たくさん話を聞いてもらいましたね。
いつの間にか自分の家のようになり、店主のご夫婦は、私の家族のような存在。
何も食べず飲まず、話だけをして帰ることも日常茶飯事(笑)。
帰り道には気持ちも清々しくなっています」
▲「娘のような存在だね」と隣で一緒に飲み語らう、店主・竹本さん。
地元の人と交流を深めたり、移住者同士で集ったり…
自分にとっての居場所を見つけた多里さんから、移住を考えている人へのメッセージとは?
多里さん:
「私は、就職というきっかけがあって、地元を飛び出す機会があり、自分の殻を破ることができたと思っています。
案外、地方移住のチャンスって来ないと思うんです。
もし、そういうチャンスが来たら、勇気を持って飛びこんでほしい。
アクションを起こした先で、新しい自分をぜひ発見してほしいですね」
そう話す多里さんはまだ20代、栃木に住み続けるかは未定だといいます。
多里さん:
「もしかしたら、人生の転機や新たな選択肢が出てきた時に、別の土地に住むこともあるかもしれません。
生き方に合わせて、その時々で柔軟な選択をしたい。
栃木に移住したことで道が拓けたからこそ、そう思えるんです」
日々を彩る選択で見つけた新しい自分、住む人たちが繋げてきた文化、いつかの未来。
それらをひっくるめて愛おしいと思える、そんな魅力が宇都宮の暮らしには宿っています。
▲宇都宮駅は、「ここに来ると、初心に戻れる」という多里さんの原点。
【移住の本音vol.2 】をご覧いただきありがとうございました。
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フォームは質問4つのみ。
ぜひこの機会に、ご感想を聞かせていただければ嬉しいです。
12月6日(日)〜12月20日(日)
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当選枠1名、12月末頃を予定。
※当選者の方にのみご連絡いたします。
※お客様の個人情報は本記事企画でのプレゼント発送にのみ使用いたします。
この記事は、NEXTWEEKENDと栃木県とのコラボレーションで制作しています。
Text:Hitomi Takahashi