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“暮らし”に向き合う場面が、必然的に増えた2020年。

住まいに留まらず、仕事、家族との関係、周りの環境など、様々な要素を含めて今の暮らしを見つめ直す方が多かったのではないでしょうか。

きっとそれは、こんな時代を迎えたからこそ見えた景色。

住まいと仕事、複合的に考えていなかったことが、実は全てが繋がっていて、自分なりの心地よいバランスを取ることが何より大切なのだと、気づかされたように思います。

これまでの固定観念も縛りもなくなった今だからこそ「自分が本当はどうしたいのか」を判断基準に、暮らしに向き合えるチャンスかもしれません。

そんな理想の暮らしを考えるきっかけを作るべく、NEXTWEEKENDでは今年の9月から「理想の暮らしから考える、自分らしい地方移住」という企画をお届けしています。

“ライフプランを見つめ直すことをきっかけに、地方移住を考える女性を増やしたい”

そんな想いを胸に、移住促進を行っている栃木県庁の地域振興課とコラボレーション。

9月26日に、実際に移住を通して理想の暮らしを叶えている方の体験談を紐解く、オンライントークショーを開催しました。


▲栃木県那須塩原市からのライブ中継を交え、ゲスト宮本吾一さん、吉田ちかげさんの移住体験対談をお届けしました。

 

そして10月25日には、トークショーを受けて「もっと移住や理想の暮らしについて考えてみたい!」という方を募り、オンラインワークショップを開催しました。

「既婚・家族向け」「単身・フリーランス向け」の2回に分けて開催した今回のオンラインワークショップ。

少人数制だったこともあり、濃く・深く、これからの理想の暮らしに向き合う時間になりました。

主催した私たち自身が、本当に有意義な時間だったな…と余韻に浸ってしまうほどの内容だったので(せっかくなら!)ワークショップであがった今後のライフプランを考えるポイントを、参加者の声を交えてご紹介したいと思います。

少し長くなりますが、この記事を通して、明日からの暮らしを自分らしく楽しむヒントが見つかったら嬉しいです。

 

こんな方が参加しました

今回参加されたのは、全国各地あらゆる場所にお住まいの、ライフステージも異なるみなさま。

参加するにあたって事前に参加した動機を伺ったところ、以下が圧倒的に多い意見に…

“自分にとって理想の暮らしが何か考え直したい”
“土地の探し方や移住のステップを知りたい”
“「移住」のイメージが漠然としすぎて不安…”

集まった疑問や不安を解決すべく、2名のゲストを迎えてワークショップを進めていきました。

 

まずは移住経験者のお話を。

「既婚・家族向け」「単身・フリーランス向け」それぞれにお招きした、移住経験を持つゲストに

①地方移住のきっかけ
②場所探しのポイント
③おすすめしたい移住ステップ

この3つを伺いました。

既婚・家族向けの回にお招きしたのは、アウトドアブランド「Ametsuchi」代表の星野晃宏さん。

愛知県の大学進学とともに地元栃木県日光市を離れ、大手アウトドアメーカーへの就職で上京後、「自然により近い場所で、本質的な暮らしがしたい」という想いから日光市へUターン。

現在、奥様と2人で暮らしながら、自然と人とを繋ぐことを信念に、アウトドアガイドツアーやWEBショップを運営されています。

地方移住のきっかけは?

日光市で生まれ育ったため、家族との距離や土地勘あってのUターンという選択ではあったものの、何より豊かな自然の中で過ごすことが自分のゆるぎないアイデンティティなのだと気付いたことが、大きな決断の軸でした。

場所探しのポイント

これまで日光市の中でも3回住まいを移り変えましたが、どの場所も全く違う特色を持っていました。

1つ目は実家の周辺だったので土地勘のある場所、2つ目は駅近くだったので都内とさほど変わらない利便性があり、現在の住まいは標高が高い登山口の目の前。

ちょうど先日、鹿が我が家の庭のフェンスを壊して、現在修復作業中です…笑

一口に日光市、と言っても、環境はもちろん受け手によって感じる印象は様々。

ご家族それぞれが、その土地をどう感じるかも、大切な判断材料なのではないかと思います。

ちなみに日光市は有数の観光地なので、外から訪れる方も多く、地元の人もオープンマインド。

ローカルでありながら、とても刺激的な土地ですよ。

おすすめの移住ステップは?

まずは「徐々に」が良いのではないかと思います。

ご家族の仕事や教育環境を考えると、突然完全移住!という決断はなかなか難しいので、まずは気になる土地に通ってみること。

様々な土地に遊びに行ってみて、いいなと思う場所があれば、夏の間だけ・冬の間だけなど、ちょっとした部屋を借りて住んでみるのも選択肢の一つだと思います。

日光に関して言えば、完全移住の方も、毎年定期的に通う方も、地元の方と良いコミュニティを築けている印象です。

地方の方は、外から訪れてくれる方がいることが実はとっても嬉しいので、ぜひ話しかけて、接点を少しずつ増やしていくのがおすすめです。

もちろんその先に完全移住を目指しても良いですが、年に数回通う「1.5拠点生活」というのも、移住のひとつの形なのではないかと思います。

 

単身・フリーランス向けの回にお招きしたのは、栃木県那須塩原市でゲストハウス「街音 matinee」を営む豊田彩乃さん。

埼玉県草加市出身の豊田さんは、大学4年生の時に栃木県那須塩原市の地域おこし協力隊として、これまで接点のなかった土地へIターン。

3年間の地域おこし協力隊の任期を通して地域との接点を深め、現在はパートナーと東京、那須塩原市の2拠点を行き来しながら、ゲストハウスを運営されています。

地方移住のきっかけは?

大学3年生の時にチャリティイベントで日本一周をしたのがきっかけで、地域のコミュニティに溶け込んで何かをしてみたい!と思い、地域おこし協力隊の募集を探したのがきっかけです。

当時3カ所ほど応募する土地を絞って、実際に訪れてみたり情報を集めていたのですが、実家へのアクセスや街の雰囲気、そして何よりフィーリングが合ったことから、那須塩原市に決めました。

場所探しのポイント

やはり地方に行くと、都会と比べて人との距離の近さやコミュニティの強さが気になるポイントだと思います。

私が住んでいる地域は近隣の方との繋がりも深く、埼玉県から来た私にとって人との近さにギャップを感じる時もありましたが、特にコロナ禍になって一層、コミュニティがあることに安心感を抱いています。

ですが良い意味で近隣との距離が離れている地域もあるので、場所次第で環境は様々。

自分で選択できるからこそ、まずは実際に住んでいる方の声を集めてみるのが良いのではないかと思います。

もちろん私のようにフィーリングで決断してしまうのも、ひとつの方法だと思います…!

おすすめの移住ステップは?

気になる土地があったとしたら、観光目線で見ていても実際の暮らしの雰囲気は想像しきれないので、まずは訪れてみたり、ブログや体験談を集めながらシミュレーションしてみるのが良いと思います。

いつもしていることを別の場所でやってみる、というのも、気づくことがたくさんありそうです。

実際に移住を決断するなら、その土地の一番厳しい時期を経験してみて、感触を確かめてからの方がおすすめです。

ですが例えば、冬の那須で〇〇をする、夏の日光で〇〇を体験する、など、良いとこどりの楽しみ方でもいいのではないかと思います。

実際に私も年末年始は実家に戻りますし、「この人はこの時期にいる人」とわかってもらえれば、地域の人も温かく迎えてくれます。

そんな、土地の良い時期を楽しむ移住スタイルも、ありなのではないかなと思います。

移住のきっかけやスタイルは違えど、2人が共通して伝えてくれたのは、移住は0%か100%で考える必要はない、ということ。

どうしても「地方移住」という言葉を聞くと、今の暮らしを全て変えて移り住むイメージを想像しがち。

ですが移住が人生のゴールではなく、選択肢のひとつであるなら、今の暮らしの中で手放したくないことも、大好きな土地で過ごすことも、どちらも50%ずつ選んだっていいのだと気付かされました。

理想の暮らしを叶えるために、UIJターンや2拠点でもない、自分なりの移住スタイルを築いてみる

そんな新しい考え方に、参加者のメモが止まらない時間となりました。

 

ワークショップを通して、1人1冊「我が家の移住計画書」を作りました

理想の暮らしと聞いて何となく思い描く姿はあるけれど、実は具体的にアウトプットする機会はなかなかないもの。

そこで今回のワークショップでは、オリジナル冊子「我が家の移住計画書」を作りました。

ご参加いただいたみなさまには、

・今の自分にとって大切なもの・譲れないもの
・現在の暮らしと理想の暮らしの違い
・今感じている懸念や不安点
・今すぐ行動できそうなこと

を書き出していただき、1人ずつ特に解消したいポイントをゲストに相談!

1人1人への丁寧なアドバイスを受けて、今後の暮らし方への指針が見えたみなさまに、最後に10年先までの理想年表を仕上げていただきました。

開催前に“何から手を付けたらいいかわからない…”と不安を抱えていたのが嘘のように、具体的に今後の暮らしのイメージを言語化できた参加者のみなさま。

移住のきっかけも、土地探しも、居住スタイルも「どう暮らしたいか」が全ての判断軸になる。

ならばまず自分の声に耳を傾けることが、理想の暮らしを叶える一番の近道だと、移住計画書作りを通して再認識しました。

 

理想の暮らしをアウトプットした先に、見えた景色

「地方移住」というキーワードから、今後の暮らしの選択肢や、見える景色を広げられたら…

そんな気持ちから開催した、今回のワークショップ。

今の自分の気持ちをじっくりアウトプットした参加者のみなさまから、こんな嬉しい声が集まりました!

オンラインでの開催だったからこそ、パートナーやお子さまと一緒に参加する方も多かった今回のワークショップ。

中には移住計画書を基に、さっそく家族と今後のライフプランを話し合ったという方も…(素晴らしい…!)

リモートワークをはじめ、あらゆる働き方が広がっている今、人それぞれの新しい暮らし方があってもいいはず。

そして時代やライフステージに合わせて考えがアップデートされたなら、途中で方向転換することだって、暮らしの選択のひとつの形になるはずです。

常に100%の正解なんてないからこそ、今の自分や家族にとってのベストを探って、一度しかない人生を楽しめたなら素敵です。

今回のレポートを通して、少しでも今後の暮らしの選択肢が増えていたなら嬉しいです。

 

地方移住をテーマに、全3回インタビューコラムをお届けします!

トークショーやワークショップを通して、「実際に地方移住を選択した方々のリアルな暮らしぶりを知りたい」という声もたくさんいただきました。

そこで、栃木県への移住を経験し、自分らしい暮らしを送る方々へのインタビュー記事もこの冬お届けしていくことになりました!

家族で移住してお店を始めた方、大自然の中で暮らす方、就職を機に単身で移住して活躍する方…
まったく違うライフスタイルを送る3名の暮らしをご紹介します。

読みものとしても地方移住の楽しみを味わい、ご自身のこれからの暮らしを想像するきっかけにしていただけたら嬉しいです。

今月末からの連載をお楽しみに。

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