8、6、1歳の男の子を育てています、Weekender編集部の永田尚子です。
この日記が公開される頃には、上2人が小学生、末っ子が保育園入園という、すばらしき時代(※我が家比較)に突入していることと思います。10kgの1歳児を背負って仕事&家事していた日々よ、サラバ!
とはいえ、これを書いている今は絶賛春休み。
起きた瞬間から、長男「ごはんと、昨日の豚汁ある?」、次男「スコーン焼いて~!」、三男「パン!ご!(苺)にゅうにゅう~!(牛乳)」、毎日そんな感じで、(希望と違うものを出して残されても嫌なので)それぞれのメニューを食券さえないものの、バイト先の厨房かなってくらいカニ歩きとかしながら爆速で用意するのですが、さらに遅れて起きてきた夫が「ぜんざいある?」といった日には、さすがにズッコケました。まさかの和スイーツ。ここはフードコートちゃうで!
ところで、生き物が環境に合わせて進化していくのは自然なんだと思うのですが、世の中の子育て中の方は自分の心身を守るために【何が起きても動じないモード】が日々アップデートされていくばかりじゃないですか?
私もそろそろ三男が盛大にこぼす牛乳も、「おいおい今日もバンクシーの出現かい?」と言えるほど悟りを開きつつあるのですが、この子育て交換日記を書いているメンバーの中でも母歴は最長かつ子どもの数も最多。そうすると悩みも変化してきます。
以前は「寝ない、食べない、自分の時間がなくて辛い」だったとしたら、今は「ようやくショッピングモールにたどり着いても、3人が寝ていると車から降りる事すらできない」という物理的なものや、一瞬の気合いでどうにもできない類の「褒めておだてて、コツコツと宿題を進めさせ、期限までにすべてを終わらせる」というミッションもマシュマロキャッチぐらい難易度★★★★★なんです。
学生だった頃、「宿題という邪悪な制度さえなければ世界は愉快なことだけで埋まるのに!」と思っていた私ですが、宿題を自分ですることより、人にさせることのほうが何倍も労力がいるということを当時の私に伝えに行きたいですなぁ~
いつも通り長い前置きになりましたが、私の「子育て前から変わったことと変わらないこと」はこちら。
子育て前から変わったことと変わらないこと
1.マフィンを焼いた人になってから今日を終えたい
2.プロ棋士並の先読み能力が必然的に身についた結果
3.一人の時間と箱を開ける瞬間が好き
マフィンを焼いた人になってから今日を終えたい
「お菓子作り」が好きで、InstagramにもよくUPするのですが、「子どもを産んでも変わらないこと」に入るアイデンティティな部類ではなく、実は産後から始まった趣味なんです。
長男を生んだ直後は、「そろそろ鶏でも飼ったほうがええんちゃうの?」と言われるほど毎朝シフォンケーキを焼き、春には桜のスノーボール(春の香りを届ける、桜のスノーボールの作り方)、秋には梨マフィン(ジューシーな梨マフィンの作り方)、先日友だちからのメンションで気づいてびっくりしたのですが、大阪にいたころは1月にガレットデロワまで焼いていました。
幼き頃のクッキー作りは人並みにやっていたものの、産後のお菓子作りはその時のワクワクとは少し違って、育児の中で「達成感」が得たかったんです。それも、「手軽に」、「家で」、「いつでもできて」、さらに誰かにあげても喜ばれるし、自分もおやつに食べられて最高!という感じ。
子育てという偉業を成し遂げていることに違いはないのですが、「もしかして今日、自分は何も達成していないのでは!?」と思いながら寝るのが辛かったんです。
人見知り芸人のオードリーの若林さんが、初めましてのメンバーと一緒に楽屋で過ごさないといけない時に、ペットボトルを手に取って見つめているだけで、人見知りが原因で誰ともしゃべることが出来ない人ではなく「ペットボトルのお茶のラベルを読んでいる人になれる!」と言っていましたが、私の中でのお菓子作りはそんな始まり方でした。
小さな達成感については以前のこちらの日記にも書いていましたね。(子育て交換日記vol.7「あぁ疲れた~と声に出してみる。お母さんも閉店ガラガラ宣言。」)
プロ棋士並の先読み能力が必然的に身についた結果
子育てを始めて誰もが思い知るのは、毎日持ち歩かねばならない荷物の多いこと!
独身だった当時はミニマリストなんて言葉はまだなかったはずですが、ポケットにクレジットカードと携帯だけを入れて心斎橋を歩いていた私はZARAに入れば店員さんに間違われるほど手ぶらでした。
でも、ただただ不安要素から大量の荷物を持ち歩いていた第一子時代、工夫がわかりつつも2人分のサイズ違いのおむつを持ち歩いていた2歳差兄弟時代、に比べて経験値は随分高まってきました。
藤井聡太もびっくりな先手を打てる日もあり、絶体絶命なピンチで火サス並の岸壁に追いやられたような悲劇の瞬間から、絞り出した知恵を全力で振りかざしてぷよぷよで10連鎖コンボを決めたかのような私の雄姿を夫は横で何度も目撃していると思います。
ここ数年で学んだことは、大人用のパーカーは子どものズボンにもエコバッグにもなるし、ビニール袋はとんでもなく万能なのに「存在が無」と言っていいほど軽量かつコンパクトということ。ポケットにいつでも入れています。
子どもたちの安全と健康を守るためと、自分の業務を最小限に抑えるために、「夜は絶対寒くなるから薄めの上着を全員分もっていこう」とか、「あのコップは15cm奥に動かしておかないと次の瞬間手が当たってこぼれるな」とか、出来事の大小構わず、無意識のうちに勝手に先読みする部分の脳みそが動きっぱなしなんですよね。
ここからは次の章にも繋がるのですが、だからこそ1人でいられる時間の幸福度は高まるんだなぁと思います。
一人の時間と箱を開ける瞬間が好き
子育てを始めて変わったところを先に二つあげましたが、変わっていないことの一つは、定番ですがやっぱり一人の時間に幸せを感じること。
もともと高校生の頃から、まっすぐ家に帰らずドトールに寄り、ノートとペンさえあれば何時間でもあることないことを書き出すことが大好きでした。
小説を読んだり、予定を整理したり。大学時代は学校のある駅に途中下車しなければ自動的に京都に着く電車だったので、思い立っては(というか世の中ではこれをサボるっていうんですけど)終点まで乗って湯葉丼を食べてコーヒーを飲んで新しい本を買って、乗ってきた電車に乗って本を読みながら家に帰るというぐうたらぶりでした。
今では、そんな小旅行はできないとしても、夫に子どもたちを任せられるときは夜に自転車で銭湯へ。
ドバイの石油王でも今私が感じているレベルの幸せを実感してないんちゃうかなぁと、外気浴をしながら本気で思うほどなんです。
それが、たとえ歯医者の待合室だったとしても!一人でぼーっとできるって本当に天にも昇る気持ち。その貴重さを実感できるようになったことには感謝でいっぱいです。
そして、箱を開ける瞬間!このときめきは、いくつになってもワクワクしますね。
幼稚園の頃に持っていた赤いハートの箱は、開けても開けても中から同じ形の小さい箱が出てきて、最後は本当に小さな、そしてやっぱり空っぽの箱で終わるのですが、何度も開けたりしまったりして、その楽しかった記憶が材質や手触りも思い出せるほど残っています。
今では、近況を書いた手紙と読み終えた本やコーヒーや手作りのお菓子なんかを入れてWeekender編集部同士で交換するのも日常のお楽しみになっています。
ところでタイトルに戻りますが、聖徳太子は同時に10人の話を聞き分けたと言われているそうですが、聞き分けただけでしょうよ!?我々母たちは、子どもたちの話を聞き分けた上で、それぞれの希望を叶えながら、ケンカを成敗して、手を引いて危険から守り、頭の中では家の中の冷蔵庫の在庫を思い出したり、右手のキャベツと左手のキャベツのどっちが重いかを計ってみたり、GWの帰省のシュミレーションしつつ、ガチャガチャの存在を遠目に発見したら絶対にやりたいって言い始めるので、極力見せないように再びここでもカニ歩きしたりしてるんですよ。(本当に薄い薄いイメージで書いているので、歴史に詳しい人がいたらごめんなさい。笑)
ただ一つ言いたいのは、今回タイトルに聖徳太子と入れさせてもらったことで、イラストレーターの二階堂ちはるさんに、まるでNHK大河ドラマの主演かいってくらい素敵な聖徳太子の衣装を着せてもらえて本当に幸せです。
さて、次にバトンを回すのは、GARTEN COFFEEのブランドマネージャーであるあさみさん。
先日、気温も高い夏のような日に、息子くん2人とうちの子どもたちと一日中かけ回って遊んでいたのですが、突然あさみさんの上の子が「あのさ、頭に麦茶かけていい?」と。すると、「うーん、やってみる?」とあさみさん。そして麦茶をかぶり、「あぁ~気持ちいい~!」というやり取りを目の前で見ました。
うぉおおおお‼あさみさんの母レベルが★★★★★を超えて神の領域に達している…!その海のような広い心、見習いたいです。
あさみさんの、子育て前から変わらないことは、何ですか?
Illustration:Chiharu Nikaido