NEXT WEEKEND DATE

人生のパートナーとして寄り添うふたりは何を大事に過ごしているのでしょう?

意外と知る機会がないあの人の夫婦観を紐解く「ふたりのこと」。

第3回に登場するのは藤田承紀さんと美里さんです。

菜園料理家として料理教室やレシピ開発のほか、福祉レストラン「らんどね空と海」のシェフを務めるなど幅広く活躍する承紀さん

社員旅行に参加するほどNEXTWEEKENDとも縁深く、専業主婦の美里さん・やんちゃざかりのお子さん2人と暮らしています。

ユーモラスな承紀さんと柔らかな空気を纏う美里さんは違う点も多いそうですが、ビーガンの美里さんに影響を受けた承紀さんがビーガン料理を取り入れるなど、互いのこだわりを大事に幅を広げる姿が魅力的。

そんなふたりが大事にしているルールはこちら。

 

夫婦の違いは悪いことじゃない。


▲金継ぎ中の美里さん。

 
まず驚くのが出会いから結婚までのスピード感。

初デート前から互いに将来を意識し、その夜にお付き合いスタート、2ヶ月後にプロポーズ。

急速に仲を深めていったのには理由がありました。

 
承紀:
「次、付き合いたいと思える人と出会えたら結婚しようと決めていたんです。

全てが合う人なんていない。
合わないから別れるのではなく、ありのままを受け入れようって」

「そんなことを考えていた時、農業勉強会で後ろの席に座っていたのが美里で『めっちゃかわいい!』と胸が高鳴って(笑)

美里が住んでいた仙台へ出張するタイミングでデートしました」

「その時『うちは農家で家が大きいし、色んな人が泊まりに来るから宿代わりにして』と言ってくれて。

初デートの夜に実家に泊まりに行ってご両親と飲んだんです(笑)

はじめましてなのに挨拶に行ったような不思議な感覚でした」

 
美里:
「メールのやりとりをしている時から私も『この人と結婚するかも』と思っていました。

承紀さんが前のめりだったのと、合う所もそうでない所も全て受け止める、という器の大きさに惹かれたんだと思います」


▲朝は豆から挽いて珈琲を淹れる藤田家。
美里さんいわく「家事を一通り終えた後、おいしい珈琲があると心がふわっと軽くなる」そう。

 
そうして1年後にめでたくゴールイン。

お付き合い期間が短いがゆえに結婚した後に夫婦の形を積み上げていったそう。

 
承紀:
「僕たちは正反対な所が多いんです。

僕はイタリアンが好き、せっかち、夜型、ITも駆使するタイプ。

妻は玄米菜食、のんびり、朝型、自然派」

 
美里:
「だから最初は違いを感じて寂しくなったりもしました。

悲しくなったり悲しくさせたり、ぶつかったり受け入れたりを繰り返して、徐々に今のふたりになっていったんだと思います」

 
承紀:
「違いを否定するのではなく、大事にしている理由を伝えて心地よい落とし所を見つけていったよね。

例えば僕が玄米だと箸が進まない時は白米に雑穀を入れて炊いてもらったり」

「あと個人的に、違いは良いことだと思っているんです。

僕はのんびり屋な美里を見て『ゆとりを持って過ごそう』と思うし、美里はネットショッピングが苦手な分、僕を頼ってくれる。

お互いの“違い”に頼りあっています」

 
美里:
「そうだね、承紀さんがせっかちなのはツボだし(笑)」

 

仮面夫婦?!から共に進むパートナーへ。

夫婦に欠かせないのがコミュニケーション。

夕飯は食べる?何時にお迎えに行く?など、小さなことから大きなことまで共有することで朗らかな家庭を築けることは分かっちゃいるけど、時にすれ違いが起きてしまうことも…。

実はふたりにもちょっぴり暗黒期がありました。

 
美里:
「長男が生まれた当時は承紀さんの休みがほとんどなくて生活リズムもバラバラ。
家庭内別居状態でした。

子どもの成長もあまり共有できず『このままだと苦しいな…』と思っていた時もありましたね」

 
承紀:
「……(無言)。」

 
美里:
「でも次男が生まれる時、もう少しバランス良く暮らしたくて『週に一回は休んで』と相談したら本当に休んでくれるように。

今は一緒に家庭を築いている実感があるし、すごく楽になりました」

 
承紀:
「いやー、その時の自分を一喝したいです…。
当時は書籍出版も重なりほとんど家にいられませんでした。

本来、自分をコントロールできる人は上手に休むもの。

妻の言葉を信じているのですぐ受け入れました」


▲長男・承大朗(じょうたろう)君と次男・八緒(やお)君。
ふたりのおやつは基本的に手作りや果物がメイン。
この日は梨と塩せんべいを。

 
そんなふたりが大事だと声を揃えるのが報告・連絡・相談。

生活リズムがバラバラだった頃は予定をすり合わせる必要もなかった(!)そうですが、家事・育児を協力しあっている今は必須だとか。

 
美里:
「細々としたことはLINEで、予定は手帳で共有します。

LINEは『朝、おいしいお味噌汁を作ってくれてありがとう』の感謝から『子どもの歯磨きまだです』の業務連絡まで頻繁に。

たまに『今夜映画観たいな』ってお誘いすることも(笑)」

 
承紀:
「定期的に予定すり合わせタイムも設けているよね。

口頭で伝えつつ、お互いの手帳にそれぞれの予定を書き込んで、仕事や子どもの送迎などを調整するんです。

面と向かって話すことで、確認ミスも防げます」

 
美里:
「その時、承紀さんが具体的な仕事内容も話してくれるから『あ、あの時打ち合わせしてたプロジェクトが動き始めるんだ』と、流れが把握できるのもありがたいです。

力を入れていることや頑張っていることが理解できて、信頼につながっています」

 

「手仕事バンク」で家事・育児の労力を見える化


▲承紀さんが作るカトラリーと小皿。
木や真鍮の風合いが味わい深く、自分でつくることでその腕前もどんどん上がっていく。
右側のかわいい手は長男・承大朗君。

 
最後のルールは「手仕事バンク」。

刺繍、金継ぎ、漆喰塗りなど自分たちでできることはやってみようという姿勢のふたり。

そういった手仕事、家事や育児の価値を可視化する藤田夫妻ならではのユニークな試みです。

 
承紀:
「僕は手仕事が大好き。
お金はさほどかからず、でも手を動かすことで経験が蓄積するから豊かだと思っています。

『手仕事バンク』とは手仕事で作ったものや作業を購入するといくらになるかイメージすること。

お金という視点を加えるだけで手仕事の価値が見える化できて、より前向きに取り組めます」

 
美里:
「アイデアを最初に聞いた時は驚きました。

というのも私は野菜やお米、味噌も麹から作るような家庭で育っていて、手仕事は好きというより当たり前。

むしろ手間も時間もかかるのに…と どこか引け目に感じる所もあったんです。

意識していなかったことに『価値があるよ!』って言ってもらえるのはうれしかったな」
 

▲お子さんの服を作る美里さん。


▲自宅のベランダにあるハーブガーデンで料理用のハーブを育てているそう。

 
そこには手仕事に加えて家事や育児の労力を可視化し、互いの頑張りを認め合おうという承紀さんのやさしさが隠されています。

 
承紀:
「主婦業は本当に大変で立派なこと。
その大変さを見える形にして、誇りにしてほしいんです。

『どっちが多く働いた』とか『どっちが多く家事した』じゃなく、それぞれの持ち場で頑張る自分たちを褒めあえたら最高ですよね。

数値化すると分かりやすくてより相手に感謝できるし、目の前の暮らしを好きになるきっかけにもなります」

 
美里:
「豆から挽いて珈琲を淹れて『お店で飲んだら500円だね』とか『今日のパスタは美味しいから4万円』とかね(笑)

当たり前のことに価値が生まれるのは幸せです」

 

凸凹なふたりも愛せたら。


▲「いってらっしゃいのハグも大事な習慣。忙しくても喧嘩中でも、家を出る時は必ずハグをして『いってらっしゃい』『いってきます』と言い合います。あってよかったと、何度も思ったルールです」(美里さん)

 

インタビュー中に考え込んだ美里さんをフォローする承紀さん、熱く語る承紀さんをほほえみながら見守る美里さん。

性格も特技も異なるふたりはその違いをどこか楽しんでいるようにも見えます。

最後に理想の夫婦像を聞いた時も印象的でした。

 
承紀:
「理想はあまり持たないようにしています。

その目的地にたどり着けなかった時、勝手に落胆してしまうのはもったいないと思っていて。

未来は考えすぎず、相手が喜ぶことを積み重ねたいです」
 
美里:
「うんうん」
 
承紀:
「美里は?」
 
美里:
「んー…(しばし沈黙)。いたわり合える夫婦になりたいです」
 
承紀:
「うんうん、そうね。……って、それで終わり?
もっと具体的なエピソード聞きたいってみんな思ってるよ?(笑)」
 
美里:
「うふふ。以前、承紀さんに『もっといたわってほしい…』と言われたことがあって。

承紀さんは仕事も家も子どものことも気にかけてくれるのに、私は自分のことしか考えていない…と反省したんです。

と同時に、シンプルに思いを伝えてくれて胸キュンでした」

 
承紀:
「もはや理想像の話から離れてるけど、まあいっか(笑)

僕たちは色んなことがばらばらだけどその違いを大事にしたり、学びあったりしてこれからも過ごしていけるといいね」

 

パートナーとの違いを見つけた時、私たちはつい埋めようと努力してしまうことも。

でも、もしかするとそのギャップは自分にはない“チャームポイント”なのかもしれません。

きれいな丸じゃなくていい、凸凹もまた夫婦の形。

 

Text:Nao Tadachi
Photo:Yoshiki, Misato, Jyotaro
Edit:NEXTWEEKEND

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