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日本だけでなく、世界各地で古くから伝わってきた植物療法。

連載「植物で叶える。現代版おばあちゃんの知恵袋」では、植物療法士であるWeekender編集部代表コラムニスト齊藤 渚さんが、今の暮らしに取り入れやすいフィトテラピーTIPSをお届けしていきます。

清々しい風の中に、少し乾いた空気を感じるようになってきました。

空咳や目の渇き、肌の乾燥が気になり始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

東洋医学でも、乾燥の影響=「燥邪(そうじゃ)」を受けやすいこれからの季節は、気道粘膜を潤わせることが大切とされています。

今月は、乾燥の季節をツヤツヤ元気に過ごすために、内側から潤いを保つフィトテラピーをご紹介します。

目次:
TIPS.1 粘膜を潤して免疫力を高める「マロウのハーブティー」
TIPS.2 内側から肌を潤す「飲む美容液」

粘膜を潤して免疫力を高める
「マロウのハーブティー」

目や鼻、喉、そして膣などは粘膜で覆われ、粘液で潤っています。

粘膜・粘液はからだを最前線で守ってくれる大事な要素。

しっかり潤いがあることで、体内に侵入しようとする細菌やウイルスをブロックしたり、体内に入ってしまった異物を体外に排出したりすることができます。

つまり、粘液力=免疫力。

空咳や目の渇きが気になり始めたら、粘膜に良いハーブティーで潤いを補ってあげましょう。

 

材料

・水:200ml
・ブルーマロウもしくはマーシュマロウ:小さじ1
・ラズベリーリーフ:小さじ1(妊娠初期の方は除外してください)
・ジャーマンカモミール:小さじ1

※すべてハーブティー用(食用)の乾燥したハーブをご用意ください。

※ハーブは全種類なくても大丈夫です。特に喉をケアしたい場合はマロウを、膣粘膜や月経痛などの女性特有の不調の緩和も含めてケアしたい場合は、ラズベリーリーフが効果的です。

作り方

1.ティーポットにハーブと沸騰した熱湯200mlを入れる。

2.フタをして5〜10分以上蒸らせば完成。

ブルーマロウを入れると、きれいな青みのある色が出てきます。

時間がたつと茶色っぽくなりますが、抽出時間の楽しみとして色の変化も味わってみてください。

植物の知恵袋メモ

・ブルーマロウ/マーシュマロウ:
粘液質の成分が多く含まれ、呼吸器や消化器系の粘膜を保護してくれる。
喉の炎症や痛みを和らげ、乾いた咳を鎮めるのに役立つ。
ブルーマロウとマーシュマロウは異なる植物だが、同じアオイ科で同様の効果を持つ。

・ラズベリーリーフ
全身の粘膜を強化し、風邪やインフルエンザ、扁桃炎にも良い。
子宮の緊張を緩和するなどの働きから、月経痛対策に用いられたり、ヨーロッパでは古くから「安産のためのお茶」として親しまれている。
最近では食料品店などにも置いてあり、広く浸透しつつあるハーブ。ただし子宮の収縮に働きかけるため、妊娠初期~中期は使用せず、出産3か月前くらい~産後の使用が安全。

内側から肌を潤す「飲む美容液」

言うまでもなく、乾燥はお肌の大敵。

外からの美容はもちろんですが、内側からのケアも大切です。

おすすめは「ゴツコラ」と「月見草オイル」。

まず、ゴツコラ(和名:ツボクサ)は、最近ではCICAという名称で化粧品成分としてよく見かけられている薬草のこと。

飲んで摂取しても良く、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す真皮層の線維芽細胞に働きかけてくれると言われています。

乾燥したゴツコラの葉をお茶にして飲む以外に、タンチュメール(チンキ剤)だと水にさっと溶かして飲めるのでお手軽。

また全草を粉末にしたパウダー状のものだと、栄養成分を余すことなく摂取できます。

続いて月見草(イブニングプリムローズ)オイル。

8月のコラム「月の満ち欠けと月経サイクル」でも登場しましたね。

ホルモンバランスを整えるほか、皮脂分泌を調整する作用があり、かゆみを伴うような乾燥肌やアトピー肌の緩和にも良いとされています。

同様の成分である、ルリジサ(ボリジ/ボラージ)のオイルでもOK。

いずれもカプセル状のものが飲みやすく、オイルが酸化しにくいのでおすすめです。

ゴツコラも月見草オイルも継続して飲むことで、からだの内側から肌の潤いが持続していきます。

肌に限らず、細胞そのものの若々しさをサポートする植物ですので、年間を通しておすすめですよ。

いかがでしたか?

潤いのケアは感染症対策などにおいても重要なこと。

来たる冬の備えとして、ぜひ気にかけてみてくださいね。

今年の冬は外側からの保護だけでなく、内側からの潤いケアを加えてツヤツヤ健やかにいきましょう!

<参考文献>
「潤うからだ」森田敦子(ワニブックス)
「自然ぐすり生活」南上夕佳(ワニブックス)
「ハーブではじめる植物療法の手引き」梅屋香織(グラフィック社)

 

Editor:Saki Goda , ふじのあやこ

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