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2019年に、社内の子育て層でスタートさせたこの連載も少しずつ走者を増やし、気づけば9ターン目(たぶん)に戻ってきました。

子どもの年齢がそれぞれに違うので、お題の設定も難しいのですが、今回は「今の場所から、子どもを通して見える景色」にしたいと思います。

小さな頃、私の宝箱の中には海外の移動式遊園地でもらった“魔法メガネ(正式名称不明)”なるものがあって、それで夜景を見るとすべての光が星やハート形に見えて、世界がときめいて見えるという優れものなのですが…、子どもって、まさにそんな存在。

私たちが大人になるにつれて覚えてしまった言い訳、思考回路、そういう経験値をすべてとっぱらった存在が子どもだとすると、彼らから見る世界はどこまでもときめいているな、と日々痛感します。

我が家の娘は、この夏で5歳。

そんな娘との日々に“子連れ”という感覚はほとんどなくなって、ただ一緒にいて楽しい小さい相棒との暮らしという感覚。

彼女を通して見る景色から、自分なりに刺激を受けたり学んでいることについて書いてみたいと思います。

今の場所から、子どもを通して見える景色

知らないことは楽しいという人間の原点
自分の限界を決めない世界
おかれた場所で楽しむ謙虚さ

 

知らないことは楽しいという人間の原点

公園でも広場でも、子どもたちが溜まっていればそこへ急行し、音が鳴る方、光の差す方にいつだって駆けつける素直さ。

大人になるとそれを“野次馬”なんてネガティブな言葉で表現するのかもしれないけど、ただひたすら好奇心に従って身体を動かしている子どもたち。

年をとるにつれて、時間の流れが早くなると感じるのは、“次に何が起きるかを想定できているから”という話を聞いたことがありますが、子どもはいつも、想定なんかせずにどうなるか分からない未来を全力で楽しんでいる。

「知らないことを知りたい」と思うから人間がここまで生き残って、文化を発展させられたのだとすると、大人の世界から「どうせ」なんて言葉は封印せねばと思わされます。

 

自分の限界を決めない世界

「明日の朝が早いから…」「疲れているから…」もっともらしい理由とともに、大人は体力を温存させながら日々を自己管理していて、それはおそらく大切なことだとも思いますが、時にそれを言い訳にして挑戦することをやめてしまいます。

 

今年の春から娘がスケボーを始めました。

“痛い” “暑い” “疲れる” 多くの要素とともに、きっと4歳にとっては“限界”を迎えているはずなのに、意気揚々と向かって、必死に“あと少し”に挑戦する姿。

「誰かに語るため」とか「己の成長」とかそんな言葉は知らないはずなのに、終わった瞬間静かに涙を流すのを見ていると、文字以上に「限界突破」の尊さを知ります。

そして、突然電池が切れたように眠りこける姿。

体力の温存ばかりしていても、貯金をしたまま使う時間がなくなるようなことになったら本末転倒…!

どんな年齢だって、この年で過ごす季節は一度きり。

自己管理を言い訳に勝手に限界を決めずに全力で過ごそうと思うのでした。

 

おかれた場所で楽しむ謙虚さ

知れば知るほど謙虚になれる人こそ大物だと思いますが、中途半端に知ることによって傲慢になる大人も大勢いるはず。

「どうして私がこんなことを?」「なんでこんな大切な日に雨なの?」そのセリフには、傲慢さだけでなく、誰かが楽しませてくれる、変えてくれる、という受け身な姿勢も含まれているかもしれません。

子どもと一緒にいると、おかれた場所で最大限に楽しみ尽くすという究極の謙虚さを教わります。

毎日のお風呂も、洗い物も、雨も、ダンボールも、緩衝材ですら…!子どもにとっては遊び場でおもちゃ。

それを高級な何かと比較することもありません。

発展途上国ながらも“世界一幸せな国”と言われていたブータンに、テクノロジーが流入してからは、国連の発表する「世界幸福度ランキング」上位に登場することがなくなったという話がありますが、“知る”ということは、時に目の前にある楽しみを享受することの邪魔をするのかもしれません…。

大人になるって難しい。

“ラプンツェル”の髪型に憧れて、プチプチの緩衝材を輪ゴムで小刻みに縛りながら髪に結びつけて、鏡を見てうっとりしている姿からは、幸福と工夫の本髄を教えられました。

5歳になる娘と過ごす毎日は、まさに歩く魔法メガネとの日々。

大人になるために身につけてきた感情や経験は自分の人生の財産かも知れませんが、削ぎ落としたことに気づいてもいなかった視点から、言い訳も疲労もない景色に出会えます。

トップバッターともなると、まぁまぁ真面目な文調で書かざるをえなかったりもするのですが、次にバトンを回すのは、大阪は心斎橋の申し子のような元コミュニティマネージャーの永田尚子ちゃん。(ハードル上げてごめん)

かつて結婚式にも参列させてもらったことがある彼女が、細い腕で3人の男の子を育てる姿は、時の流れだけでなく一人の人間が良い意味で逞しくなっていくさまを見せてもらってます。

 

なおちゃん、3人の頭越しから今どんな景色が見えてる?

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