大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。
この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。
今日ご紹介するのは、お母さんが末期癌と診断された14歳の相談者さんからのお悩みです。
こんにちは。
14歳、中学二年生です。
どうしても心がいっぱいいっぱいになって萌さんのこのページに辿り着きました。
先日、母が入院しました。
最初は腎臓に膿が溜まっているという診断結果だったのですが、なかなか調子が良くならなかったため、もう一度詳しい検査をしたところ、末期の尿路上皮癌と診断されました。
治療としては、抗がん剤などの効果があるのか分からないものしかできないとの事でした。
私は、まだ母と話したいこと、やりたいことが多すぎて、母がいなくなることなんて考えられません。
考えたくもないです。
母の前で悲しい顔を見せたくない。
その一心で笑顔を作るのも辛い。
家事に集中すると、学校の事が疎かになる。
もう何も考えられません。
母は私の中でとても大事な存在で、一緒にいられるだけで、今日も元気でいてくれるだけでいいのに。
どうして、母ばかり辛い思いをしなければならないのでしょうか。
自分の命なんて、惜しくない。
内蔵でもなんでもあげてもいい。
母が生きてさえいてくれれば。
すいません。
思わず心の声を漏らしてしまいました。
自分で言うのはおかしいけど、まだ私は母と一緒に居たいです。
まだ子供でいたい。
甘えていたい。
こんなふうに思うのはおかしいのでしょうか。
生きることを楽しいと思えないのは何故でしょうか。
私はどのように生きれば良いのでしょうか。
すみません。長々と、、、返信いただけたら嬉しいです。
(14歳・女性・学生)
絶望の中、ネットをもがきながらここに辿り着いてくださったのですね。
お悩みを送ってくださりありがとうございます。
これから抗がん剤治療も始まるということで、苦しんでいるお母さんを見るのは本当に辛いですよね…。
学校に行っても、みんなが当たり前に未来の話をする中、自分だけ別の世界で暮らしているかのような気がすると思いますが、そんな中家事も頑張っていて本当にえらいです。
私の母も5年以上前に血液の癌にかかり、病名は急性骨髄性白血病というものでした。
アゴ付近が腫れているので虫歯だと思って歯医者に行ったところ、様子がおかしいから内科を勧められ、血液検査を経てその場で白血病の可能性を言い渡され、即日入院となりました。
その時点で血液の8割以上が異常な数値だったようで、
「ママ、白血病になっちゃったんだって(´・_・`)」
という、どういう心境か顔文字付きのLINEが来た時、頭が真っ白になりながらも、これから全部が変わってしまうんだと妙に冷静に運命に向き合ったのを鮮明に覚えています。
母の闘病中は電気をつけても家が暗く、父と弟との3人ではほとんど会話も気力もなく、当時私は27歳ですでに実家も出ていましたが、母が家にいない数年は仮住まいのようでした。
だから相談者さんが「まだ私は母と一緒に居たいです。まだ子供でいたい。甘えていたい。」と仰るのは、全くおかしいことなんかじゃなく、当然の気持ちだと思います。
お母さんの存在は何歳になっても唯一無二です。
あの時の私たちは、とにかく母に“希望”を与えようと思っていました。
辛い抗がん剤治療と移植手術に向き合って、食欲も一切なくなる中、母に少しでも前を向かせるためには未来の話が必要でした。
私は今まで通り、結婚生活のこと、仕事のこと、友人のことを母に沢山話しましたし、何かを食べたい、何かを読みたい、という「〜たい」で終わる言葉が引き出せたら、すぐに用意して叶えるということに真剣に取り組んでいました。
(実家に帰った時、弟が病院に届けるために松茸ご飯を炊きながら、庭で炭火を起こして、たった3枚のお肉を焼いていた時は衝撃的でした…)
だから、同じ場所に立って希望のある話をしてあげてほしいと思います。
それはきっと治療を乗り越えていく時にお母さんの背中を押してくれます。
ただ、あれから数年経って自分も母になって思うのは、相談者さんが無理して笑っていることもお母さんは分かっているし、特に相談者さんがまだ中学生だということを考えると、申し訳なくて、かわいそうで、自分がいない家での時間のことを思うと、病院にいることが悲しくて悔しくてしょうがないと思います。
相談者さんが、お母さんとしたいこと話したいことが沢山あると思われているように、お母さんも、毎日「今日どうだった?」と家で会話したいはずだし、夜娘が勉強していれば温かい飲み物を作ってあげたいし、いつかパートナーを連れてきてくれる日があれば優しく迎えたいと思っていらっしゃるかもしれません。
娘にしてあげたいこと、見せてあげたいこと、伝えたいことで溢れているはずです。
当時私は母に対して、なるべく普通を装うということを心がけて、じっくり目を見て話し合うようなことは、目の前にある重い病を認めるようで極力避けてしまっていたのですが、交換ノートでもいいので、二人が伝え合う場をもうけてみるといいかもしれません。
相談者さんは、お母さんに辛い顔を見せたくないと思っているかもしれませんが、ここに辿り着いてくださったように、お母さんは娘にそれを出せる場所を作ってあげたいとも思っているはずです。
相談者さんとお母さま、それからご家族にとって、これからも一緒に良い時間を過ごせることを心から祈っております。
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