NEXT WEEKEND DATE

大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。

この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。

今日ご紹介するのは、上京して働く相談者さんからのお悩みです。

こんにちは。
このような類に投稿するのは初めてで緊張しますが…
萌さんのお仕事は、あ!私もそんなようなことがしたかったの〜!と思うことがたくさんあり、大好きで尊敬している方なので思い切って相談させてください…!
私はど田舎の出身なのですが、その出身地をバカにされるのが辛いです。
自分でも恥ずかしいと思っている部分を刺激されるのが辛いです。
大学進学を機に上京し現在は全国転勤のある仕事をしてますが、同僚から「絶対そこ(私の出身県)に異動したくない」とか「何もないよね?よくそんな所に住めるね」とか言われるたびに苦しくて、確かに自然しかないけれど、地元の友人や家族まで見下されているようで悲しくなってしまうのです。
何で自分はそんな田舎に生まれてしまったのだろうと泣ける日もあります。
そして、私自身も都会出身の人には勝てない、田舎者の自分は劣っていると考えてしまい、胸を張って◯◯県生まれです!と言えない自分が大嫌いです。
地元は好きだけどコンプレックスでもあるというか、うまく言葉にできませんが、、
出身地は変えられないので自分の考えを変えたいと思い相談させてもらいました。
(27歳・女性・会社員)

こんにちは。

お盆ですねぇ。

聴こえてくる虫の声も風の匂いも、朝昼晩と時間に合わせて顕著に移ろうこの季節が大好きだなぁと、しみじみ感じています…。

夏がこんなに好きなのは、これまで過ごした夏の記憶のすりこみなのかなぁ。

さて、お悩みを送っていただきありがとうございます。

私は夫の仕事の関係で引越しが多く、この10年でいろいろなところに住んできていますが、行く先々で本当に素敵な方々に出会ってきていたので、今の自分の価値観だと「そうか、田舎出身はコンプレックスになりえることもあるのか…!」という新しい感覚でした。

いただいたお悩みに「地元は好きだけどコンプレックスでもあるというか、うまく言葉にできない」と書いてありますが、自分の気持ちを整理する前に、地元の好きなところをいくつか言葉にしてみてはどうでしょうか。

私は仕事柄、よく地方に取材に伺うことも多いので、いくらでもお話ししたい例があるのですが、最近の話で言うと、ちょっと前に石川県の小松にある窯元に取材に伺ったのですが、帰り際に、アスリートである夫に「いつか北陸に移籍することになったらこの近くに住みたい…!」と連絡したほど、大好きな場所になりました。

代々続いている窯元の、4代目のご主人とその奥様が、ご結婚されて奥様自身も陶芸家になった、というご家族のお話を伺ったのですが、「小さい頃から好きな色だった」という、地元特有のセピア色の石で造られたギャラリーの中で、庭の草木を押し付けて色を染めたというテーブルマットを敷き、その土地で代々伝わる技法を凝らした器に、地元のお気に入りの和菓子をのせて出してくださいました。

作品の話を伺っても、「ここから見える空の色が本当に独特で、色が変わりゆくところを描いたの」という美しい器があったり、近隣のおすすめをまとめた素敵な手作り冊子をくださったりと、本当にご自身の生活を楽しんでいるのがとにかく素敵でチャーミングで…!

正直、窯自体は四方が田んぼに囲まれていて、いくら歩いても同じような景色でしたが、その場所が便利かどうかなんてことよりも、自分の暮らしを楽しんでいるかどうかが何よりの魅力だなと改めて思いました。

同じ場所に住んでいても、見えている景色は人によってまるっきり違うんだと思います。

相談者さんは、大学進学を機に上京ということで、もしかすると実際にその土地にいながら「あぁ、こういうところがいいよな」と客観的に感じて、言語化できるほど、他のところも経験できていなかったのかもしれません。

私が仕事で様々な地方を発信していくと、その土地出身の方からSNSなどを通してご連絡をいただくことも多く「すでに地元は離れていますが、そんな見方があるなんて…!」といったことを言っていただくことも少なくありません。

近年「移住」が身近となり、様々な場所で、移住者の方が地元に根付いた素敵な店をオープンさせたりしているのは、そうやって客観的な目線で、土地の良いところを編集できているからなのかもしれません。

当たり前に自分が持っているものって、客観的に言語化しづらかったりしますよね。

相談者さんは一度離れているので、ずっと地元にいる人よりも、客観的な目線で地元を見つめられるはずです。

一度、編集者になったつもりで、人にプレゼンするならどんな見出しをつけて、そして何を勧めようかなと考えてみてください。

実際に何かの記事を出すわけではないので、自分がそれをしたところでみんなのイメージは変わらない…!と思うかもしれませんが、おそらく相談者さん自身がコンプレックスを感じてしまっていることが「見下されている」と、とらえてしまう1番の原因だと思います。

出身地だけでなく、自分の両親や性別、それから過去の経験など、自分を取り巻く要素で、変えるのがとても難しいことはたくさんあります。

だけど、変えられないとしたら、明日も明後日も、それは自分の要素の1つです。

恨んだり悔やんだりするよりは、今の自分を作ってくれた要素だと認めて、良いところや与えてくれたものを見つめてあげてください…!

それは今の自分の生活の満足度にも直結するはずです。

どこに行っても必ず名産があって、行こうと思えば、当日にだってどこにでも行けちゃうのが、日本という美しい島国…!

相談者さんが地元を誇りに思えるよう応援しています。

こんな時ですが、少しでも良いお盆期間になりますように!

 

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「編集長がこたえます」が本になりました

人生の変化を迎える全ての女性に贈りたい!

NEXTWEEKENDの人気連載「編集長がこたえます」が1冊の本になりました。

その名も「深夜の、かけこみ横丁」。

「自分が何者でもないことが不安です」
「浮気した夫とのこれから」
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「生きている意味がわかりません」
「セックスレスで、毎晩涙で枕を濡らしています」

身近な人にこそ言えない、人の悩みは十人十色。
今日もきっと、誰かが悩んでる。

横丁で隣に座ったような気持ちで、誰かのお悩みを聞いて、考えて、語って。
気づけば自分のお悩みもスッキリするような1冊です。


▲共感を集めた31のお悩みを掲載
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WEBでは選べなかった、深い内容も初公開。


▲悩みを解決する5ステップの思考法&書き込みノート
自分のモヤモヤを客観視することで今やるべきことが見えるかも…!
今自分が悩んでいることを書きこんで整理できるノートつきです。

▲悩んだ日に食べたい、横丁のレシピ
悩んだ日でもお腹は空く。
食べたら明日からちょっと元気になるようなおつまみとお酒のレシピも、お悩みのシーンごとに掲載しました。

 

「深夜の、かけこみ横丁」
著者:村上萌
発行元:カエルム株式会社
仕様:176ページ/B6版製本
定価:1760円(本体1600円)
流通:全国書店、ネット書店
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