生まれ故郷、今住んでいる場所、ゆかりのある土地…
それぞれの人目線で、様々なお国の魅力を紹介していく記事リレー「お国じまん」。
今回は、NEXTWEEKENDコラム「知っておきたい器のあれこれ」を連載中の、うつわ屋MYTABLE 店主 伊藤唯さんがご紹介する、静岡県・熱海市編です。
ディープも新しいも満喫する、
熱海の過ごし方
こんにちは。
うつわ屋MYTABLE 店主をしています、伊藤唯です。
遊休不動産を活用するアイディアを考えるワークショップをきっかけに、つい昨年の12月まで静岡県熱海市で週末営業のうつわ屋を営んでいました。
今はもう店舗は閉め、委託販売やイベント、WEBのみでの活動をしていますが、丸3年間週末に通い続けた熱海は、会いに行きたい大好きな友人もできて、第二の地元のような場所になりました。
熱海のおもしろいところは、文豪の保養地だった頃にできたような昭和レトロな風格のあるお店と、ここ数年でできた新しいお店が入り混じっているところかなと思います。
今回の記事では、新しいお店たちを中心にしつつ、ちょっとディープなお店も織り交ぜてご紹介します。
どこかピンとくるものが見つかれば嬉しいです。
熱海で見ておきたい景色たち
1.海が真っ赤に染まる朝日
夏になるとびっくりするほどの人手のあるサンビーチ。
王道に夏の海辺をエンジョイするのもいいけれど、ここでおすすめしたいのは朝日です。
熱海から見て東向きに海があるので、熱海の朝日は海からのぼります。
入り江状になった陸が背景だからか、日の出の迫力もたっぷり。
早朝は観光客もまばらなので、存分にのんびりできますよ。
なにより、ちゃんと起きれて見れたときの達成感はひとしおです。
2.ぎゅぎゅっと凝縮された花火
熱海の花火は年間15回ほど開催されていて、どの季節でも見ることができます。
▲フィナーレじゃなくてもこんな感じです。
この花火のいいところは凝縮した内容と距離感。
催行時間自体が15分ととても短い分、内容がぎゅっと詰まっていて、後半はこれでもかとばんばん花火が打ち上がるので、フェスに参加しているかのように気持ちが高ぶります。
大規模の花火大会に比べて人出がそこまで多くなく、かなり近くで鑑賞できるので、花火のサイズは同じでも迫力たっぷり。
オフシーズンはより満喫できるので、ぜひ。
熱海のディープスポット
1.タイムスリップ気分になる老舗の喫茶店 ボンネット
実は古い喫茶店の多い熱海。
昭和27年創業の老舗喫茶店 ボンネットは、昭和レトロとアメリカンのバランスが絶妙な内装で、心を掴まれる女子も多いお店です。
おすすめは、その昔、文豪の三嶋由紀夫食べに来ていたというハンバーガー。
ハンバーグとバンズ以外の野菜はサイドに添えられて出てくるので、お好みの組み合わせで食べることができます。
お客さんをそっとしておいてくれるので、店内のジャズを聴きながら気持ちをリラックスして過ごしてくださいね。
2.妙楽湯
温泉旅館はたくさんありますが、通な温泉としてご紹介したいのが、妙楽湯。
米ぬかとヒノキを発酵させて発熱した「酵素風呂」に入ることができるんです。
温泉でぽかぽかに温まった時とはまた違い、酵素風呂の後は体も頭も芯からすっきりして、デトックス効果を感じることができますよ。
畑が見えるお食事処では、玄米おにぎりなどのナチュラルなご飯もいただけるので、しっかり健康体になって帰れる気がします。
新しいスポットたち
1.guest house MARUYA
熱海で銀座と言えば熱海銀座(そのまんま)。
市街地中心部の熱海銀座にあるゲストハウスMARUYAはカプセルルームが中心のお財布に優しい宿です。
エントランスにあるカフェバーのMARUYA Terraceは宿泊者以外も利用でき、バータイムに立ち寄った地元の方と宿泊者で盛り上がり、ゆるく一緒にお酒を飲み交わすシーンを見かけることもしばしば。
大人なほほえみをいつも携えている女将のちほさん(右)は、とってもお茶目。
ゆったりとした声で話すジョークには、なぜかきゅんとしてしまいます。
ここに泊まるなら、ぜひ朝ごはんを。
宿で用意するのは、ご飯とお味噌汁だけですが、お向かいの干物屋3件から購入してきた干物をMARUYAのバーベキューグリルで焼いて朝食に食べることができるんです。
▲ちょっとの立ち寄りなら、干物のサバサンドも絶品です。
地元の生活をチラリとのぞいた気持ちで熱海の朝を楽しむことができますよ。
2.caffe bar QUARTO
コーヒーチェーンがほぼない熱海。
おいしいラテを飲みたいなら、一昨年オープンしたcaffe bar QUARTOがおすすめです。
guest house MARUYAのお向かい、カジュアルなブルーのカウンターが目印。
おしゃべり上手な店主のまいさんが出迎えてくれます。
常連さんもたくさんいるけど、不思議と初めてのお客さんも居心地よく楽しめる、あったかいお店です。
同じスペースには本格派のジェラートショップLa DOPPIETTAもあるので、ぜひ一緒に楽しんでみてください。
3.「yoshi- 魚-tei」と「干の酛や」
熱海の名物といえば干物。
以前はさほど食べる機会がなかったけれど、熱海に縁ができて、よく食べるように。
それまで食べてきたものとは比べものにならないほどジューシーなのに驚き、胃袋をがっちり掴まれてしまいました。
▲この秋に発見した食べ方は干物でつくるアクアパッツァ。
干物からいい出汁が出てくれるので、適当に作ってもおいしいんです。
干物屋ふじまさんが経営されている「干の酛や」と「yoshi- 魚-tei」という居酒屋は、どちらも夜においしい干物と日本酒がいただけるので、個人的に通うのはもちろん、都内の友人が遊びにきたときにはすかさず案内しています。
みんなしっかり気に入って帰ってくれるので、ぜひ1度経験してみてください。
4.Le palais
夕飯はもう食べたけど、もうちょっとグラス片手におしゃべりしたいなという時は、ワインバー Le palaisへ。
ヨットハーバーの手前にある渚町というエリアの、冒険心をくすぐられるディープな路地の中にあります。
ドキドキしながら小窓をのぞくと、白を基調としたこじんまりとした優しい空間が。
▲海外のワイナリーを旅してお店に知識を持ち帰って…。
そんな暮らしをするのが目標なのだそう。
非日常感のあるディープなお店が多い熱海にあって、いつものお店でお喋りしているような居心地の良さがあり、旅先ということを忘れてついのんびりしてしまいます。
ワインに詳しくなくても大丈夫。
ソムリエのあつみさんが優しく教えてくれますよ。
5. refs
地元のおいしい食材を連れて帰ると、家に帰ってからも旅の思い出を楽しめますよね。
熱海でわくわくする食材を扱っているお店といえば、refs(レフズ)さん。
伊豆半島周辺のおいしい野菜と食材のショップとレストランが併設されたお店です。
オーナーの小松さんがいらしたら、ぜひ気軽に気になる事や季節のおすすめを質問してみてください。
並べてあるだけでは見つけられなかった素敵な食材を教えてくれますよ。
▲泥付きの姿はれんこんのようで目につかなかったけど、小松さんに勧められて購入したとっても太い大浦ごぼう。
グリルして塩を振ったら、おいものようにほくほくでした…!
洋なアンティークの家具で過ごす古民家カフェや、麦芽の味見までさせてくれるビール工場など、話し出したらとまりませんが、今日はこのへんで。
もっと幅広いエリアのおもしろスポットが知りたい方はリトルプレスHyggeあたみらへんを読んでみるのもおすすめ。
小田原から伊豆、沼津といった幅広いエリアの気になる人、もの、ことを特集しているので、ガイドブックとしても重宝します。
熱海出身東京在住の編集者と東京出身熱海在住のデザイナーがタッグを組んでつくっているので、ちょっとクールな地元目線ですてきなお店やスポットを紹介してくれています。
熱海探検、楽しんでいただけたら嬉しいです。
どこかでお会いできたら、ぜひ一杯ご一緒しましょう。
Design:Hitomi Sakano