人生の一大テーマでもある、住まい。
「憧れの土地に住むこと」「マイホームを持つこと」
そんな、心の中で描く理想の暮らしはきっと誰にでもあるけれど
これからの人生の拠点になるからこそ
(そして決して簡単ではない決断だからこそ)
“いつか”と温め続けて、最適な決断時期を探っている方は多いのではないでしょうか。
就職、転身、結婚、育児。
目まぐるしく変わるライフステージに、都度柔軟に寄り添いながら
自分らしく毎日を楽しめる住まいを整えるには、何から始めればいいのだろう。
みんなはどうやって、住む土地や環境を選んでいるんだろう。
この冬NEXTWEEKENDと栃木県でコラボレーションして開催したイベント「理想の暮らしから考える、自分らしい地方移住」では、そんな自分らしい暮らしを送るために今できることを参加者のみなさんと考えました。
今回、60名様の参加者を募集させていただいた中、なんと定員の倍以上のご応募をいただきました。
正直、勇気のいる決断となる地方移住や2拠点生活に、これほどまで興味関心を持つ方がいるなんて想像が及んでいなかった私達。
「自然の中での田舎暮らしを基本に、仕事で必要な時にだけ東京に出る生活がしたい」
「のびのびと育児ができる自然豊かな土地に暮らし、場所に縛られない仕事が叶う環境を作りたい」
「実家のある県、会社のある東京、そして自然と触れ合えるもう一拠点を行き来しながら、社会や人の役に立つ仕事をしたい」
実は、理想の暮らしを叶えるために、今いる場所に固執せず、移住や多拠点生活を検討している方がたくさんいらっしゃいました。
理想の暮らしから住まいの環境を考えるきっかけとなった今回のイベント。
せっかくなので、今後のライフスタイルについて考えるヒントがたくさん詰まったイベントの様子を、この記事でご紹介したいと思います。
「自分の理想の暮らしと、家族や仕事とのバランスに悩んでいる」
「今の暮らしに不満はないけれど、理想の暮らしを描いてみたい」
「憧れの土地はあるけれど、うまく馴染めるか不安で踏み出せない」
なんて思っている方に、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
スペシャルトークショー
「2拠点生活と移住、それぞれの生き方と暮らし方」
埼玉県から栃木県那須塩原市へ移住し活躍している豊田彩乃さんをゲストに迎え、7年に渡り2拠点生活を送る村上萌と共に、それぞれの暮らしの仕方・考え方について対談しました。
▲(左)NEXTWEEKEND編集長村上萌
(右)ゲストハウス街音matinee 豊田彩乃さん
ご参加いただいた皆さまから事前にアンケートを取り、取り上げた対談テーマはこちら。
・知らない土地での人付き合い、家探し…どう始めた?
・地方でも自分らしく働くには?
・この暮らしの魅力とリアルな問題
・離れて暮らす家族とのコミュニケーションは?
・これから挑戦したい密かな野心
この中から、2人のエッセンスが凝縮した3つのトピックをご紹介したいと思います。
豊田:大学3年生の時にチャリティイベントで日本一周をしたのですが、各地を巡る中で、地域に関わる仕事がしたいと思ったのが地方移住のきっかけです。
4年生になって就職を考えるタイミングで「何かを伝える仕事がしたい!」と広告代理店を志望していたのですが、日本一周の経験を経て「入り込んでみないと仕事として始まらないかな」と那須塩原市の地域おこし協力隊になることを決意。
大学4年生の段階から移り住むことにしました。
栃木県に決めた理由は、東京の大学に通いながら暮らせる場所、都会と田舎のバランスが良いこと、そしてフィーリングが合ったから。
地方に住みたいという気持ちを叶えるため、現地に関わる手段として町おこしやゲストハウスを仕事として選択しました。
村上:アスリートである夫の職業柄、移籍に合わせて住む場所が変わることが暮らしの前提だったので、結果的に多拠点生活が続いています。
でも「連れて来られた」と思うのではなく、「どうやってその場所を楽しもう?」「この場所をどう自分のコンテンツにしよう?」といつでも前向きにその場所に向き合いながら、仕事も暮らしも能動的に楽しんでいます。
これまでと違う土地に住む時、楽しむって心を決めちゃうことが結構大切で。
どうせちょっとしか住まないから、自分はよそ者だからと思ってしまうより、その場所で過ごす時間をどう自分のものにするかが大事だと思います。
豊田:自分はそんなに特別なことは出来ないと思っていても、地方で活きる意外な特技や、新しい自分のスキルが見つかって、それが仕事に繋がったりします。
私の場合、地域のイベントの司会やチラシ作り。
これまでやったことはなかったけれど、とりあえず「出来ます!」と言って、続けていったことで、今の自分のコンテンツになっています。
頑張りすぎちゃうと不満が出て苦しくなっちゃうので、“できる範囲で”が大切ですが、初めてのことでも飛び込んでみることが大切だなと感じます。
また、ライフスタイルの変化に伴って、自分がいつかいなくなっても、その土地の負の財産にならないような仕事の仕方は意識しています。
村上:神戸にいた時「住む先々で拠点つくるのは大変だな」「また別の場所に移住するかもしれないし、人脈を広げるのは迷惑なのでは」と思っていたのですが、とある地元の方の集まりに呼んでもらって、それがとても楽しかったことがきっかけで、せっかく住んでいるからにはこの場所での出会いを大切にしようと思うようになりました。
▲民宿のオーナー、畑のオーナー、割烹料理の料理長、イタリアンのシェフからパン屋さんまでが、この日のためのスペシャルメニューを作って集まり、屋根の下でDJしている人や、ヘチマのカーテンの中にバーテンまでがいる幸せすぎるパーティ。
それからは、その土地で今自分ができる力を発揮したいなと思って日々接しています。
また、訪れる先々で「東京の人たちはこれに興味あるんじゃないか」と、外から来た自分だからこそその魅力を翻訳できる自信がついて、どんどん新しい仕事へ繋げることが出来ています。
豊田:栃木県での暮らしは、四季を肌で感じられることが一番の魅力です。
風の冷たさ、野菜の種類、そんな小さな変化から暮らしの楽しみを感じています。
小学校に上がるタイミングで移住する方も多く、子供たちも自然と触れ合って伸び伸びしている姿が素敵だなぁと思います。
リアルな問題としては、やっぱり寒い!
雪国ほど耐寒性のある地域ではないし、都会ほど密集していない。
暖房の準備や気候に慣れるまで、ちょっと大変です。
村上: 今のライフスタイルを通して行動力がとにかく強まりました!
毎年「今年がここで過ごす最後の夏かも」と思って過ごしてきたので、土地ごとに思い残すことがないほど楽しんでいます。
旅行に行くと少ない日程で叶えたいことを詰め込むのと同じ考え方で、2拠点生活+次にどこに住むかわからないと、やりたいことが明確になります。
いつでも行ける、いつでも出来ると思わない一期一会精神はかなりつきました。
リアルな問題は、もう忘れ物番長!持ち物をかなり先の予定まで想像しないといけないので、そこが大変かもしれません。
私はその時にベストだったらいいやと思える性格だけど、完璧主義の方だと疲れちゃうかもなぁ。
でもそんなエピソードも自分のコンテンツに変えて楽しめるから、そんなところも魅力のひとつなのかもしれません。
▲トークショーが終わるころには、みなさまのメモシートがびっしり…!
トークショーではこのほかにも、家族とのコミュニケーションの方法や今後の夢など深いところまでお話したり、みなさんからの質問で一緒に盛り上がったりと、大充実の1時間となりました。
“移住”というキーワードで繋がる2人ですが、その生き方は大きく異なり、それぞれの個性であふれていました。
でも、2人とも現時点での選択を今後の人生の答えだとは考えず、今の自分にとって最良の選択と捉えているからこそ
知らない土地で過ごすこと・住む場所を変えることを、肩の力を抜いて楽しんでいました。
ライフステージが変わるにつれて、暮らしに対する選択を変えてもいいこと。
今の自分が選択したことに、ちゃんと楽しむ姿勢で臨むこと。
0%でもなく100%でもなく、未完成でもいいから一歩踏み出しても良いんだと、気負いすぎていた背中を押してくれる対談となりました。
理想の暮らしを叶えるための
課題解決ワークショップ
トークショーで2人の考え方や、抱いていた悩み・疑問を紐解いたところで、グループに分かれてワークショップへ。
オリジナルワークシートをもとに、今の自分が感じる理想の暮らしを言語化していきます。
例えば、5年後、10年後、15年後、自分や家族はどんなライフステージにいて、どんな暮らしをしていたら理想なのか。
その理想を叶えるとしたら、今浮かんでくる不安は何なのか。
素直な気持ちに耳を傾けてみることで、忘れていた昔からの理想や、自分でも意外な野心の種が見つかった方も。
シートを埋めたら、グループで一人一人の理想の暮らしと、現状の悩みをシェア。
「地方移住」という同じ興味関心を持つ同世代の方と、それぞれ異なる暮らしのあり方を意見交換することで
自分では見つけられなかった考え方を発見しあう素敵な時間となりました。
栃木県の旬食材に舌鼓
理想の暮らしについてたっぷり頭を使った後は、栃木県の旬食材を使ったケータリングとワインで乾杯!
自然豊かな栃木県の魅力を五感で楽しみながら、グループワークで話し足りなかった理想の暮らしについて、さらに意見交換を深めていました。
▲ケータリング提供は 外苑前に構える自然派ワイン角打no.501さん。
那須塩原市のにへいふぁーむから届いた、レタスや大根、里芋といった新鮮野菜と、チーズ工房那須の森の絶品チーズを使ったお料理は、どれも大好評!
栃木県といえばパッと思い浮かぶ「とちおとめ」の特製フルーツサンドもGARTEN COFFEEからご用意しました。
足利市のココファーム・ワイナリーから、赤ワイン「農民ロッソ2018」、白ワイン「Ashicoco2018」、特製ブドウジュースをお楽しみいただきました。
「土地ならではの美味しい食材は、その土地の解像度をぐっと上げる」と名言を残してくれた方がいたほど大好評だったスペシャルケータリング。
食を通して、さらに理想の暮らしについての意見交換が叶った時間となりました。
ご参加いただいた皆様の感想をご紹介!
当日会場にてご参加いただいた皆さまの、感想レポートをご紹介!
SNSで #DiscoverTochigiを見ると、他にもたくさん素敵な感想を投稿してくださっています。
是非のぞいてみてくださいね♩
地方移住と聞くと、その選択が今後の人生の全てだと考えてしまいがち。
ですが、日々変わっていく自分の考えやライフステージに合わせて、しなやかに動いていくことが、人生100年時代と言われる現代にはぴったりな気がします。
今回のイベントレポートを通して「そんな生き方もあるんだ!」と、みなさまの暮らしの選択肢が1つでも増えていたら嬉しいです。