こんにちは。コンテンツプランナーのやすよです。
ウェブマガジンNEXTWEEKENDが、9月30日をもって休止することに伴い、子育て交換日記も今回で最終回となりました。2019年4月から始まり、延べ65連載。初回は6人だった交換日記メンバーの子どもたちも、倍以上の15人に増えました。
毎月大切に繋いできた親子のバトンの大トリを、私が務めていいんでしょうか…と副編集長のともちゃんにしつこく確認してしまいましたが、最終回を綴ることができて光栄です。
それにしても、つくづく「交換日記」という文化はいいものですね。携帯を1人1台持つなんてスターウォーズの世界のような話で、ひとつのノートを友達と大切にしていた小学生のあの頃。
今はLINEでいいじゃん、Instagramでシェアできればいいじゃん、となりがちですが、こうしてページが積み重なっていくように日々を綴れたのはもちろん、目の前にいる人のことをちゃんと考える時間をたっぷり作る、ということも、交換日記ならではのありがたみ。
普段の会話では引き出せない個性やエピソードも知れて、書き手にとっても読み手にとっても嬉しい、最強のコミュニケーションツールだなと感じています。
子育てという正解のない世界で、これほどのロングランでいろんな視点をシェアできたのは、読者のみなさまの反応あって。
本当にありがとうございました!
さて、今回のテーマは「意識して、のばしてあげたいなと思っていること」
この間産まれたと思っていた次男ですが、あと2ヶ月で1歳を迎えることもあり(早すぎて現実逃避)、最近ぐっと人間になってきました。
それによって、2人の性格がよりクリアに。
長男はひょうきん・実は繊細・空気を読むタイプ・頑固・怖がり。
次男は大らか・大胆不敵・物怖じしない・高いところが怖い。笑
0歳3歳なのでまだまだアップデートされていきますが、すでに兄弟で対照な個性を持っていて、産まれた時から人って全く違うんだなあと気付かれます。
映画『インサイド・ヘッド』で5つの感情たちが登場しますが、お父さんのメインは怒り、お母さんのメインは悲しみと、それぞれメインに立っている感情が違う、という視点が大好きで。長男はきっとビビリ、次男はきっとヨロコビかなと想像するのが楽しいこの頃です。
それぞれ持って産まれたものを親がぐんと伸ばすことは出来ないでしょうが、選択肢を広げてあげることはできる。そう思って、我が家はこの3つを意識している気がします。
1. 生きていく世界の広さ
2. 選べるということ
3. 自分を楽しむこと
生きていく世界の広さ
いずれ自分の足でこじ開けていくであろう子どもの視野ですが、親が与えられるうちは、本人の意思を問わずいろんな世界を見せてあげたいと願っていて。長男は、大小問わず身の回りのものに対して気になる力が強いので、そのパーソナリティは今から伸ばしてあげたいと思っています。(昨日は「お母さんって骨あるの?」と聞かれた)
先日、周りに驚かれながら(笑)家族で7泊8日のロサンゼルス旅行へ行ってきました。街を走る車の形や色が日本と違っていたり、お菓子やアイスも見慣れないもの、かけられる言葉も新しくて。(Hi sweetie!やYou are angel♡などなど行く先々でおばさまの人気を獲得)
新しい価値観に触れまくって「アメリカ楽しい!」と連呼していた長男。3歳になりたての海外旅行なんて覚えていないよな、行っても自分なりに楽しめないよな、という考えがよぎりまくったのですが、どんなに幼くても、今吸収できるものは今しかない。そこで得た感覚が、きっと子どもの感性を育むピースになるだろうと思っています。
海外経験は大げさですが、私は幼い頃、親の飲み会に同席することが多々ありました。テーブルに並ぶものは全て大人用のつまみで、喫煙オープンな時代だったので煙草の煙に囲まれ、親がベロベロになって寝落ちしている姿もよく見たものです(あーあまたこうなった、って呆れてました笑)
完全によくない環境だったと思いますが、深夜まで起きているとこんな世界があるんだとか、こんな美味しいものがあったのかとか、大人の会話に聞き耳を立てたり、間違いなく「面白い世界がある」と自分をアップデートさせていた気がします。
大人だから、子どもだから、と区切ることはせずに、あらゆる環境を提供してあげたい。自分が生きる世界にはいろんな人がいて、文化があって、価値観があると知るチャンスは、どんなに早くてもあってよいと思っています。
選べるということ
子どものうちは選択肢が少ないというのが、当たり前ではあるのですが。親がお膳立てするのでは面白くないので、どんなものも選択の余地を与えるようにしています。
今日着る服、晩御飯の献立、観るテレビ、寝る時間、遊びに行く場所。今息子が選べるものを、できるだけ「どうする?」と聞くようにしていたら、「今日はこれをやってからここに行って、こうしたい」と1日のスケジュールを 瞬時に立てて教えてくれるようになりました。
もちろん、その通りに行かないことのほうが多いのですが(彼の中の最大理想を掲げてくるので…)「親がどうにかしてくれる」という思考より「自分で日々を生きている」という感覚は、ほんの少しでもあったほうが良い気がしていて。「こうしたい」を明確に主張できる息子だからこそ、その意思の強さは宝物なので、将来のためにも伸ばしてあげたいと思います。
ちなみにこの夏、COMMON FIELDたまプラーザで開催したスターライトシネマにて、弊社主催の千本引きブースに息子と行った時のこと。かなりの低確率でしか当たらない特賞を当てるともらえる、段ボールで作った車のキッズシネマシートがあったのですが、あんまりルールを理解せずに、数ある紐の中から息子がぱっと1本引いたら、見事特賞!!!しかもそのキッズシネマシート、私が担当で制作したもの。自分で選ぶことで、自分も周りもスーパーハッピーになった、素晴らしい成功体験になりました。笑
自分を楽しむこと
萌さんが前回の日記で挙げていた「独創性」と近しいのですが……長男はだんだんと頭の中のマイワールドを楽しむ時間が増えて、ひとりでずっとしゃべりながら遊ぶ姿が印象的。周りから「自由人」と呼ばれるほど、同調性はなく(笑)個人プレーを愛する性格は、私に似てしまったようです。
保育園の写真を見ると、集合写真や、数人でピースしている写真には息子は絶対写っておらず、先生が意識して撮ってくれたであろう躍動感ある息子のみが残っています。どれだけ集団行動が性に合っていないんだ…。でもひとりを楽しめるって、ちゃんとした個性であって、独立性が高いと感じるので、自分の世界に没頭するその力は、どんどん強めていっていいと思っています。
公園に行っても「お母さんと!」となることはなく、全く違う方向へ向かって遊びにいく我が息子たち。(次男もすでにそんな感じ)そうやって自力で見つけたこと、触れたもの、聞いたこと、全てを糧にして、マイワールドをどんどん大きく耕していってほしいなと思います。
私の家系は専門職や研究職が多いので、息子も物事を突き詰める系の血を受け継いでいるのかなあ…。きっとご先祖さまたちもお喜びのことでしょう。笑
弊社の副編集長ともちゃんが、私が大きなイベントを担当すると必ず「安代ちゃんは木も森も見れてすごい」と褒めてくれるのですが、それが本当に嬉しくて。会場全体の雰囲気やお客さまの流れなど、俯瞰で見るべきところは見つつ、「え、そこ?」とつっこまれるディテールオブザディテールにこだわってしまう私の性分なのですが、そうやって褒めてもらえたことで、とても自信になっています。
自分の世界にとことん熱中しつつ、大きな視点でたくさんの世界を知って、価値観を広げてほしい。タイトルで書いたように、息子たちには、木を愛でる力も、森を見渡す力も身につけてほしいなと思っています。
「さて、次のバトンは〜」と言いたいところですが、もう渡せないと思うとやっぱり寂しいですね。
NEXTWEEEKENDの更新はお休みに入りますが、過去のコンテンツはずっと振り返って読むことができるので、私自身子育てに行き詰まったり、違う視点が欲しい時に、何度でもこの連載に戻ってきたいと思います。
第1回の「今日はきっと、20年後の私がタイムスリップに大金を払いたいほど尊い一日」という萌さんの言葉は衝撃だったし、尚子さんの年長ファーストな兄弟育児論には感銘を受けたなあ。
親としての目線で楽しんでいましたが、子育てという事象をもって、“子”の立場の自分を自分で育てている感覚さえ持たせてくれました。
人間としても大きく朗らかにさせてくれた連載。
ぜひみなさまも、何度でも振り返っていただけたら嬉しいです。
またいつか、この連載ができることを祈って。ありがとうございました!
Illustration:Chiharu Nikaido