NEXT WEEKEND DATE

大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。

この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。

今日ご紹介するのは、こんなお悩みです。

はじめまして、こんにちは。いつも萌さんが発信する言葉や風景、生活に元気付けられています。
そんな萌さんに助けて…!と言う気持ちでメールいたします。私は今両親と離れて一人暮らしをしているのですが、たまに実家に帰るたびに親との価値観の違いに憤り、疲れ、時には喧嘩になり、親から逃げ出したくなります。

地方の優等生だった両親と東京育ちの私は育った時代も環境も違うため、私は学生時代から考え方の違いを感じてきました。社会人になるのをきっかけに親元から離れて、一人暮らしを始め、新しい仲間との出会いや実家暮らしではできなかった色んなことを通じて、失敗や心底悲しいことも経験しましたが自分でなんとかしてきました。

しかし、そうやって新しい価値観に触れ、また逞しく生きてきたからこそ、親との考え方の違いがさらに広がっているのを感じて辛いです。両親がして欲しいこと、私が嫌なこと、お互いにとっての常識、何もかもがすれ違って、一言で傷つけてしまいます。私にとって両親は傷つけたくない相手であるのにも関わらず。

私は生きる上で身につけた自分のその強さが、価値観の違う人や、弱い人に寄り添うことをできなくさせて、一緒に生きていく家族を傷つけてしまっているのではと気づき、自分を押し殺して家族に合わせるしかないのか、もうどうしたらいいのか途方に暮れています。考えの違う他人からは逃げることはできても、家族からは逃げられないからです。

何か明日につながるアドバイスを頂けると幸いです。
(29歳・会社員)

この数年は、お悩みの原稿を飛行機で書いていたのですが今日は久しぶりに新幹線に乗っています。駅でフルーツ大福をたっぷり買ったので、ほくほく。(自分が食べるのはひとつです。どうでもいいか)

さて、お悩みをお送りいただきありがとうございます。自分が大人になるにつれて自身の価値観を言語化できるようになると、違和感が浮き彫りになったりすることはありますよね。

相談者さんの悩みは優しくて、勝手な想像ですが、あと数年したら喧嘩のない時間を過ごされている気すらしてしまいました。それは相談者さんが、親御さんを恨んでいるわけでも縁を切りたいわけでもなく根本で“傷つけたくない”と思っていらっしゃるからです。

唐突ですが、たとえば今相談者さんが趣味で陶芸教室に通い始めたとして、そこで毎週隣に座られる年配の方に出会って、挨拶や会話をするようになった時、相手が親御さんのような方だとしたら、いちいち憤り、疲弊し、喧嘩になると思いますか?文章を読む限りそういう嫌悪感ではないですよね。

相談者さんはご両親の人格に悩んでいらっしゃるのではなく、価値観が合わないことに悩んでいらっしゃいます。でもそれは、“家族なんだから、価値観が同じであってほしい”“そうに違いない”“そうであってほしい”“わかってほしい”という考えに起因していると思います。

その前提条件をとっぱらえると楽になると思います。家族だって価値観が全く違う家庭は沢山あります。それでもそれぞれに正義があって、自分の人生の中で見つけた幸せの定義があって、陶芸教室の他人とは違って、相手の幸せを願う親族だからこそ、自分の見つけた正しい(と思われる)価値観を押し付けてしまい、それが相手に受け入れられない時に腹が立ってしまうのだと思います。

“共感”する必要も、される必要もありません。相手の正義が“理解”できればそれで十分です。

以前別のコラムでも書いたことがありますが「理解する」は英語で understand(under-下に-stand-立つ-)と分解されます。相手に腹が立つということは、お互いに自分の価値観の方が“正しい(=上)”と思ってしまっているところがあるかもしれません。

理解するためには、相手の下に立って、その人の見ている景色を見ようと努力する必要があって、そうすることによって、喧嘩にならない言葉を選べるはずです。

もちろん自分がそう努力しても、相手が上からであれば関係は変わらないかもしれませんが、自分がどうして憤ってしまうのかを理解できれば、それは自分を押し殺しているということではないと思えて、今よりも少し楽になるかもしれません。

優しい相談者さん、応援しています!

 

お悩み募集中!

「編集長がこたえます!」では、みなさまからのお悩みを募集しています。

大きな声では言いづらいけどちょっと誰かに聞いてほしい…

そんなお悩みがある方はぜひ以下のフォームからご投稿ください。

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※すべての質問に回答できるわけではございません。
また、頂いたお悩みはNEXTWEEKEND/村上萌の発信する他のコンテンツで使用させて頂く場合がございますこと予めご了承のほどよろしくお願いします。

「編集長がこたえます」が本になりました

人生の変化を迎える全ての女性に贈りたい!

NEXTWEEKENDの人気連載「編集長がこたえます」が1冊の本になりました。

その名も「深夜の、かけこみ横丁」。

「自分が何者でもないことが不安です」
「浮気した夫とのこれから」
「仕事に求めるものを見失いました」
「生きている意味がわかりません」
「セックスレスで、毎晩涙で枕を濡らしています」

身近な人にこそ言えない、人の悩みは十人十色。
今日もきっと、誰かが悩んでる。

横丁で隣に座ったような気持ちで、誰かのお悩みを聞いて、考えて、語って。
気づけば自分のお悩みもスッキリするような1冊です。


▲共感を集めた31のお悩みを掲載
恋愛、人間関係、仕事、子育て、自分自身…
WEBでは選べなかった、深い内容も初公開。


▲悩みを解決する5ステップの思考法&書き込みノート
自分のモヤモヤを客観視することで今やるべきことが見えるかも…!
今自分が悩んでいることを書きこんで整理できるノートつきです。


▲悩んだ日に食べたい、横丁のレシピ
悩んだ日でもお腹は空く。
食べたら明日からちょっと元気になるようなおつまみとお酒のレシピも、お悩みのシーンごとに掲載しました。

「深夜の、かけこみ横丁」
著者:村上萌
発行元:カエルム株式会社
仕様:176ページ/B6版製本
定価:1760円(本体1600円)
流通:全国書店、ネット書店
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