朝起きて、寝室のある2階からリビングへ降りてきたら、甘酒を飲みながら窓を開けて、お香を焚いて、ゆっくりコーヒーをいれたりして、じわじわと自分の1日のスイッチを入れる。
窓際に座って、フルーツを食べながら庭の草木の成長の様子を確かめつつお気に入りの食器棚を見渡して…、というところまでが私の朝の日課なのに。
この前、食器棚からコーヒーカップを取ろうとしたら、カップの隣に堂々と知らないものが並んでこちらを見ていた。
夫のサプリメントだった。
(サプリが置かれる前の食器棚。事件が起きたのは左上の特にお気に入りの2段。)
何も言わずに、そっと足元の扉の中にしまっておいたけれど、翌日にはまた元の場所に戻るというのを静かに2〜3回繰り返した後、冷戦が嫌いな夫からついに話を切り出された。
どうやら新しい習慣として始めたいことだから、毎朝必ず使うコーヒーカップの隣に置くことで絶対に忘れないような動線作りをしたいとのこと。
食器棚にサプリがあることを全く気にならない人もいると思う。私だって決して綺麗好きでもなければ片付けだっておそらく苦手の分類に入る。
それでも、食器棚だけはいつも大好きなものがこちらから見えるようにしておきたいという自分なりのこだわりがある。
(あぁ可愛い…。)
少しだけ話し合った結果、それでもアスリートの夫の習慣作りは応援せねばという気持ちになり、せめてコーヒーカップみたいな顔をして隣に並べるのはやめてもらい、一歩だけ下がって、たまたま居合わせた的な場所にとどまる、という謎な折衷案で落ち着いた。
これだけ書くと、食器棚に小さな事件が起きただけの話になってしまうけれど、本題は「習慣のための動線作り」の話。
夫はこうやって、いつも徹底的に研究をした上で自分の毎日に新しく取り入れたい習慣を確実に自分のものにしていく。
そういうことを積み重ねて、3歳の頃から夢見ていた職業に就いたんだろうなぁとつくづく感心する。
私といえば1回やれば突然満足してしまったりもする、三日坊主にもなれないただの坊主。
でもそれは、気持ちに任せているからなのかも…ということに、アスリートと10年以上暮らしてやっと気づき始めた。
感情なんて波があって当然で、基本的に気持ちの流れは“楽”な方に落ちていくので、それをわざわざ逆流させるためには、気持ちに依存しない動線や縛りが必要。多分。
(そういえば、縁側も同じかもしれない。休日は庭でサクッと朝ごはんを食べたいのに、毎回靴を履くのは面倒でオオゴトになっていたけれど、縁台をつけたらすべて解決した。)
たとえば、これまでジムの会員になってもほとんど行かず、たまに行ってもできそうなマシンを適当に何度かやったらさっさとお風呂に向かってしまっていたのに、パーソナルトレーニング月4回というコースにしたら、この半年間1回も落とさず通えるようになった。
自分1人だと負荷も回数もたいしてよく考えていなかったのに、トレーナーのおかげで最初より何キロも重いものを持てるようになった。おかげでゴミ捨ての日が楽で…!
これまでの人生、各地で何度もジムを退会してきた身からすると、個人的に今の状態は奇跡に近くて、人間は何歳になっても変われるんだ…と、月にたった4回なのに、大げさにも感動している。そして、変わるためにはやっぱり習慣。
そしてその習慣は、続かない自分の人間性に悩むくらいなら、自分に合った導線や縛りに向き合うのが◎…なんだと思う。
6月にNEXTWEEKENDが掲げている月間テーマは「チューンアップエブリデイ」
みんなで楽しむSNSのハッシュタグは #暮らしの微調整 。
「小まめな改善」だなんて魔法みたいな変化を求めている人にはつまらない言葉かもしれないけれど、結局それに尽きる気がする。
全国的に大荒れの空模様から始まった6月。
天気や他人、自分の力で変えられないものを嘆くよりは、今できるチューンアップ。
それぞれに楽しい今日になりますように。