日本だけでなく、世界各地で古くから伝わってきた植物療法。
連載「植物で叶える。現代版おばあちゃんの知恵袋」では、植物療法士であるWeekender編集部代表コラムニスト齊藤 渚さんが、今の暮らしに取り入れやすいフィトテラピーTIPSをお届けしていきます。
気温も湿度も高い日本の夏。
体に熱がこもってしまったり、冷房との寒暖差で自律神経が乱れてしまったりと、熟睡できない方も多いのではないでしょうか?
また、夏休みなど夏特有のイベントで、大人だけでなく子どもが生活リズムを崩す場合も…。
そんな時は、眠るための環境や習慣を整えることは大前提ですが、植物の力も借りてみませんか。
今回は、安眠に繋がるフィトテラピーTIPSを3つご紹介します!
取り入れやすいものから、ぜひトライしてみてください。
目次:
TIPS.1 お花の温もりに包まれる、就寝前に飲みたい「おやすみハーブティー」
TIPS.2 大人の不眠のお悩みには「おやすみハーブティー」に+αを!
TIPS.3 リラックスしたい時の「アロマのスチームカップ」
1.お花の温もりに包まれる
就寝前に飲みたい「おやすみハーブティー」
優しい香りに癒される、お花のハーブを中心としたハーブティー。
お子さまでも飲みやすいブレンドです。
夏場は冷たい飲み物を欲しがちですが、冷えてしまうと、体温を逃がさないように「交感神経」が優位に働いてしまいます。
おすすめは、お風呂に入る前に淹れておき、入浴後、一段落してから飲むこと。
熱すぎず、ほどよい温度に冷めて飲みやすくなります。
材料
・水:200ml
・ジャーマンカモミール:小さじ1
・オレンジフラワー:小さじ1
・リンデン:小さじ1※すべてハーブティー用(食用)の乾燥したハーブをご用意ください。
※お子さま(6歳以上)には、ハーブの量を半分以下にし、大人よりも薄めましょう。
お水量も飲みやすい量に加減してください。※オレンジフラワーは、抽出時間の長さや量によって、少し苦みが出ることも。
お好みに合わせて調整してください。
作り方
1.ティーポットにジャーマンカモミール、オレンジフラワー、リンデンを入れて、熱湯200mlを注ぐ。
2.フタをして5~10分以上蒸らせば完成。
※抽出時間が長いほど、有効成分が溶け出していきます。
植物の知恵袋メモ
ジャーマンカモミール:
神経系をリラックスさせ、安眠を誘う。胃腸の調子を整えたい時にもおすすめ。
※キク科アレルギーの方は注意してくださいね。オレンジフラワー:
不安やストレスをやわらげ、落ち着かせてくれます。
筋肉の緊張をゆるめる作用も。リンデン:
柔らかで甘みのある香り。
リラックス効果が高く、不安の軽減に役立ち、安眠をもたらすと言われています。
2.大人の不眠のお悩みには
「おやすみハーブティー」に+αを!
「寝られないのは夏だけでない」、「慢性的な寝つきの悪さ」、「熟睡できない」といったお悩みには、「バレリアン」や「パッションフラワー」を使ってみるのがおすすめ。
ドライハーブを使う場合は、TIPS1のハーブと組み合わせてハーブティーに。
シロップのような状態になっている“タンチュメール”を使う場合は、比較的飲みやすいので、TIPS1のハーブティーに数的混ぜてアレンジしてみるのも◎
私のおすすめは、エルボリステリアのタンチュメールです。
こちらは小さじ一杯を水に混ぜて飲むだけでも良いですよ。
植物の知恵袋メモ
バレリアン:
中枢神経に作用し、鎮静効果の高いハーブ。
気持ちが高ぶっていたり、考えごとをしてしまっていたりと、寝つきが悪い時におすすめ。パッションフラワー:
古くから“天然の精神安定剤”と呼ばれ、精神的ストレスによる不眠の緩和にも活用されてきた植物。
寝つきは良いけれど夜中に起きてしまう、眠りが浅い場合におすすめ。※2つをミックスすると、相乗効果が高く、眠りの質をより高めてくれます。
※睡眠薬やアルコールとの併用は控えてくださいね。
※小学校高学年(11歳頃~)以上のお子さまもお飲みいただけますが、ハーブティー同様、大人の半量以下から飲むようにしてください。タンチュメール:
チンキ剤とも呼ぶ。
通常、ハーブをアルコールに漬け込み、有効成分を抽出した液体。
3.リラックスしたい時の「アロマのスチームカップ」
イライラ、気分の落ち込みなど、心の状態は睡眠に影響します。
天然の植物の香りは、瞬時に脳に働きかけ、気持ちを切り替え、自律神経などを整えてくれますよ。
リラックスしようと思うほど、意識してしまって力がうまく抜けない、そんな方にも香りは役立ちます。
おすすめの香りは、王道のラベンダー(※真正ラベンダー)のほか、柚子、ベルガモット、マンダリン。
専用のアロマディフューザーがなくても、マグカップにお湯を入れて、1〜3滴ほど精油を落とすと蒸気ともに香りが広がります。
むせないように鼻にゆっくりと近づけて、深呼吸をすると、心も身体もゆるんでいきます。
ベッドサイドに置いておくのも、ほのかに香りが漂って心地よいですよ。
(こぼさないよう、またお子さまのお手に触れないよう注意してくださいね。)
実は、ラベンダーの精油には様々な種類があります。
リラックスしたい時には、以下のいずれかの学名が表記されている精油を選びましょう!
✔️Lavandula offinalis
✔️Lavandula angustifolia
陽の気が高い夏は、身体が疲れていても気分は上がっていて、無理をしてしまうことも。
健やかに、楽しい夏を過ごすために。
柔らかな自然のパワーに癒されながら、睡眠リズムを立て直してみましょう。
来月は、月経にまつわるお悩みを植物の力で整えるコラムをお届けします。
<参考文献>
「ハーブではじめる植物療法の手引き」梅屋香織(グラフィック社)
「自然ぐすり生活」南上夕佳(ワニブックス)
Editor:Saki Goda