器コーディネーター伊藤唯さんによるコラム「知っておきたい器のあれこれ」。
今月は受け継いだ和食器をテーマにお届けします。
自分で料理をするようになって時間が経ち、母や祖母が使う和食器を改めて見てみると、素敵だなと思うものがいくつもあります。
好きな色や服、食べ物と同じように、器の好みも家族から受け継いだセンスがあるのかもしれません。
(左上は荻窪にあるいづみ工芸店のもの、一番下は会津本郷焼、他は不明)
和食器=和食というイメージが強いですが、改めて、まっさらな気持ちで和食器を見てみると、海外の古い器ともデザインが少し似ていて、意外と洋の食事にも似合うんです。
憧れの料理家さんのレシピ本やSNSも、よくよく見ると洋やアジアの料理にさりげなく和食器が使われていたりします。
そう考えてみると、和食器×洋の料理の組み合わせを上手に取り入れることでもっと器上手になれそうです。
今回は洋の料理と定番の和食器の合わせ方と、簡単にコーディネートをつくるコツをご紹介します。
和食器の出番を増やすヒントになりますように。
青い絵皿はシンプルな料理と高相性
和食器でよく見かける白地に青の絵皿。
模様は違うものの、外国の器でもよく見かけるスタイルです。
くすんだ青の模様はシックでありつつ華やかで、シンプルな料理が美しく映えます。
今回盛り付けたのはキノコのオイル煮。
和の絵柄に躊躇しそうになりますが、思い切ってのせてみると、むしろ高相性。
落ち着いた青の色味でキノコがなんだか鮮やかに、そして少し大人なひと皿にまとまりました。
日常の和食器らしい、つるつるな質感が気になるときはグリーンリーフをたっぷり添えるのがおすすめです。
葉のラフな質感が加わり、他の器とも馴染みやすくなってくれますよ。
煮物用のぽってり鉢には、素朴な料理をたっぷりのせる
肉じゃがのような煮物に活躍していた、ぽってりと重量感のある鉢。
そんな素朴な佇まいの器には、ヨーロッパの田舎町で普段のご飯に出てきそうな、素朴なメニューがぴったり。
じゃがいもやクスクスのサラダ、ラタトゥイユなどもよさそうです。
じゃがいもがごろっとしたサラダを盛り付けてみたら、サラダの素朴さが、より引き立ってくれました。
器からにじむ年月による風合いが料理にニュアンスを加えてくれていて、これは受け継いだ器の嬉しいところだなあと思います。
和食器をアクセントに、なんちゃってアンティークなランチテーブル
(ベージュのプレート:田谷直子、ピッチャー:ガラス工房 橙、木のプレート:萩原英二、白いプレート:ブロカント、絵皿と鉢:不明)
青い絵皿と鉢をアクセントにして、洋のテーブルにしてみました。
重たく感じられる鉢も主張が強いかもと思う絵皿も、他の器と一緒に並ぶとなんだかアンティークのよう。
自分で選ぶ器にはないデザインや質感が、テーブルに奥行きを加えてくれます。
(カトラリー:カイボイスン)
和食器たちが浮かないように、合わせる器は白すぎないものを選びました。
サーバーなどのカトラリー類はシルバー系を選ぶと、和の印象をさらにトーンダウンできますよ。
複雑なことを考えると難しいけれど、2つの和食器をアクセントにして白い器を合わせるだけでできるので、気軽に、でも思い切って試してみてもらえたら嬉しいです。
かしこまりすぎていないので、ちょっとしたおもてなしのランチなどにもおすすめですよ。
テーブルを囲んで、素敵な5月をお過ごしくださいね。
Editor:Saki Goda
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