予告ではおすすめのお買い物情報をご紹介する予定でしたが、しばらくお出かけを伴うコラムはお休みして、おうちごはんが楽しくなる小ネタをお届けしていきたいと思います。
自宅で料理を作って食べる回数が増えた方が多いのではないでしょうか。
手の込んだことをしなくても、いつもとちょっと違う器に盛り付けてみたり、定番料理に使えるアイデアを増やしてみるだけで、もっと日々が楽しく過ごせるかもしれません。
そこでこのコラムでは、しばらく番外編として、食周りのプロたちから日々の食卓で使えるアイデアをおすそ分けしてもらう連載をお届けしたいと思います。
今回お話を伺ったのは、チーズ屋 「fromage&food mikoto」を運営している今井真希さん。
彼女は食とチーズの素敵な組合せを見つける天才なんです。
例えば、レーズンバターサンド好きが高じて、mikotoでもクリームチーズを使ったサンドを提供されているのですが、これがまた素敵。
しっかりラムを効かせたレーズンとこだわりのクリームチーズでつくられたサンドは、普通のレーズンバターサンドとはまた一味違う美味しさを味わせてくれます。
なぜそんなに自由な発想でチーズを使いこなせるのかと伺ったところ、とってもワクワクする答えが。
チーズには塩味、うま味があるので、それをシンプルに取り入れています。」
これを聞いた時、目から鱗が。
塩味やうま味を足すのは塩や出汁を使うというイメージで、“チーズで味わいを加える” なんて発想はありませんでした。
こんな発想豊かな方の食卓はどうなっているのか、ますます気になってきます…!
さっそく、今井さんのいつもの定番料理や、こだわりのポイントについて教えていただきました。
「我が家の鉄板レシピ」は?
今井さん:
「わが家で子どもたちにも大人気なのは、手羽元のレモン煮です。
“骨付きの肉~!”といつもリクエストされます。
母から教わったお気に入りレシピのひとつなので、(舌も)受け継がれているんだなと思います。」
手羽元のレモン煮 簡単レシピ
1. 手羽元を塩麹に半日漬けておく。
2.油はひかず、皮面がパリパリになるまで焼く。
(片面ずつ焼き、なるべく動かさないのがポイント)
3.ひっくり返し、もう片面を焼く。
ここで8割くらい火を通す。
4. 手羽元を皿に引き上げる。
5. 同じフライパンに、カットした旬の野菜を入れ、塩少々と軽く炒める。
手羽元の脂で不足するときは、少しオリーブオイルを加える。
(野菜は今の季節なら、キャベツなどがおすすめ)
6. フライパンに手羽元を戻し、輪切りのレモンを上にのせて中火にかける。
(お好みでローズマリーやハーブ塩、カレー粉などを加えても◎)
7.全体の味が整ったら完成。
これ、さっそく試したところ、想像以上の美味しさでした。
簡単レシピなのに、きちんと感のある料理になるんです。
ぜひ作ってみてください。
そんな今井さんの毎日の献立作りのコツは、“シンプル”だそう。
今井さん:
「副菜は野菜たっぷりを意識しています。
近くに農家さんの直売所があるので、旬の新鮮なお野菜を、生や焼き、お浸しなど、できるだけシンプルな料理でいただいています。
子どもたちには素材そのものの味を体験してもらいたいので、まずは美味しい塩だけで味付けしています。」
お気に入りのスパイスや調味料は?
今井さん:
「美味しいオリーブオイル、モンゴル秘境の甘い岩塩、巽(たつみ)の醤油が定番。
最近のお気に入りはimoyumのラー油です。
オリーブオイルはとにかく好きで、何にでもかけてしまうのですが、定番以外で言うと、トマトのお味噌汁にもひと回ししたりします。
IL LECCETOのエクストラバージンオリーブオイルを定番で使いながら、いろんなブランドを試しています。
最近使っているのは、OLIO EXTRA VERGINE DI OLIVA NOVELLO EVO1118。
岩塩と醤油は、これさえあれば料理上手になれる魔法の調味料。
岩塩でにぎるおにぎりは一味違います。
imoyumのラー油は、香り高いので辛いものが苦手な方でもおすすめ。
ご飯にかけると箸が止まらなくなるんです…!」
そんな今井さん、最近は自家製の調味料作りも楽しんでいるそう。
今井さん:
「今さらではありますが、自家製の塩麹、醤油麹にハマっています。
買ってきた肉や魚を漬けて焼いたり、生野菜を浅漬けにしたり、レモンも塩麹漬けにします。
レモンは3日目以降に使い始めます。
夏はこのレモンをアレンジしてそうめんのつけだれに。
薄めに味付けしためんつゆに、レモンを刻んで加えると、すごく美味しいですよ。」
冷蔵庫に眠らせてしまいがちな塩麹も、アレンジを効かせながら使い尽くしていて、さすが…!
あたたかい日も増えてきたので、そうめんのつけダレ、さっそくチャレンジしたいところです。
お気に入りの器や道具は?
今井さん:
「器やカトラリーは義祖母から引き継いだものが多いです。
とてもお洒落なおばあちゃまで、お料理がすごく上手でセンスも素敵な方なんです。
あとは“THE PLATE”シリーズ(手羽元を盛り付けたプレート)も、毎日のように使っていて、子ども用のプレートにも使っています。
古いものも新しいものも、自由に組み合わせて使っています。」
今井さんは器使いも発想が自由。
鉄板の組み合わせで使うだけでなく、“あえてコレ”なコーディネートを試してみるだけでも、テーブルにちょっとしたワクワクが生まれそうですね。
食卓に取り入れやすいチーズの使い方
せっかくチーズのプロにお話を聞く機会なので、いつもの食卓に取り入れやすいチーズの使い方も、教えていただきました。
サラダ野菜+フルーツ+チーズのサラダ
今井さん:
「水菜などのサラダ野菜と旬のフルーツに、モッツァレラやコンテチーズなどをのせたサラダは、わが家でもよく作っています。
味付けはオリーブオイルと塩、大人向けならブラックペッパーも。
フルーツは今の時期ならいちご、冬になったら金柑もおすすめです。」
チーズおにぎり
「チーズを具材にしたチーズおにぎりもおいしいですよ。
お店で提供することもあります。
とろけるチーズでも十分おいしいので、余ったチーズがあればぜひ。」
野菜たっぷりオムレツとブルーチーズ
「冷蔵庫にある野菜を刻み、ブルーチーズと一緒に卵で包んでオムレツに。
熟成が進みすぎて、味と香りが強くなってしまったブルーチーズも、卵でマイルドになるので、冷蔵庫で食べきれずに眠らせているものがある方はぜひ。」
バニラアイスと溶かしたブルーチーズ
「レンジで少し溶かしたブルーチーズをバニラアイスにかけるだけ。
甘塩っぱくてクセになります。
ちょっと大人な味わいになるので、ワインのお供にもぴったりです。」
ブルーチーズを料理に使うときは、個性のあるものを選んだ方が、他の食材に負けず、しっかりブルーチーズの味わいが出るのだそう。
身近なお店でも手に入りやすいものなら、ゴルゴンゾーラ、ロックフォールなどがおすすめとのこと。
どのメニューも難しくはないけれども、ちょっと新鮮な組み合わせで、気分を変えたおうちご飯が楽しめそうです。
「今だからこそ」の
お店の運営のしかた
最後に、最近のお店の運営についても伺ってみました。
今井さん:
「地元の方向けに店舗の営業は縮小して続けながら、お休みをしていたネットショップを再開しています。
なるべく顔の見えるお客様に直接チーズを販売したいと思い、しばらくお休みをしていたのですが、こんな状況でもというか、こんな状況だからこそ、チーズを必要としている方がいることが分かって、再開しました。」
学生時代に部活を引退し、ふと眺めていたテレビ番組で、ヨーロッパの山中でおばあちゃんが銅鍋、薪でチーズを作るシーンをたまたま見たことが、チーズにハマっていったきっかけだという今井さん。
“これが好き”というこだわりがずっと一貫していて、お店も淡いブルーの壁やビンテージの棚、チェック柄の床など、今井さんの世界観が伝わってくる素敵な内装です。
今はなかなか伺うことはできませんが、いろんなチーズが少しずつ楽しめる“Party Box”や、毎日の食卓で少しずついただける“お家でチーズ”セットをWEBで購入できるのだそう。
(Party Box:カットされたチーズに、ケークサレやドライフルーツでチーズを挟んだものなど、楽しいチーズがギュッと詰まっています。)
週末のご褒美時間に、ちょっと素敵なチーズを楽しみたい方、ぜひチェックしてみてください。
WEB SHOPはこちらから
プロフィール
fromage&food mikoto店主 今井 真希
高校時代からチーズの世界に魅了され、酪農とチーズが学べる北海道の畜産大学へ進学。
卒業後、チーズの輸入販売を専門とする株式会社フェルミエ、食のセレクトショップ 365日を経て独立。
現在は店舗営業を中心とし、チーズサービス業や飲食店へのチーズメニューの提案も行なっている。
手元に届いたチーズを、本当に美味しいところまで熟成させ、個性を引き出したチーズを販売している。
HP / Instagram