大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。
この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。
今日ご紹介するのは、仕事もプライベートもパッとしない自分にうんざりしている相談者さんからのお悩みです。
こんにちは!
萌さんに憧れ続けて早数年の者です。
今年で32歳にもなるのに、仕事もプライベートもパッとしません。
とにかくなんでもチャレンジし続けた20代。
ヨガ、ボルダリング、料理教室、気になる方の講演を聞きに東京まで遠征したり、旅行に行ったり、ほぼ日手帳をつけたり、小さなことから大きなことまでやりたいと思ったことは飛び込んできたつもりです。
でもこれだって言う、命を燃やしているようなものは見つけられず、ただ淡々と仕事をこなし、家事をこなしています。
それがどんなに幸せなことであるか分かっているのですが、人生経験不足のため周りと比べて自分ってなんてつまらないんだろうとマイナス思考に陥ることがあります。
なにかを見つけたかと思うと他のものが気になって、結局どれも中途半端。
飽きやすい自分にうんざりです。
萌さんや皆さんのように一直線になれるものを見つけてキラキラしたい。
こんな時萌さんならどうしていきますか?
(31歳・女性・会社員)
こんにちは。
先週末札幌から大阪に引っ越して、ようやく段ボールがなくなってきました…!
久々の新天地。これから、新しい家と暮らしをどうカスタマイズしていこうかな。
ひとまず、たこ焼きを作るのは上手になりたいなと企んでます。
そして、同い年の相談者さん!投稿ありがとうございます。
同い年って、一つ上とも下とも違う、なんとも嬉しい仲間感覚がありますよね。
見てたアニメはセーラームーン、カラオケはSPEED、制服の靴下は紺ソみたいな…。
違ったらすみません。
さて、お悩みを拝見して最初に思ったことは、私、そんなに一直線に見えますか…?ということでした。
自分自身「これだ!」なんて思いながら、命を燃やして暮らしているかというと、日々結構葛藤しているし、「なんでこんな面倒なことを始めたんだろうなぁ」と思うこともあれば、「もう全部嫌だ!」と思うことも、しょっちゅうです。
ただ、そんなことをSNSで書いてもしょうがないし、わざわざ人に報告したい部分だけを切り取っているのでそう見えるのかもしれないですね。
きっとこれは、私に限らず多くの人が同じだと思います。
なので一直線に見える人たちも裏側には人間臭い葛藤があって、線が入り乱れることだってあるはずですよ、ということは前提として、今回のお悩みに関しては、私自身あれもこれもやってどれもピンと来ず、次を探してはまた変えてと常に焦っていた時期があったので、相談者さんの気持ちはよくわかります。
そして、その頃と変わったことといえば、「正解はない」ということに気づいたことかなぁと思います。
以前は、今の自分はまだ正解を見つけられていなくて、だから探し続けなくちゃいけないと思って本当に色々なことをしていました。
私の場合はそれがちょっと早くて、学生時代からよく周りに「生き急いでるよね」と言われ続けていました。
何をしても「これだ!」と思うことがなく、相談者さんの言葉を借りると、全てにおいて中途半端な自分にうんざりもしていたし、そういう人生だと諦めてしまうことにも焦っていました。
少しずつ楽になったのは、今を正解にしようと思えたからかもしれません。
今目の前にいる人、毎日通っている場所、習慣、家、もろもろ。
その瞬間に正解だと思うことなんてなく、日々色々なことがある中で、複合的に組み合わせて自分で正解にし続けていかないと、昨日の正解は今日の正解じゃないんだと思います。
相談者さんは、今自分が選んでいるものに対して「実感」を追求したことありますか?
「選んでよかったな」とか「次はこういう工夫をしてみよう」とか、選んだものをちゃんと味わってみるということ。
映画の中のような衝撃的な出会いや、人からの評価だけで「これはやっぱり違ったな」と判断してしまっては、いつまで経っても正解を探し続けることになるような気がします。
味わうためには、自分自身がそれに向き合う前にテーマを持つことが大切だと思います。
たとえば私の場合、先週から大阪での生活が始まりましたが、これに自分なりにテーマを持たなければ、あっという間に何年も経って、「夫の都合で引っ越すことになった」「東京と大阪で往復しながら仕事と子育てをして大変!」と思わざるを得ないかもしれません。
だけど、せっかく引っ越すからにはこんな風に暮らそう、とテーマを決めて、あれこれ理想を思い描いた上で生きていくと、日々の取捨選択も行動も変わっていくと思います。
今後、仮に楽しそうに暮らした場合、「大阪に引っ越して本当によかったね、ラッキーだね」と言われることだってあるかもしれませんが、それは自分自身が大阪を味わえているから、そう見えるんだと思います。
これは5年住んだ北海道でも、その前の神戸でも実感してきました。
北海道とか大阪とか、それ自体に正解がある訳ではなく、自分で正解を作っていくというスタンス。
味わうためには、自分がそれに向き合うことでどうなりたいのか、というのをしっかり思い描くこと。
これが実感するということだと思います。
この癖がつくと、誰かに対して羨ましいという気持ちもなくなって、輝いている人を見て落ち込むよりは、むしろその過程や心境が参考になったりもするので、かなり好循環になると思います。
それから、一つ一つのものを単体で正解にしようとするのではなく、先述した通り、複合的に考えて行った方が良いと思います。
人生100年時代と言われる今、私たちの年齢はまだ3分の1程度も生きていません。
ボルダリングも料理教室も、誰かの講演を聴くにしても、一つのことでビビッと来るものを求めるのではなく、それぞれを組み合わせながら、自分の人生においてお互いの味が混ざり合うことを楽しんで味わうのが良いと思います。
世界は広いし、人間も沢山いる、毎日これだけ色々なことが起きるにもかかわらず、あらゆることをちゃんと自分の中で帰結させていると、不思議なことにバラバラなものが繋がって、お互いに作用し合う気がします。
繰り返しになりますが、運が良いとか、周りに恵まれているように見える人は、自分が向き合っていることを味わって、自分なりに実感できているから繋げることができるんだと思います。
なんだかふわっとした世界の話みたいになってしまいましたが、相談者さんには、「命を燃やせるものを見つけ続けてください!きっとあるから!」なんてことは言いたくなく、そんなものはきっとそこらへんに落ちているものではないから、まずは今目の前にあるものへの向き合い方、味わい方を変えてみることをおすすめします。
お互いまだまだ3分の1の人生。
せっかくなら、楽しみましょう!
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