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季節に合わせたおすすめの映画をご紹介してきたコラム「ひとり映画という金曜の過ごし方」。

連載最終回の今月は、月間テーマの「#かぞくごと」にちなんで、ひとりではなく、大切な誰かと一緒に観たい映画を選んでみました。

家族や友人、恋人など、一緒に映画を観たい人の顔を思い浮かべながら読んでいただけたら嬉しいです。

 

『はじまりのうた BEGIN AGAIN』

元気を出してほしい大切な人と

全米5館での公開からクチコミで人気が広がり、1,300館以上にまで拡大したという作品です。

ミュージシャンの彼デイヴ(アダム・レヴィーン)と恋人のグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、二人で作った曲が映画主題歌に抜擢され、メジャーデビューが決まりニューヨークにやってきたものの、スターとして忙しくなるデイヴとすれ違いの日々が続き、彼の浮気が発覚。
彼のアパートを飛び出し、失意の中、友人が出演する小さなバーのライブハウスで1曲歌うことになったグレタ。
歌は観客に全く受けなかったのに、偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)と出会い、歌手デビューの話へと発展。
デモテープを作るための録音スタジオを借りる資金のない二人は、ニューヨークの街角でゲリラーレコーディングを始めて……というストーリーです。

スターミュージシャンであるデイヴの彼女、という立場を捨て、ちゃんと自分の足で立って自分で曲を作って歌い、ひたむきに作品を作り上げていくグレタと、彼女を支え、アイディアとかつての人望を武器に彼女の才能を引き出していくダンの姿を見ているうちに、心の中の風通しがよくなって元気で前向きな気持ちになれる作品です。
男女の恋愛だけじゃなく、親子の愛情や友情など……。たくさんの愛が詰まっています。

録音スタジオを借りる資金がないことを逆手に取って、ニューヨークの路地裏やビルの屋上、地下鉄のホームなどの街の音を生かした作品を作ろうというアイディアが爽快で、こういう考え方いいなぁと思いました。

デイヴ役はマルーン5のアダム・レヴィーンが演じているだけあって、劇中の音楽もとてもよくて(キーラ・ナイトレイの歌う姿もとってもキュート!)、しばらく通勤中毎日サントラを聴いて過ごしていたほどです。
今少し元気がない人、新たなスタートを切りたい人、温かい気持ちになりたい人にぜひおすすめの作品です。

『はじまりのうた BEGIN AGAIN』
監督:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レヴィーン
デジタル配信中
DVD¥3,800+税、Blu-ray¥4,700+税
発売・販売元:ポニーキャニオン
(C)2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

『君の名前で僕を呼んで』

美意識の近い友達と

舞台は1983年夏、北イタリアの避暑地。
主人公の17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、アメリカからやってきた24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会います。
オリヴァーは大学教授であるエリオの父親の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らすことに。
反発しながらも次第にお互いが惹かれ合い、やがて激しく恋に落ちる二人には、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいて……というストーリーです。

瑞々しくて儚い10代の揺れる心の内側を美しい映像で綴った、ずっとこの世界に浸っていたいと思わせてくれる、宝石のような作品です。
どのシーンを切り取っても美しくて、男性同士の恋愛だから何みたいなこともなく、美しい人間が互いに惹かれあっている、ただそれだけで十分なんだという気持ちになりました。

あのテーブルクロス素敵だよねとか、あのバスルームのタイルの感じ最高だね、みたいに、美意識の近い友達と感想を言い合いながら観れたら幸せな作品だと思います。
物語の最後の方でエリオの父親がエリオに対して、恋の痛みを忘れようとするのではなくて、その胸の痛みをしっかりと感じることが大事だよ、といったようなことを話すシーンがあるのですが、私は個人的にここが一番好きです。

『君の名前で僕を呼んで』
監督: ルカ・グァダニーノ
出演: ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー
DVD&Blu-ray発売中
Blu-ray コレクターズ・エディション 【初回生産限定】¥6,800+抜
Blu-ray ¥4,800+税/ DVD ¥3,900+税
発売元 :カルチュア・パブリッシャーズ
販売元 :ハピネット
(C)Frenesy , La Cinefacture

 

『ニューイヤーズ・イブ』

ずっと大切にしたい家族や恋人と

間近に死が迫った病人と彼を見守る看護師、出産が迫っている夫婦、タイムズスクエアの年越しイベントを取り仕切る女性、アパートのエレベーターに偶然閉じ込められてしまった男女……。
大晦日のニューヨークを舞台に、さまざまな事情を抱える8組の人々の心あたたまるドラマを描いた作品です。

大晦日と元旦はいつもの今日と明日と変わらないはずなのに、年を越すときは不思議とドキドキ感があって、今からなら何でもできそうな気がしてしまいますよね。
この作品を観ていると、ドラマはテレビや映画の中だけじゃなくて、どんな人にも日々起きていることだな、と改めて感じました。

そしてそんな普通の人々の小さなドラマを超豪華キャストが演じているところもこの作品の魅力のひとつ。
ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリー、サラ・ジェシカ・パーカー、アシュトン・カッチャーからジョン・ボン・ジョヴィまで、大晦日という特別な日に相応しい出演者たちが、大晦日という特別な日をより一層盛り上げてくれます。
(タイムズスクエアで行われた年越しカウントダウンイベント中に撮影を敢行したというエピソードも……!)

最後に、劇中に出てきた印象的なセリフで、この連載コラムを終わりにしたいと思います。

“失敗しないとしたら今日何をしたい?”
“今それをやりなさい”

『ニューイヤーズ・イブ』
監督: ゲイリー・マーシャル
出演:アシュトン・カッチャー、ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク
Blue-ray¥2,381+税/DVD¥1,429+税
発売、販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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