4月14日に開催した「神宮外苑Weekend Marche」。
全国からたくさんの読者の皆様にお越しいただき、野心も広がる素敵な一日となりました。
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この記事では、イベントの最後に行われた、
フードスタイリストの植木俊裕さんとNEXTWEEKEND編集長 村上萌によるトークショー「春夏の週末をもっと楽しむ、周りを巻き込むピクニック術」の内容をお届けします。
「旦那さんや彼とピクニックがしたいけど、男性の巻き込み方が難しい」
「みんなに喜んでもらえるピクニックのコツが知りたい」
そんなふうに思っている方に、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
盛り付けの美しさがインスタグラム(@utosh)で人気を博すフードスタイリスト。
著書に『とりあえず野菜食BOOK』『盛りつけエブリデイ』、また器や海外のインテリア雑貨を取り扱うライフスタイルストア「TREE&TRUNK」を運営。
村上:植木さん、今日はどうぞよろしくお願いします。
植木:お願いします!
普段トークショーに男性ゲストを迎えることは多くないんじゃないでしょうか?
村上:そうですね。
でも今日のテーマは「周りを巻き込むピクニック術」なので、ぜひ男性目線での巻き込み術を教えていただけたら嬉しいです!
植木:男性をピクニックに誘いづらいなんて悩みのある女性も多いかもしれないですもんね。
今回どうして雑誌のテーマをピクニックにしたんですか?
村上:「昼ごはんベンチで食べない?」と誘うよりも「ピクニックしよっか?」に変えるだけで楽しい気分になりませんか?
そんなふうに、ピクニックって魔法の言葉だと思ってるんです。
NEXTWEEKEND自体が「やらなくても生きていけるけど、やるとちょっと楽しくなる」ことを日々提案しているので、ピクニックはその最たる例だなと思って、今回特集にしてみました。
植木:確かに。ピクニックをしなくて死ぬって人はいないけど(笑)、確実に楽しくなりますもんね。
自分は仕事柄やはりフードページが気になりましたね。
例えばサンドイッチ特集の長いサンドイッチ、ビジュアル的に可愛いだけでなく、ちゃんと区切れててみんなが取りやすい提案になっていることに感激しました。
▲雑誌NEXTWEEKEND 2018春夏号 P36-37
植木:“インスタ映え”という言葉が出てきてから、写真映えはする反面、これどうやって食べるんだ?というメニューが多くなっているので、実用性はかなり気になります。
村上:本当に実践してもらえるメニューじゃないと意味がないですからね。
そこは意識して作っているので、そう言っていただけて嬉しいです。
ピクニックのおすすめのフードメニューは?
村上:ピクニックにおすすめのフードメニュー、ぜひ聞いてみたいです。
植木:サンドイッチでいえば「バインミー」(ベトナムのサンドイッチ)ですかね。
日本人はバケットを縦に切るけど、横に切ってそこに具材を詰めるとバインミーらしくなるんですよ。
詰めるものはなますとかが一般的ですけど、何でも合いますね。
▲スモークサーモンと生ハムのバインミー
村上:ハワイで昔食べたバインミーは角煮が入っててすごく美味しかったのを覚えています。
本当に中身は何でもいいんですね。
植木:ベトナムは宗教的ないろいろなものが混在しているので、みんなそれぞれ自分が食べれるもので自由に作っているみたいですね。
村上:サンドイッチをピクニックに持って行くときは、切って包んでいきますか?
植木:崩れやすいので、ブレットナイフとカッティングボードを持って行って現地で切りますね。
村上:家で全部仕上げず、現場にアイテムを持ち寄ってその場で完成させるのも巻き込み術の一つですよね。
みんなの注目が集まる瞬間が生まれそう!
植木:そうですね。
あとは見た目が華やかな生春巻きなんかもおすすめですね。
村上:何が入っているか見えてワクワクしますね!
植木:通常通り巻いた後、最後の一巻きに見せたい具材を並べて入れることで、綺麗に薄皮から具材が見えるんですよ。
キッチンペーパーを湿らせて上にかけておくと、持ち歩き時の乾燥も防げます。
村上:なるほど、勉強になる…!
その他にピクニックにぴったりな食材とかありますか?
植木:珍しいおしゃれな野菜を使わなくても、いつもの野菜の切り方を工夫するだけでもぐっと変わります。
村上:植木さんの著書「盛り付けエブリデイ」に、野菜の楽しい切り方を紹介するページがありましたよね。
例えば私オクラは星型にしか切ったことがなかったけど、縦に切るとタネがズラッと並ぶんだーとか、新しい発見でした。
植木:そうそう。例えばキャロットラペって普段千切りで作ると思うんですけど、それをピーラーでカットするだけで海外っぽい雰囲気が出たりするんです。
ピクニックは普段との違うメニューを意識して作るから、少し違う切り方を試すチャンスですよ!
村上:切り方1つでいつもの野菜もすごく豊かに見えるし、食材の切り方だけで一気に食欲が湧くってすごい!
村上:今日皆さんにウェルカムドリンクとしてお出しした“オペレーターレモネード”は、植木さん考案のピクニックにぴったりなカクテルなんです。
白ワインとジンジャエールにレモンシロップ、でしたっけ。
植木:そうです!
クリアな液体で混ぜて、色が濁らない爽やかなイメージにしたのがポイントです。
ただのオペレーター(白ワイン&ジンジャーエール)だとアルコール感が強いので、レモンシロップを入れて軽やかに。
村上:白ワインもジンジャーエールも道すがら手に入るし簡単でいいですね。
植木:酔ってきたら白ワインだけでもそのまま飲めますもんね(笑)
村上:花見にお酒はつきものなのに、ピクニックにお酒ってあんまり結びつかないですよね。
だからこそ今回は大人のピクニックも提案したくて、「ほろ酔いピクニック」というレシピページも入れました。
全部コンビニで買える食材で作る、すぐできるおつまみシリーズとか。
▲雑誌NEXTWEEKEND 2018春夏号 P45-49
植木:この特集すごくいいなと思ってました!
「茎わかめ」とか「ごはんですよ」とかシュールなものを使っていて(笑)
おしゃれな料理をおしゃれな食材で作るのって言ってみれば当たり前だから、こういう馴染みのある食材でおしゃれに見せられる発見はいいな。
周りを巻き込むピクニック術
村上:男性にも「ピクニックって楽しいかも」と思ってもらえるには、どういう料理があったらいいのかな?
料理って役割分担ふっていいものですかね?
植木:はい!
料理を男性にも作らせると“参加”が生まれるから、料理中待たせたりするだけよりも絶対にいいと思います。
村上:わかります!
私見ですが、男性は“他人事(ひとごと)”と“自分事”の差があるなと思っていて。
どれだけこっちがピクニックの用意して、さあ行くよと誘っても人ごとのままだけど、準備から巻き込んで自分ごとにしてくれたら、最高に一緒に楽しもうとしてくれる気がします。
植木:そうですね。
それに男性ってこだわりが強い方が多いから、一度役割を与えると、とことんこだわりを出してきたりする気もする。
村上:確かに。うちの夫はオーブンの余熱にとにかくこだわり持ってますね(笑)
そういう風にピクニックを楽しんでもらいたいですよね。
男性に担当をふるのに何かいい料理ありますかね?
植木:男性ってちょっと科学的で実験っぽい料理が好きな方が多いです。
だからスモーク料理とか、これとこれが組み合わさってこうなったぞという達成感が味わえる料理とか、いいと思います。
村上:確かに。
あとはダイナミックでみんなに喜んでもらえるメニューもいいかも。
私もなるべく私生活では、そういう料理を夫に担当してもらっています。
チャーシューが最近の彼の得意料理なんですが、人に喜ばれるのが嬉しくて、常に冷蔵庫に1キロぐらい眠っています(笑)
植木:6〜8名くらいの人数で、みんなに出したら反応をもらえる料理だったらやる気が出そうですね。
村上:あとは男性だけではなく一緒に行くメンバーを巻き込むには、ピクニックにひとつテーマを作って、装飾担当とか料理担当とか役割担当を振るだけで、結構意欲的に参加してくれたりしますよね。
植木:確かに。テーマといえば、今日もテーマカラーのレモンイエローでお越しの方がたくさんいますね。
村上:「テーマは春!」とかだと広すぎて突拍子も無いけど、テーマカラーがあると統一感が出るし楽しいんですよね。
でもとにかく“全部自分で作りすぎないこと”が大事かな。
あんまりハードルを上げすぎず、“天気がいいから”とか“そろそろあの花が咲くから”とか自然を理由にするくらいでね。
植木:そうですね、あんまりハードルが高いと男性は特に冷めちゃうかも。
頑張りすぎず、適度な感じがいいですね。
村上:男性が好きそうなお肉ピクニックとかいいかも!
これから挑戦してみたいピクニックは?
村上:最後に、植木さんのピクニックのWISHLISTも聞いてみたいと思います。
植木:まずは「エスニックなピクニックがしたい」ですね。
調味料をタイやベトナムっぽくしたりパクチーを使うとそれだけで雰囲気が出るので、いつものレシピにプラスする感覚で楽しみたいですね。
村上:シンハービールとかご当地ドリンクもセレクトすると雰囲気が出そう!
持って行くマットとかもエスニックにしたい…!
植木:2つめは、「イングリッシュガーデンで伝統的な二人のピクニックがしたい」。
イギリスの文化にはちゃんとひとつひとつに理由があって奥が深いので、とても好きで。
村上:ピクニックもイギリス文化のひとつなんですよね。
植木:そうそう。イギリスには自然を育てる文化があるから、生活の延長線上にピクニックが存在している感じがします。
そして、3つめは「持ち寄りビュッフェがしたい」にしました。
村上:持ち寄り、まさに巻き込み術のひとつですよね。
昔神戸に住んでたときに、陶芸家の方のホームパーティに参加したことがあったのですが、陶芸家の方はお皿をたくさん用意して、旅館の方は魚をさばいて、イタリアンの方は陶芸家の方が普段お皿を焼いている釜でピザを焼いたり…
それぞれの技術をその場で発揮してステージを作る感覚が楽しかったのを覚えています。
植木:できないことを無理してやろうとするのではなく、持ち前の技術だったら楽しく巻き込めそうですよね。
あえてやってほしいことができる人を誘うとか。
村上:誘い上手になれそう!
植木:では次は、萌さんのWISHLIST。
村上:私はまず「畑で自分が作った野菜を食べながらピクニックがしたい」。
札幌の家の近所に農家をやってる友達がいて、畑のスペースが余ってるからやらない?と誘ってもらったので、最近始めました。
色んな種類のタネを大人買いしてたくさん蒔きました。
植木:買うと高い食材とか、育てるといいですね。
村上:そうそう。ハーブやエディブルフラワーとか、買うと意外と高いので…!
そして2つめは、「果樹園でピクニックをしてみたい」にしました。
今回の雑誌の表紙の撮影もレモン畑をしたのですが、何かが美味しそうに熟しているもののそばで食事をするってとても豊かだなと感じていて。
植木:いいですね。ワイナリーとかも。
村上:意外と果樹園のオーナーのおじさんとかに聞けば、ピクニックくらい全然いいよ〜ってやらせてくれたりするんですよね(笑)
トークショーではこのほかにも様々な小ネタが飛び交い、最後の質問コーナーまで盛り上がりました。
最新号の雑誌NEXTWEEKENDでは、こんなふうにピクニックが楽しくなる小ネタをたっぷり詰め込んでいます。
日常の小さな変化を「せっかくなら」と一つ一つ楽しい理由にして、ぜひ自分なりのピクニックを楽しんでみてくださいね。