ちょっと時間ができた日の夜。
たまにはひとり映画という予定を入れてみませんか。
少しずつ暖かくなってきた今月は、春の訪れみたいに、じんわり心がうるおう映画をご紹介します。
『私の頭の中の消しゴム』
涙で気持ちを浄化したい夜に
お嬢様育ちのスジンと建築工事現場で働くチョルスは、だんだんと惹かれ合って結婚し、幸せな日々を送っていたものの、スジンが若年性アルツハイマーに置かされていることが判明。
徐々に記憶を失っていくスジン。
ついに愛する夫、チョルスのことも忘れてしまい……、というストーリーです。
映画の中盤くらいからずっと泣きっぱなしになってしまうので、翌日目が腫れても大丈夫な金曜日の夜におすすめします…!
記憶障害というドラマチックなテーマはあるものの、激しいストーリー展開というよりは、何気ない日常の中にこそ幸せはある、ということに改めて気付かせてくれる作品で、屋台のテーブルの下でこっそり二人だけ手をつないだり、バッティングセンターでのデート、家での取るに足らない何気ない会話…。
そんなリアルだけれどきらめきのあるシーンがさりげなく詰まっていて、観終わったあとは春の陽だまりにいるような感覚になれる映画です。
それからストーリーとはあまり関係ないのですが、チョルスとスジンが暮らす家のインテリアが、雑然としているけれど絶妙なおしゃれ加減なので、インテリア目線で観るのも楽しいはず。
途中は泣きすぎてどうなっちゃうんだろうと不安になるかもしれないのですが、ラストシーンは救いがあるので、ぜひティッシュをたくさん用意して観ていただけたらと思います。
監督:イ・ジェハン
出演:チョン・ウソン、ソン・イェジン
※DVDは編集部私物
『ニューシネマパラダイス』
あたたかな気持ちに包まれたい夜に
ローマ在住の映画監督、サルヴァトーレはある夜、故郷の母親から、地元にあった映画館「パラダイス座」の元映画技師アルフレードの訃報を聞き、アルフレードとの思い出を回想するところから物語は始まります。
第二次大戦時、幼少期のサルヴァトーレ(愛称トト)が住んでいた村の唯一の娯楽はパラダイス座での映画鑑賞。
幼い彼はいつしか映写室に入り浸るようになります。
当時のイタリアは検閲が厳しく、劇中でキスシーンなどがあると神父がベルを鳴らし、その部分のフィルムをカットしなくてはなりませんでした。
そのカット技術が巧みだったアルフレードをトトは尊敬し、少しずつ映画技師の仕事を手伝うようになって……というストーリーです。
そのことが原因で結果的にアフルレードは怪我を負ってしまうのですが、映画館に入りきれない村の人たちのために、夜建物の壁にフィルムを映して即席アウトドアシネマにしてしまうシーンがとても好きです。
改めてご紹介するまでもない名作ですが、私はなぜか春になると観たくなる映画です。
数々の名作映画のキスシーンばかりを繋ぎ合わせたラストシーンは本当に感動的なので(理由は観てからのお楽しみに!)、まだ観たことないという方にはぜひ観ていただけたらと思います。
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン
¥1,800+税
発売元:アスミック・エース
販売元:KADOKAWA
『そして父になる』
じっくり自分と向き合いたい夜に
学歴、仕事、家庭。
自分の能力ですべてを手に入れ、自分は人生の勝ち組だと信じて疑わなかった良多(福山雅治)は、ある日病院からの連絡で、6年間育てた息子は病院内で取り違えられた他人の夫婦の子どもだったことが判明。
このまま育てるのか、子どもを交換するのか、究極の選択を迫られる二つの家族の物語。
こういう夫婦、いるいる!と思わずうなずいてしまう二つの対照的な夫婦を通して、血のつながりってなんだろう、なんて、観る人それぞれが考えさせられる作品です。
子どもの取り違えという重いテーマを扱いながらも、子どもを取り違えられてしまった父親役のリリー・フランキーさんの、絶妙な肩の力の抜け具合や、本当に子どもたちがなついている様子になんだかほっこりしてしまいます。
ラストに明確な答えはないけれど、希望のある余韻のある終わり方にほっとするはず。
ちなみに是枝監督の『映画を撮りながら考えたこと』という本も、映画製作の裏話がぎゅっと詰まったとても読み応えのある作品なので、よかったら映画を合わせて読んでいただけたらと思います。
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー
¥4,800+税
発売元:フジテレビジョン
販売元:アミューズソフト
おまけ
4/13に発売の雑誌NEXTWEEKEND2018春夏号では、ピクニックを大特集します。(今まさに絶賛撮影、取材中です…!)
先日ベランダピクニックの特集で、狭いベランダでも育てやすい植物について、MICANさんというグリーンショップを取材させていただきました。
育て方のポイントなど、知っておくと植物との暮らしがもっと楽しくなるページになる予定ですので、お楽しみに。