NEXT WEEKEND DATE

大きな声では言いづらいちょっとした悩みや、あえて近い存在のひとには話しにくい悩みは誰にでもあるもの…。

この連載では、みなさまから匿名で募集したお悩みに、NEXTWEEKEND編集長 村上萌が答えていきます。

今日ご紹介するのは、地元に戻って、自分のやりたい仕事を作れるのか悩んでいる相談者さんからのお悩みです。


わたしは大学進学を機に地元を離れ、そのまま就職し、丸8年が過ぎました。
社会人も5年目を迎えるにあたり、自分の人生はこのままでいいのかと、地元に帰るかどうかを悩んでいます。
昔は田舎が嫌で都会に出たくて出たくて仕方がなかったのですが、社会人経験を積み、色々な視点で物事を見ることができるようになったのか、地元のためにもっとできることはないかと考えるようになったのです。
でも地元に帰ったとしても、わたしの性格的に銀行員や公務員は向いていない…。
それならば、もっと地域に根差し、失われていく地域の文化(郷土料理や農業体験など)を体感してもらえるような小さなホテルを作り、そのコンセプトに共感してもらえる人に泊まってもらいたい。
ワークショップやクリエイターが使ってもらえるようなスペースを用意したい。

そんな思いがふつふつとわいてくるのです。
とはいえ、資産が十分にないのも事実で、やってみなければわからないとは思いつつも、事業を起こしたことがないので、自分のやりたいことが世間に認められ、ビジネスとして成り立つのだろうか…という不安もあります。
カスタマイズエブリデイも読ませていただいているのですが、萌さんは起業する際どのような準備をされ、不安に向き合っていかれましたか?
(26歳・女性)

約2ヶ月の里帰りから、娘とともに札幌に戻ってきました。
4年も住んでいると、この時期にすでに紅葉がピークを迎えていることも、初雪の10日くらい前に飛ぶという雪虫(ユキムシ)が現れることも、そう驚かなくなっていて、なんだか北国の暮らしにも慣れてきたような気もしますが、娘と過ごすとまた何もかもが新鮮で、これまでとは違う雪じたくが楽しめそうです。

さて、お悩みの投稿ありがとうございます。

地元のために何かしたいというのは、とても素敵な思いですよね。

大人になるにつれて、昔は当たり前だと思っていたことや、むしろ嫌だったことすら有難く感じられるようになって、何かできることを探したくなるのって、自分のアイデンティティが強く確立される瞬間でもあるような気がします。

私も大好きだった祖母が亡くなって、家が取り壊されることになって、その庭や古い建具を、どうしても守りたいと思った時に、自分の中にある感性やこだわりの多くが祖母の家で培われたんだなぁということを実感しました。

なので相談者さんも、地元を離れて沢山の経験をしたからこそ、生まれ育った場所の良さや、そこで染み付いたアイデンティティがふつふつと湧き出ているのかもしれないですね…!

そしてホテルを作ることも、そこで地域の文化を発信したりコミュニティを作りたいというコンセプトはとても素敵だと思いますが、その事業を急に起こすのはなかなか大変なことだと思います。(相談者さんの現職が分からないので、もし、その分野に長けているということならごめんなさい)


私は、仕事が成り立つ基本は「誰かから必要とされること」だと思っています。

8年離れている地元で、今何が必要とされているかをちゃんと肌で感じることが大切な気がします。

また、すぐに地元に戻るのではなく、近々戻ることを決意した状態で、今いる場所(明記されていなかったので、東京だと仮定します)としばらく行き来を繰り返すことで、発信すべき地元の良さも明確になるし、そういう活動をする中で、東京に住む同郷の人のコミュニティを作ることができて、追々自分の力になってくれることだってあるかもしれません。

なんにせよ、決意をした状態で、じわじわ準備を始めてみることが重要だと思います。

その中で、きっと自分が軸とするテーマは見つかると思います。

私は横浜で産まれたので、絶対に貢献したいと思うような故郷がある訳ではありませんでしたが、ざっくり言って誰かの役に立ちたいという思いは強く、物が溢れるこの世の中で、何か新しい商品を機能推しで開発し続けるのではなく、すでに目の前にある生活が楽しくなるような過ごし方を提案しようと思い、誰かの次の週末を楽しくすることができるように、とNEXTWEEKENDを作りました。

その時点で、ホテルや住宅、イベントや商品、色々なものを提案したいな…、とも思いましたが、何か専門的な知識がある訳でもなかったので、まずはコンセプトをしっかりブランドにしていこうと思いNEXTWEEKENDをメディアにして、ウェブサイトや雑誌を経て、今NEXTWEEKENDの世界観やターゲット層というものがあります。

その結果、当初やりたかった住宅のプロデュースや、商品やイベント、様々なものに関わることができていると思っています。

相談者さんも、「あの人に頼んだら何ができるのか」ということを明確にするためにも、まずは地元の今のニーズをちゃんと把握して、そして今自分が東京で培ってきた経験と地元のためには、どのように役に立てるのかをコンセプトに変えて、ターゲットや方法を探ってみるのが良いと思います。

その過程で、もしかしたらホテルよりも良いアウトプットの方法が見つかるかもしれませんし、起業するのではなく、フリーランスという形もあるかもしれません。

動き出せば、情報も人も少しずつ集まってくるはずです。

是非、焦らずに準備を始めてみてください。応援しています。

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