NEXT WEEKEND DATE

こんにちは。
雑誌NEXTWEEKENDの出版元である世界文化社で、編集を担当しているD坂です。

4月14日に発売予定の雑誌NEXTWEEKEND2017春夏号に先がけて、3回に分けて雑誌の特集ページの作り方をご紹介しています。

企画・準備編はこちらから

連載2回目の今回は、撮影から入稿、印刷までについてご紹介していきたいと思います。

 

その5:写真を撮影する

いよいよ撮影当日。撮影の日は毎回とても緊張します。

NEXTWEEKENDは自然の中で撮影することも多いので、天気の心配が毎回つきまとうのですが、いつも綱渡りでなんとか切り抜けてきました…!

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(この2016年秋冬号の表紙撮影の日も、実はずっと曇り空だったのですが、一瞬だけ光が射した奇跡のような瞬間を撮影しました。)

炎天下でピクニックシーンの準備をしたり、凍えながら海辺でテントを作ったり、夜明けにカヌーに乗ったりと、1枚の写真の裏側では結構過酷なドタバタ劇が繰り広げられているのですが、それでも全員が納得する写真が撮影できた瞬間は、それまでの大変さや疲れが一気に吹き飛んでしまいます。

帰りのロケバスではほっとした気持ちと、早起きした分の眠気が混ざって、いつも運動会の後のような心地よい(?)疲労感に包まれています。

_T3A1559(炎天下での撮影後、達成感に包まれて集合写真。真ん中のロケバスさんが主役並みの存在感。)

今は合成など、デジタルで後からいろんな修正もできてしまいますが、“ちょっとがんばれば次の週末できるかもしれない”と読者の皆さんに少しでも感じていただきたくて、NEXTWEEKENDの撮影では身体を張って、可能な限りリアルにこだわった作り込みを心がけています。

 

その6:写真のセレクト

セレクト

撮影後、フォトグラファーさんから候補写真のデータをもらい、その中から実際に誌面で使うカット選びます。
写真を並べてみて、微妙な光の入り方や表情の違いなど、バランスを見ながら選ぶ中でだんだんと頭の中にページ全体のイメージが浮かんできます。

使う写真が決まったら、フォトグラファーさんにお伝えし、必要であればレタッチや色味などの調整をしてもらった上で納品してもらいます。

 

その7:デザイン出し

写真が決まったら最初に描いたコンテよりもっと詳細に、このページにこの写真が入って文字数は何文字くらいで、ここに見出しが入って……などを書き込んだコンテをつくります。

①写真、②詳細コンテ、③タイトルや見出しなどこの時点で決まっている文字要素をまとめたテキスト、この3点を持ってデザイナーの方と誌面デザインの打ち合わせをすることを、「デザイン出し」(デザイン入れやレイアウト出しなどと呼ぶこともあります)と呼んでいます。

ここの作業はとても地味なのですが、曖昧な状態でデザイナーさんに渡してしまうと迷惑がかかりますし、後々何度も修正の必要が出てきたりもするので、時間をかけて丁寧に作業するように心がけています。

NEXTWEEKENDは1号目からずっと吉村デザイン事務所の吉村さん(&吉村さんチーム)にデザインをお願いしています。

吉村さんはデザインの域を超えた企画の意図や雑誌のあり方までをもさりげなく提案してくださる方で、雑誌に血を通わせてくれる存在です。


(デザイナーさんですが、北海道での撮影現場にまでかけつけてくれたことも。)

編集者がお渡しした素材を元に、デザイナーさんがデザインを組んだデータをメールで送ってくださるのですが、私は昔から、送られてきたデザインのファイルを開く瞬間が雑誌づくりの中で一番好きで、PCの前でいつも一喜一憂しています。

 

その8:原稿作成、校正、入稿

いただいたデザインを元に、何度か修正を重ねてデザインを詰めていきます。

またNEXTWEEKENDはイラストの入るページがとても多いため、イラストレーターさんにもデザインを渡して、このスペースにこういうイラストを描いてほしいという依頼をします。

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(毎号お世話になっている湯浅望さんのイラストが入る前と後。イラストが入る瞬間は、魔法がかかったような気持ちに。)

同時に原稿も進めていきます。
そして原稿ができた段階で、校正、校閲のチェックを受けます。(ちなみに校正とは誤字脱字など、基本的に文字の誤りを正すことで、校閲とは事実関係や内容的に間違いがないかを確かめることです)。
NEXTWEEKENDは最大で3回校正、校閲のチェックを受けるようにしています。

そしていよいよ入稿。
デザインデータ、写真データ、原稿を印刷所に渡します(その後印刷所が写真を分解したりなど、まだまだ色々な工程があるのですが、細かくなりすぎるので今回は省略します)。

 

その9:文字校正、色校正、校了

入稿した数日後に印刷所から「初校」と呼ばれる紙が届きます。
初校は基本的には文字のチェックをする用の校正紙です。

取材先に内容の間違いがないか確認をお願いしたり、スタイリストさんに洋服のブランド表記や価格が正しいかなどを確かめてもらうのはこのタイミングです。

その他文章の表現を再考したりもします。

また掲載した電話番号が正しいかどうか、すべて実際に電話をかけて確認をすることも大事な作業です。

紙の本は印刷してしまうと後から修正することができないため、事実確認はちょっと神経質なくらい念入りに行います。

その後、諸々の修正指示を赤ペンで書き込んだ校正紙を印刷所に戻します。

印刷所は何重にもチェックを重ね、修正の反映をしてくださり、次は色のチェックをする用の校正紙、「色校」が届きます。

やや黒ずんでいる箇所には「スミはらう」、少しぼんやりしている写真に対して「ねむいのでもっとシャープに」など、色についての修正指示をするときに、独特の表現が実は色々あるのですが、新人の頃は何て書いていいのか分からず、なんとなくそれっぽいことをえらそうに書き込んでいたことを今思い出しました…

色校を戻したら「校了」(全ての作業が終わって、印刷出来る最終状態のこと)で、もう直せないという状態になるので、時間と戦いながら何回も何回も確認作業を重ねます。

校了は今の時代もっとスマートに行う方法があるような気もしますが、かなりアナログで職人っぽい作業をしています。

編集部に缶詰になって2〜3日かけて集中して行うため、校了が終わるとデスクの周りはポストイットや修正テープ、赤ペンなどが散らばっていて、戦いの後のようだなと思います。

501e293c-dfec-45a4-8a6d-a56235109aea(深夜の作業中。机のDEMAの文字と手つかずのバームクーヘンが戦いを物語っています。)

私たち編集者は校了でいったん手が離れますが、このあとは印刷所の方々の緻密な作業が続き、下版⇒印刷⇒製本という工程を経て、やっと1冊の雑誌ができあがります。

ちなみにNEXTWEEKENDは年2回発行のため、1冊に集中して編集作業を行っていますが、月刊誌の場合は校了しながら次号の撮影準備をしながら、次号の次の号の企画を考えるため、月刊誌の編集者は常に3冊を同時並行で動かしています。

こんな感じで駆け足で校了までをご紹介しました。

雑誌づくりの“熱さ”のようなものを少しでも感じていただけたら嬉しいです。

ちなみにこれを書いている今も、実は雑誌NEXTWEEKEND最新号の校了間近…!

4月14日の発売を、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!

編集D坂さん
雑誌NEXTWEEKENDの出版元である世界文化社で働く女性編集員。
やわらかい見た目に反して熱いハートと根性を持つ、縁の下の超力持ち。
4月14日に発売予定の雑誌NEXTWEEKEND2017春夏号に先がけて、
一冊の本ができるまでの裏側や制作風景をご紹介してもらいます。

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