NEXT WEEKEND DATE

こんにちは。NEXTWEEKEND代表の村上萌です。

今月末でウェブマガジンを休止するお知らせをしてから、あっという間に半年が経ちました。その間、すっきりと先へ進めたかというとそういうわけでもなく、どうして止めるのかという質問にも一言でおこたえできるわけでもなく、なかなか葛藤の日々を過ごしていました。

大きな会社のように、売り上げの数字を見た上で上層部から「休止」という通達が来るといった組織とはまったく違う、我々の組織。

このウェブマガジンも私がフリーランスの時にブログ代わりに立ち上げたようなものだったので、ここまで続けながら、なんとそこに何人も社員となるメンバーを増やしたり、あらゆる関係者の方と仕事でお付き合いをする場所になるとはそもそも思ってもおらず、出会いと好奇心と、思いのままに「今、社会に対して自分たちが関われる方法」を模索しながら、結果として続いてきた場所でもありました。

だからこそ自分で決めなければならない、というのは、自由でもある一方で苦悩がつきまといます。「もっと、こうできたのでは…」なんて思いが生まれては消えるのは事実ですが、それ以上に「変わりたい」思いが強いのには変わりないので、しっかりと新しい一歩を踏み出したいと思っています。

“変化”がポジティブなら、それは“進化”。
振り返った時にそう思えるように、引き続き奮闘していくのみです。

同時に、この12年間NEXTWEEKENDのウェブマガジンを運営している中で、私は夫の仕事の都合で生まれ育った横浜から、神戸、札幌、大阪、長崎、盛岡と5回ほど拠点を移しました。途中で娘が生まれましたが、彼女の物心がついた時の引越しで、こう伝えたことがありました。

「ほとんどの出会いは、いつが最後か分からないまま終わってしまうから、“これが最後”だと認識して、その一瞬を噛み締めて、“大好き”だという気持ちを伝えられることは、とても幸せなことだと思うよ」

戦争で、海軍の隊長をしていた祖父の座右の銘が“一期一会”でしたが、これは今を生きる私なりの解釈です。自分なりにその言葉を理解した娘は、別れ際に保育園のみんなにめいっぱい気持ちを伝え、そして伝えてもらって、今も心の故郷になっているように思います。

NEXTWEEKENDも、私1人の個人ブログのような形から、一緒に作ってくれる編集部として仲間が増え、様々な連載や企画が生まれました。大キュレーション時代を経ても一度も外部記事に頼ることなく、すべてオーガニックでコンテンツを作ってきたこともあり、歴代のコラムニストさんたちによる記事もすべてが宝物です。また、コロナ禍では本当に沢山のオンラインイベントもしたし、社員からの発案でオーディオ番組も誕生しました。

なにより、毎月必ず月の初めに提案してきたハッシュタグと呼ばれる“共通言語”は、すべてが私たちの造語であるにもかかわらず、#週末野心 をはじめとして、皆さんからの投稿数が累計約50万件を超えているというのは、本当に幸せな共感の輪だと思っています。

私が7年間担当してきたお悩み相談コーナーも、気づけば約2000件のお悩みをいただき、実際にはお会いしたことのない皆さんが遊びにきてくれる、不定期なスナックでも営業しているような気持ちでした。

EC機能をつけていたNEXTWEEKEND STOREも、初めてご覧になった方には「なんでピンク色の甘酒とカッティングボードが売っているんだろう…?」なんて並びを不思議に思わせてしまっていたかもしれませんが、どれもこの12年の間に起きた出会いの中で生まれた宝物でした。

全部が大切だから、どれかひとつでも「なんか最近ちょっと良くないね…?」なんてことにしたくなくて、そのためにはいつも、“前よりもっと良いもの”を更新したくて、それと“変化”を共存させるのが、簡単ではないと思ったのがウェブマガジンを休止する一番の理由かもしれません。

その上で、この世に起きるすべてのことが諸行無常に変わりゆく中で、娘に伝えたように節目というのをちゃんと決めることで、自分たちの手で締めて、次へ進むことができるのはとても幸せで誇らしいことだなと思っています。

今月ですべてのコラムニストさんたちの記事もちゃんと“最終回”を作ることができて、7年間ご一緒させていただいているNEXTWEEKENDの一大クライアントでもあるCanonPIXUSさんとは、新しい形でも #今日の小仕事 カルチャーを作り続けていけるように準備を進めさせていただき、カッティングボードはふるさと納税で買えるようになり、ピンクの甘酒は事業者側である宮本みそ店さんの販路から購入いただけるようにして、GARTEN COFFEEは先週独自のECサイトがやっとオープンできました。

その他の様々なことも、早い段階から皆様にお知らせさせてもらっていたことにより、静かにしぼませるのではなく、紡いでいけるよう準備することができたのは、手前味噌ですが誇りに思っています。

屋久島の森のように、春夏秋冬に雨風、破壊と再生を繰り返しながら森が作られているような気分ですが、長かった豪雨の時期を乗り越え、今はやっと穏やかな朝を迎えているような気もします。根拠もなく「きっと、大丈夫」だと思えているのも、12年前の始まりの時に似ている気がします。

毎月提案しているハッシュタグも、今月はそもそもの始まりでもある #週末野心 に設定しました。

NEXTWEEKENDの説明を“ウェブメディア”ではなく、もっと深いものにしていきたいと思っての決断と変化の中で、ある種の大全でもある「Life is a Picnic」を来月出版できることも、とても光栄です。

ひとまず(というと含みがありますが…)、私の月刊コラムも今回で最終回!これまで本当にありがとうございました。
そして、形は変われどこれからもNEXTWEEKENDをどうぞよろしくお願いします!
この変化を、「なんだか楽しそう!」と、一緒に楽しみにしていただけたら嬉しいです。

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