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コートが手放せなくなる本格的な冬の少し手前の11月は、服の重ね着や組み合わせが楽しめる、おしゃれのベストシーズン。

今月は、観ると元気が出て、毎朝の洋服選びがもっと楽しくなるドキュメンタリー作品をご紹介します。

 

『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』

自分を信じる勇気がほしい夜に

1950年代からインテリアデザイナーとして活躍し、ホワイトハウスの内装を任されるなど、輝かしいキャリアを持つアイリスは、94歳になってもニューヨークのファッション&カルチャーシーンに影響を与え続けるファッションアイコン。
私物の服やアクセサリーを展示した展覧会や、完売続出となるテレビショッピング出演、ファッション業界を目指す大学生向けの講座など、常に動き続ける彼女の日常を追ったドキュメンタリー作品です。

常に新しいことを求めて自由に楽しそうに、自分自身の美意識に正直に生きる彼女の姿がとてもパワフルで、泣かせるようなシーンは何一つないはずなのに、私は何度も涙が溢れてきそうになってしまいました。
「みんな好きな服を着るべきだもの。センスがなくても幸せならいい」という言葉が特にいいなぁと思いました。

それからアイリスの旦那さんのカール(なんと100歳!)の言葉や やりとりが、ユーモアと愛に満ちていてじんわりと温かい気持ちになるので、印象的だった言葉をいくつかご紹介したいと思います。

“僕のお金は妻の洋服代に消える。どうせ税金に取られるなら妻に使うほうがいい”

“妻が次に何をするか予想がつかない。結婚生活で退屈したことはないよ”

“子どもみたいな妻と一緒にもっといろんなことをしたい”

カール“帽子か?まあまあだ。かぶるのに慣れてきた”
アイリス“おしゃれのためよ”
カール“脳の中身は変わらない”

カール“できる妻だ。返品はしないよ”
アイリス“交換も無理よ”
カール“交換も無理だ”

アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー
監督: アルバート・メイズルス
出演: アイリス・アプフェル、カール、アプフェル
※編集部私物

 

『ビル・カニンガム&ニューヨーク』


自分を見失いそうな夜に

ニューヨークタイムズ紙の人気ファッションコラムと社交コラムを担当していた名物フォトグラファー、ビル・カニンガムのトレードマークは青い作業着と自転車。
ニューヨークの街角で50年以上にもわたりファッショントレンドを撮影してきた、ストリートスナップの元祖的存在の彼に、監督が8年がかりで撮影交渉し、通年10年かけて製作されたというドキュメンタリー作品です。

どんな有名人でもランウェイのモデルでも街を歩く一般の人でも、常にフラットな目線で、ピンときたスタイルを見つけて記録する。
アナ・ウィンターだろうと、彼の琴線に触れない日はシャッターを押すことなくスルー。
そして誰かを傷つけたり侮辱したりすることは一切しない。

そのぶれない芯の強さ、彼の中に揺るぎないものとしてある美学、生き方がとても美しく、こういう生き方を目指したいと強く強く思いました。

彼の切り取る写真は生き生きとしていて躍動感があって、幸せな気持ちになります。
ファッションが好きな人も、普通の人も、ぜひ観ていただきたい作品です。

ビル・カニンガム&ニューヨーク
監督:リチャード・プレス
出演:ビル・カニンガム
※編集部私物

 

『ポール・スミス Gentleman Designer/モダン・トラッドの英国紳士 ポール・スミス』


子ども心を思い出したい夜に

世界35カ国、400店舗を展開するファッションブランド、「ポール・スミス」のデザイナー、ポール・スミスに密着取材したドキュメンタリー。
未だに自分で車を運転して蚤の市で古着を探したり、自分のショップを定期的に訪れれたり、若手デザイナーのアイディアに熱心に傾けながら仕事をする様子などがテンポよく展開されていきます。

いい年だからとか、肩書きが、などということに一切とらわれず、自分の足で稼いで、自分の目で見て、手で肌触りを感じて、写真も撮って……、という現場から逃げない人ってやっぱり強いなーと改めて思いました。

子どもみたいにいつも楽しそうで、相手の年齢など関係なく誰にでもフランクで敬意があって、思いついたことはどんどん試す。
ブランドを維持するためには常に新しい挑戦をし続ける必要があって、同じことを続けているだけでは絶対に後退する。
そういう真理みたいなものを感じた作品です。

『ポール・スミス Gentleman Designer/モダン・トラッドの英国紳士 ポール・スミス』
監督: Stephane Carrel
出演: ポール・スミス
※編集部私物

 

服を着る楽しみを思い出させてくれたZINE

NEXTWEEKENDの雑誌のスタイリングでもお世話になっている柴田朋さんがディレクションをされているページボーイ(懐かしい気持ちになる方も多いはず)というブランドの限定アイテムを先日買いに行ってきました。

先着順でおまけとしてもらえるZINE(こちらも柴田さんディレクション)を読んでいたら、おしゃれとかダサいとかに明確な基準なんてないし、「もうこの年齢だから」なんていい訳する必要もなくて、最低限のTPOはあるにせよ、好きな服を好きなように着るってすごく楽しいことだ、という気持ちになりました。