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塩素の強すぎるプールの水しぶき、慣れない浴衣の下駄の痛み、部活の後のポカリの味……。

夏休みという区切りが明確にあった10代の頃の方が、夏という季節を全身で感じ取っていたような気がしませんか。

今月はいつの間にか忘れかけていた、あの頃の夏のような、楽しくて儚くてちょっぴり切ない気持ちを思い出させてくれる作品をご紹介したいと思います。

 

『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』

誰かに背中を押してもらいたい夜に

世界最大級のバレエコンクール、ユース・アメリカ・グランプリに挑む若きダンサーたちにスポットを当てたドキュメンタリー映画。

熱血指導の母親を持つ日英ハーフの女の子、幼い頃内戦で両親を失い、アメリカ人夫妻の養女となったティーンエイジャー、男子のバレエダンサーが珍しいコロンビアで才能を見出され、奨学金を得てプロのバレエダンサーを目指す16歳の男の子など、最終選考に出場する6人の10代の子どもたちの素顔や家族のドラマに迫った作品です。

中でも特に印象に残ったのが、肌の色や、決してバレリーナ向きとは言えない筋肉質の体型を逆に強みに変えて、足の怪我というアクシデントを乗り越えながらコンクールにチャレンジするミケーラという14歳の女の子。

レベルの高さは違っても、部活や習い事、学校の文化祭の準備など、10代の頃一度でも全力でエネルギーをつぎ込んだ何かがある人はきっと胸を打たれるはずですし、大人になった今でも、よしがんばろう!と思わせてくれる作品だと思います。

『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』
監督:ベス・カーグマン
出演:アラン・ベル、ミケーラ・デ・プリンス、レベッカ・ハウネット
※DVDは編集部私物

 

『20th センチュリーウーマン』

ちょっぴり切ない夏の終わりの夜に

1979年の夏、カリフォルニア州のサンタバーバラが舞台。
55歳のワーキングマザー兼シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、思春期のひとり息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)が何を考えているのかだんだん分からなくなってきて、彼の成長を助けてほしいと、2人の女性に相談を持ちかけます。

一人はドロシアの家で間借りをする24歳の写真家アビー(グレタ・カーウィグ)。
もう一人は隣りの家に住む、ジェイミーの幼なじみのジュリー(エル・ファニング)。

ジェイミーの成長に関わるドロシア、アビー、ジュリーを通して、混沌としたこの時代を強く生きた女性たちを描いた作品です。

全篇通してドラマチックな展開が特別あるわけではないのでですが、この時代のカリフォルニアの夏の空気感が心地よく、またグリーンや花がたっぷりある、風通しのよいドロシアの家や、登場人物たちの衣装や車のパステル調の色の美しさが、ずっとずっとこの映像を見ていたいという気分にさせてくれます。

エル・ファニング演じる17歳のジュリーは聡明で大人びているヘビースモーカーの女の子なのですが、彼女を見ていると、この頃特有の、心と身体の成長のアンバランスさに戸惑い、自分自身もどうしていいかわからないもどかしい気持ちを思い出しました。
ぜひ夏の終わりに観てほしい映画です。

『20th センチュリーウーマン』
監督:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ
※DVDは編集部私物

 

『あの頃ペニーレインと』

仕事モードからふわりと自分を開放したい夜に

監督が自分自身の体験を基に、ある少年の姿を描いた作品。

主人公のウィリアム(パトリック・フュジット)は15歳ながら、憧れの音楽雑誌『ローリング・ストーン』誌の記者に抜擢され、人気上昇中のバンドのツアーに同行取材することに。
そこで出会ったバンドのおっかけのペニー・レイン(ケイト・ハドソン)と出会い、密かに想いを寄せるものの、彼女はバンドの一番人気のギタリスト、ラッセル(ビリー・クラダップ)と関係を持っていて……、といったあらすじです。

ペニー・レインへの淡い片思いの話かなと思っていたら、一番ぐっとくるところはウィリアムとラッセルの、男同士の年齢を超えた友情の話で、最後は思わずほろりときてしまうはず。

美人でよくモテて、いい意味で生活感のないペニー・レインが、強がっているけれど実は一人の普通の女の子なんだなと思えるシーンで、彼女のことがとても好きになりました。

『あの頃ペニー・レインと』
監督: キャメロン・クロウ
出演: パトリック・フュジット、ビリー・クラダップ、ケイト・ハドソン
発売中
Blu-ray2,381円(税別)/DVD1,410円(税別)
発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 

おまけ:夏に纏いたい3つの香り

ずっと同じ香りを付け続けると、香りがその人の印象になって素敵だなと思う反面、季節によって香りを使い分けるのも、季節を楽しんでいる感じがしていいですよね。
今回は酷暑の東京で、今年私が使っていてよかったなという香りの話をしたいと思います。

(左)SHIGETAのエッセンシャルオイルは肌に直接つけても大丈夫なので、体調や気分に合わせて何種類か持っているのですが、この夏はイノセントピュリティーというブレンドが一番しっくりきました。
調べてみたらデトックスしたいときにおすすめのオイルらしく、暑い上に湿度も高い今の季節、気分をすっきりさせるのにぴったりです。

(中央)イソップのマラケシュという名前の香水です。
この暑さはもはや日本というより東南アジアっぽいな、と思っていたら、不思議と異国情緒溢れる香りに惹かれるようになってきました。
モロッコのマラケシュにインスピレーションされたというこの香りは、スパイシーで少し温かみのあるお香のような香りです。

(右)オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの香水は、アルコールやエタノールを一切含まない水性香水なので、つけてから香りが変わりにくいのが特徴です。
これはアル・カシールという香りで、ゼラニウムとカルダモンのスパイスが混ざった白檀がベースになっているそう。
ビュリーは購入するとカリグラフィーで箱に名前を書いてくれるのですが、そんなおもてなし精神が、暑くて色々雑になりがちな自分をはっとさせてくれました。