NEXT WEEKEND DATE

ナイトピクニックやドライブインシアターはなかなか気軽にできなくても、
窓を開けて風を感じながら映画を観るだけで、アウトドアシネマ気分は案外楽しめるはず。

今月は夜風が心地よいこの季節に観たくなる作品を3本ご紹介します。

 

『ミッドナイト・イン・パリ』

なんだかロマンチックが足りない夜に

ハリウッドで売れっ子脚本家の主人公ギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者のイネズ(レイチェル・マクアダムス)の両親の出張に便乗して、彼女と一緒にパリを訪れることに。
作家への夢を諦めきれずにいたロマンチストのギルは、結婚したらパリに住もうとイネズに提案するも、お嬢様育ちで現実主義者のイネズは即却下。
ワインの試飲会に参加したあと、一人で真夜中のパリを歩いていたギルは、道に迷って物思いに耽っていると、旧式の黄色いプジョーが彼の前に停まり、誘われるままに乗り込むことに。
向かった先はなんとジャン・コクトーが主催するパーティ。
彼が愛してやまない1920年のパリに迷い込んだことに気づき……。

タイムスリップという、映画ではありがちな設定ではありますが、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ピカソにサルバトール・ダリ……。
美術館や教科書に出てくる、誰もが知っているような歴史上の芸術家たちが続々と出てきたり、パリの美しい街並みや観光スポットを旅行者目線で味わえたりと、いろんな楽しみ方ができる作品で、観ていくうちに主人公ギルのロマンチストぶりがすっかり伝染して、魔法にかかったようなふわふわした気持ちに。

「パリは雨が一番素敵なの」というセリフとともに終わるラストシーンもとても粋で、たまには傘を差さずに生ぬるい空気の夜道でも歩いてみたいな、なんて思ってしまいます。

今週はなんだか心がトゲトゲしてしまったな、という金曜日の夜は、ロマンチストなギルに会いたくなって、何度も観返してしまう作品です。

「ミッドナイト・イン・パリ」
価格:DVD¥1,800(税抜)
発売元・販売元:株式会社KADOKAWA

 

『ロミオ&ジュリエット』

悲しく美しい恋の世界に浸りたい夜に

シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」を大胆にアレンジ。
時代を現代に設定し、舞台はブラジルの架空の街、ヴェローナ・ビーチに、モンタギュー家とキャピュレット家の争いをマフィア同士の抗争と置き換えています。
モンダギュー家の一人息子ロミオ(レオナルド・ディカプリオ)は親友マキューシオに誘われ、仮想して敵対するキャピュレト家のパーティーに乗り込み、そこで出会ったジュリエット(クレア・デインズ)に一目ぼれ。
二人は瞬く間に両想いになるものの、二人の恋は両家の争いに引き裂かれて……、というストーリーです。

私が映画を一番観ていた中学生時代、見事に心を掴まれて映画館に3回くらい観に行き、サントラを聴きまくってパンフレットを穴が開くほど隅々まで読み込んでいたことを先日ふと思い出し、20年以上経った最近、改めて観直してみたのですが、今観てもキラキラとドキドキときゅんとした気持ちが詰まった素敵な作品でした。

設定を現代にしてポップな演出にしているからこそ、余計にシェイクスピアの古典的なセリフが引き立つのかな、とか、オープニングのシーンはカットがどんどん切り替わることでスピード感を出していたんだな、など、大人になって観て初めて気づくことも色々ありました。
最後の教会のシーンは本当に幻想的で心が洗われます。

結末はご存知の通り悲劇なのですが、ブラジルの街の常夏な感じやパステルカラーの建物、みんなが着てるアロハシャツが、アウトドアシネマの開放感に合うような気がして選んでみました。

それからいつも思うのは、もしもモンタギュー家とキャピュレット家が対立していなかったら、二人の恋はこんなに燃え上がったのかな、ということ。
恋と障害は永遠のテーマです。

「ロミオ&ジュリエット」
ブルーレイ発売中
¥2,381+税
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
©2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『サイドウェイ』

ワインと一緒に過ごしたい夜に

教師をしている主人公マイルス(ポール・ジアマッティ)はバツイチで小説家希望の中年男性。
親友の売れない俳優ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の結婚祝いを兼ねて、二人でカリフォルニアのワイナリーを巡る旅に出ることに。
ワイン通のジャックはワイナリーで働くワイン好きの女性、マヤに想いを寄せるものの……、というストーリーです。

ドラマチックな盛り上がりが大してあるわけでもないので(そしてジャックの行動がいちいちひどい)、退屈に感じる人もいるかもしれないのですが、それこそワインのように、じわじわとクセになってくる大人な作品です。

冴えない中年男性二人の地味なロードームービーと言ったらそれまでですが、カリフォルニアのワイナリーがとにかく美しくて、あー、こんな自然豊かな場所でワインを飲んでみたいと映画を観ながら何度も思いました。

実は作品の中に出てくるワインはかなり希少なものもあるらしく、映画に登場する銘柄やブドウ種のワインを探してみる、なんて楽しみ方もできそうな作品です。

こちらは雑誌NEXTWEEKEND2018春夏号の「知っておきたいピクニックの歴史」という特集でもご紹介させていただきました。

「サイドウェイ」
6月2日発売
¥1,905+税
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 

おまけ:太陽の下で読みたい本

暑すぎず寒すぎず、今こそピクニックにぴったりの季節。
暖かな陽気に包まれて、今日はのんびり外で本でも読もうかな、なんて気分のときにおすすめの本を3冊選んでみました。

(上)『愛のこと。恋のこと。』(北川悦吏子著)
今ちょうどNHKの朝ドラも放送されている脚本家北川悦吏子さんの、恋愛をテーマにしたエッセイ集。
ハッとさせられる数々のヒットドラマの名台詞は、やっぱりリアルな恋の体験から生まれてくるんだなぁと実感する本です。
1つのエピソードが3pくらいずつ構成されているので、パラパラっとめくって気になる箇所を読んで、眠くなったら少しお昼寝、みたいな読み方もピクニックっぽくていいんじゃないかなと思います。

(中)『春の窓』(安房直子著)
児童文学作家、安房直子さんの作品は、はじまりは身近な日常なのに、読んでいるうちに気が付くと空想の世界に連れて行かれていて、そんなファンタジーを、例えばお花畑や高原のピクニックで読むなんて素敵だな、と妄想して選んでみました。
児童文学ではあるけれど、大人が読んでも十分楽しめて、考えさせられる本です。

(下)『諸国空想料理店』(高山なおみ著)
今や数々のレシピ本を出版され、メディアでも活躍されている料理家高山なおみさんが、まだ現在のような料理家になる前に働いていた、吉祥寺に実在していた「諸国空想料理店KuuKuu」のシェフ時代のエピソードをまとめたエッセイ集。
読んでいるだけでよだれが出てきそうな料理の数々と、本当に実在していたなんて思えないほど夢の世界のようなレストラン、クウクウ。
レシピや調味料のコラムも付いています。
ピクニックというちょっぴり非日常な空間にぴったりな一冊です。

※本はすべて編集部私物